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魔境生活  作者: 花黒子
~追放されてきた輩~
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【魔境生活14日目】



 朝食を食べながら、チェルのためになるべく魔物を倒しながら、帰ることにしたことを伝える。チェルは何度も頷いて、舌をベーッと出していた。バカにしているのではなく、感謝の意を伝えているらしい。


 文化は場所が違えば違うものだ。

 崖を上るのも、チェルは汗だくになって時間がかかっていた。

「風魔法で飛べば良いのではないか」と言ったが魔力の調節が難しいから、今のチェルには出来ないのだという。


 蔦を掴み、息を切らせて登ってくる。俺はすでに、崖の上だ。

 面倒なので、蔦を引っ張って上に上げる。チェルは高所恐怖症なのか、恐怖の顔が張り付いていた。

 置いていこうとすると「マキョウ!」と呼んでついてきた。この程度で、体力がなくなられると困る。


 その後、チェルにビッグモスの相手をさせている間にちょうど良さそうな枝を切り、ナイフで削って木刀を作った。

 ビッグモスの鱗粉を吸い込み、チェルが麻痺したのを見て、助けに行く。

 あっさりビッグモスを倒した俺に、チェルは抗議の目を向けてくる。


「本当に、麻痺として効くんだな」


 魔法を撃ったまま、固まっているチェルに木刀を握らせる。

 死んだビッグモスから魔石を回収。しばらくするとチェルが動けるようになったようなので、再び進み始める。チェルが袖を引っ張るので「何だ?」と言うと、ビッグモスの魔石が欲しいという。


「欲しければ、自分で倒せ」

 そう言ったが、じっとこちらを見ている。何か目的があるらしい。


 仕方がないので魔石を渡してやると木刀の先につけようとした。ナイフで削ってやり、木刀の先に魔石をはめ込むと、ニッコリと笑い、大満足という表情をした。

 どうやら、木刀ではなく杖にしたいらしい。確かに、魔法使いには杖だ。

 そこからチェルの快進撃が始まった。


 ビッグモスの魔石は麻痺魔法が付与されているので、魔物相手に杖を通した麻痺魔法をかけていくチェル。魔物が痺れて動けなくなったところを、ゆっくりと魔法を使って攻撃し、撃破していった。


 俺から見ても、まったく苦戦していない。なるほど、何事も使いようだ。

 家に帰ったら、魔石を見せて好きな魔石の杖を作ってやろう。

 などと思っていたら、あっさり魔力切れを起こし倒れた。

 面倒な奴だ。


 結局、この日も家へは帰れず、川岸でキャンプをすることに。

 晩飯を作ったが、チェルは眠り続けている。

 これで静かに眠っていたのなら、心配もするのだが、盛大に鼾をかいて眠っているので、特に心配はしない。たぶん魔物と戦って疲れたのだろう。


 ほとんど魔物の相手をチェルにさせていたため、まったく疲れてない俺は、魔法の練習がてら、周囲の森に入って魔物を狩ることにした。


 なんとなく魔法を使うコツはつかめたものの、未だ即効性はなく、正直「戦闘中に使えるか」と言われると甚だ疑問だ。イメージに時間をとられるようだ。

 はっきりイメージしないと、魔力が霧散してしまうため、イメージしやすい、球体や、立方体などを中心に使っていこうと思う。


 川岸に戻ると、寝ているチェルがスライムに襲われていたため、サーベルで瞬殺していった。

 夜もふけ、インプたちの鳴き声が聞こえる。

 満天の星の下、チェルの寝息が魔境に響いている。



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