表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死んだと思ったら異世界に召喚されたのでヒーローはじめました。  作者: 米川米太郎
第1章 異世界に召喚されたヒーロー
8/12

第7話 ヒーローと初めての異世界の町

お待たせしました。第7話です。


夢を見ていた。


小さかった頃の夢だ。


小さい時に特撮のヒーローを見て、カッコいいなあと思い自分もなりたいなと思った。


5歳ぐらいの時に、小学生の高学年ぐらいのいじめっ子集団が汚いからと言う理不尽な理由でノラ猫をいじめていて許せないと思い立ち向かって行った。


ノラ猫を逃す事は出来たが、当然オレは歯が立つ訳がなく、ボコボコにされた。


自分の弱さが憎く、悔しいと母さんに泣きついていたら母さんはこう言った。


「何言ってるの、猫を逃す事は出来たんでしょ?それだけでもアンタはそいつらに勝ったのよ。ヒーローってのはね悪を倒す事じゃない、悪に苦しめられている弱者を救う事なのよ。悪を懲らしめるのはついででいいの。悪いやつと戦うには力がいるの、力は直ぐには得られない、ゆっくりでいいのアンタは自分のペースで強くなればいいのよ」


そう言ってくれたのを思い出した。


そしてしばらくして体を鍛えたり、武術を学んだりして、またそのいじめっ子に出会った時にはボロボロになりながらもそいつらをボコボコにする事が出来た。


その時母さんは頑張ったねといいボロボロになったオレを抱きしめてくれた。


----ーー


「ーーん・・・?」


(やいば)様お目覚めですか?」


目を開けたらイリスの顔があった。


「うおっ!?」


驚き思わずオレはとび起きる。


状況を確認する。


ここはイリスの部屋のようだ。


「まさか今までずっと・・・」


「ええ、膝枕をしていましたよ。よく眠っていらっしゃいました」


やっぱりな・・・


「どのくらい眠っていたんだ? オレは」


あの後気を失ったままどれくらい寝てたんだ?


「10時間くらいですね、もう夜ですよ」


そんなにか・・・それと気になる事がまだある。


「それより体が楽なんだが、あれ程のケガや激痛が眠っただけですぐ消えるとは思わないんだが、あとオレの服はどうした?」


イリスにやられたハズなのに今は体の一カ所も痛くない、今オレは灰色の長袖のシャツを着ている、ズボンはそのままだが。


「傷は私が回復魔法で治しました。服は・・・申し訳ございません、私の魔法で破れてしまいました」


と、イリスは申し訳なさそうに言った。


まあ、あんな強力な魔法をくらってタダで済む訳がない、魔法で体の傷は治せても物は直せないんだろうな。


「明日、町に行きます。買い物ついでにそこで新しい服を買いましょう」


「オレはこの世界の金は無いぞ」


「ふふっ、大丈夫です。私が買って差し上げます。弟子の成長を願ってプレゼントします」


いつの間にオレはこの女の弟子になったんだ? まあ、間違ってないか。


「町に行くのか・・・だったらオレもやりたい事があるんだがいいか?」


異世界に来て初めて行く町、オレもしておかなくてはならない事がある。


「ええ、構いませんよ、それではこの後どうなさいますか? 晩ご飯はいただきますか? それとももうお休みになりますか?」


どうしようか、オレは少し考える。


「あんま食欲無いしな、風呂に入ってもう寝るよ。風呂借りていい?」


もう寝る事にする。


10時間も寝たと言うのに不思議な事にあんまり腹は減ってない、回復魔法の影響か?ん?それよりー


「10時間も寝てたって、まさかその間ずっとオレを膝枕してたのか?」


「ええ、回復魔法をかけて上を着替えさせた後ずっとしていましたよ。『お母さん、ボク勝ったよ』と言う寝言も聞きました」


恥ずかしい・・・イリスの返答にオレは顔を赤くする。


「ふ・・・風呂に入ってくる・・・」


顔を見られないようにそそくさと歩き出す。


「ええ、ゆっくりしていってください、寝巻きは脱衣所にありますので」


イリスの笑いが混じったような声を聞きながらイリスの部屋を後にした。


ピチョン


「ふぅ・・・」


水滴がバスタブのお湯に落ちる音を聞きながら風呂に浸かっていた。


(完全敗北か・・・まあ、薄々そんな事になるだろうとはおもっていたけどな)


