第3話 ヒーローとお茶会
お待たせしました、第3話です。
「ここがアンタの家か?」
そこにあったのは童話に出てくるような二階建ての小さな木造の家だった。
「ええそうです、どうぞこちらに」
言われるままにオレはイリスについていった。
玄関に入った時に靴は脱がなくていいのかと聞こうとしたが、日本じゃないんだ、ここは異世界だった。イリスは土足のまま家に入っていったのでオレもそのまま後に続く。
応接間だろうか? 白いテーブルクロスを掛けられた机に向かい合うようにある二つのイス。
「こちらに座って少々お待ちください」
そう言われオレがイスに腰掛けると、イリスは奥の部屋ーキッチンだろうか?ーに消えていった。
その間オレは辺りを見回す。天井に吊るされているシャンデリア、壁に掛けられてある騎士の肖像画、棚に置いてある花瓶や彫刻品、どれも見慣れないものだ。
「お待たせしました」
オレが辺りを見回しているうちにイリスが戻って来た。ホテルの給仕人が運ぶようなカートをカラカラと音を立てて運んで来たのはお茶を淹れるティーセット、サンドイッチなどの料理、お菓子が三段の皿に盛られていた、アフタヌーンティースタンドというやつだろうか?初めて見た。
「確かこう言うお茶会にはマナーがあるって聞いたことがあるんだがわからないぞ」
昔友人に見せてもらった喫茶店の漫画にこう言うのが出てくるのを見たことがあるが、死んだ後にこんなオシャレな事をする事になるなんて夢にも思っていなかった。
「かまいません、適当にしても大丈夫ですよ」
そう言いながらイリスはオレの座っている反対の席に座った。
「それでは、お食事の準備も出来ましたし改めて2人でお茶会でもしながらお互いを語り合いませんか?」
優しく微笑みながらそう言った。
「ああ、そうしよう」
2人のお茶会が始まった。
「まずは私からお聞きしてもよろしいでしょうか?」
イリスが聞いてきた。まあ、ここに来るまで散々オレが質問しまくったんだ、ここはオレが答えるとしよう。
「ああ、いいぞまずは何が聞きたい?」
そう言ってオレはサンドイッチを頬張った。
「西園寺刃様、貴方のいた世界はどのような世界なのですか?」
まあ、まず聞きたいのはそれだろう。
「ああ、オレがいた世界はー」
オレは自分がいた世界の事を話した。その世界の簡単な歴史、その世界には魔法はないが『科学』と言うものがあり、文明の発達した世界であるという事、その科学により作り出された車、ケータイなどと言った便利な乗り物や道具があること、日本という名前の島国にいた事、人を救うヒーローになりたかった事、最後は子供を助けて車に撥ねられて、トラックに頭を潰されて死んだ事などをイリスに説明した。
「なんと・・・それはかなりの悲惨な最期だったのですね・・・」
そう言ってイリスは哀しい顔になった。
「そんな哀しそうな顔をしないでくれ、オレは自分の信念を貫いて死んだんだ、心残りは無いって言ったらウソになるが、後悔はしてないさ」
まあ、こうして異世界に召喚されるなんて夢にも思わなかったが。
「お強いのですね貴方は・・・人を救うヒーロー・・・素晴らしい事だと思います」
「ああ、オレの事も話したからこっちも聞いていいか? この世界はどんな世界なんだ?」
今度はオレから質問する
「ええ、いいですよ、この世界はー」
こうしてオレ達、2人のお茶会の時間は過ぎていった。
しばらく本格的な構成を作ったり、見直したりしたいので投稿が遅れます。ゴメンナサイ