今日の出来事を振り返る。


初めての魔法での実戦、結果は惨敗だった。


(ホントあのイリスって女は何者なんだ? 魔法はもちろんだが、強化魔法もなしに素の腕力で魔法で強化したオレのパワーを超える腕力・・・イリスってオレが思う以上に凄いやつなのか? この世界では有名な奴だっていうなら人目を避けるように森の中で暮らしているっていうのも納得だが・・・)


いろいろと思う事はあるがー


(まあ、考えても仕方ないな・・・今は考えるのはよそう・・・)


オレは考えるのをやめた。


「あー、サッパリした」


風呂から上がった後、ベッドに横になる。


「今日は殆ど寝ただけなのに妙に疲れたな・・・」


でも明日はいよいよ町に行くのか、楽しみだ。


ファンタジー世界で町と言ったらまずアレだ。


(もう寝るか)


そう思いオレは目を閉じた。


翌朝ー


「ふぁあ〜」


大きなアクビをして目を覚ました。


「もう朝か早いな・・・」


コンコンとまた扉がノックする音が響いた。


「今起きたよ」


イリスがオレが起きたかを聞く前に答えた。


「はい、朝ご飯が出来ていますよ」


イリスの用意してくれた服に着替え、部屋を出る。


相変わらずイリスが立っていた。


「じゃあ行くか」


「ええ、行きましょう」


2人でダイニングに行き、朝食を済ませる。


朝食を終えたら町に行く、イリスは準備があるので少し外で待ってくれとのこと。


(また待つのか・・・)


しばらく待っているとイリスが出てきた。


「お待たせしました。それでは行きましょう」


「ああ、それじゃ・・・ってなんだその格好?」


イリスはいつものローブの被る部分を深く被っていた。


「気にしないで下さい、それと1つお願いがあります」


お願い?


「町に着いたら私の事はイリスではなくアリスと呼んで下さい」


アリス? 何ともありきたりな名前だな?


「まあいいけどよ、人に知られたく無いんだな?」


「ええ、ご理解助かります。それでは行きましょう、ここから少し歩きますよ」


そう言ってイリスは歩き出した。


オレもその後をついて行く。


しばらく森の中を歩いたが町が一向に見える気配は無い。


「なあ、イリスしばらく歩いているが町はまだか?」


さすがに不安になりイリスに聞く。


「ええ、もう着きますよ」


もう着くって辺りに背の高い木々だけで建物1つ見えないんだが。


「ここから私の魔法で町まで瞬間移動します」


瞬間移動? テレポートか?


「私が魔力でマーキングした場所に光の速さで移動する『ライトワープ』これで町まで移動します」


スゴイな、そんな事まで出来るのか、というよりー


「最初からそれを使えばよかったんじゃないか?」


何でわざわざ歩く必要があったんだ? 思わずツッコむ。


「いろいろとありましてね、魔力でマーキングしたり、強力な魔法を使ったりすると、勘の鋭い人に感づかれる事があるのですよ。私はできるだけ人と関わるにはいかないので申し訳ありませんね」


とイリスは気まずそうに言った。


犯罪者・・・とかじゃないよな・・・?


「それでは参りましょう、『ライトワープ』!」


オレとイリスは光に包まれた。


「うおっ! 眩し!」


オレは眩しさにたまらず目を閉じる。


キィィンッ


「ん・・・」


目を開けると森の中にいたはずのオレたちは丘の上に立っていた。


「刃様、アレですよ」


イリスが指をさす先には大きな町が見えた。


「あれが・・・」


「ええ、辺境の町パリトです」






次回町でのショッピングです。そして物語は急速に進みます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