第七話
車
01タケ「それで、ツキちゃんを助けてやってくれ、って言うのはどういうことなんだ恭くん。」
02ミコト「……ツキが親の死に気付いたみたいでな」
03ハナ「なるほどね…」
04ミコト「ショックで食事も取らないし、このままだとツキの命が…俺一人じゃもうどうにもならない。」
05マキ「なんで俺らなんだよ。お前、最初はいいようには思ってなかっただろ」
06ミコト「そりゃあ見知らぬ男4人の家なんて危なっかしいだろうが。…けど、お前らと話してる時のツキはすごく生き生きしてた…。これは賭けだ。お前らならツキを助けてやれるかもしれない。」
07 タケ「そんな力が俺たちにあるとは思えないが…」
08シロ「でもツキちゃんが悲しい思いをしてるなら…僕は会いに行って何とかしてあげたいな…」
09ハナ「そうだね、俺も。」
10マキ「…あいつが湿気ってるとか気持ち悪ぃしな…」
11ミコト「…恩に着る」
ツキの家 扉をノックする
12ミコト「ツキお嬢様、入っても宜しいでしょうか。」
13ツキ「……来ないで、嘘つき」
14ミコト「(傷付く)………っ(小声)ずっとこんな感じでまともに会話もできない…っ」
15シロ「…話しかけてみても?」
16ミコト「…ああ」
17シロ「………ツキ」
18ツキ「………シロさん…?…どうして……」
19シロ「入れてもらえないかな…僕、君と話がしたいんだ」
20ツキ「……帰ってください。私のお父様とお母様はもう…この世にいなかったんです。大好きな人がいなくなってしまったら……私も……」
21タケ「あのシロでもダメか」
22シロ「…ツキ、僕ね、さっきミコトさんの車の中で窓に映った自分を初めて見たんだ。……君が言ってくれたようなそんないいものじゃなかったけど、…でも怖くはなかった。君のおかげなんだよ。お礼を言いたかったんだずっと。顔を見て、直接ちゃんと言いたい。」
23ツキ「それは……」
24ハナ「ツキちゃん、俺、ハナだけど。俺も君に感謝してるんだ。あれから仕事…探してて。ちゃんとした仕事につこうと思ってさ。俺を大切に思ってくれたように、俺も君が大切なんだよ、ツキちゃん。」
25ツキ「で、でも……」
26マキ「それはどうとか、でもとか言い訳はいい加減にしろよツキ」
27ツキ「ま、マキさん・・・」
27マキ「人間なんて脆いんだよ、いつ死ぬかなんてわかんねえんだからさ。・・・それで?お前の両親が死んでたからってお前を守ってきたお前の姉貴を噓つき呼ばわりか?ふざけんじゃねえ」
28ミコト「マキ・・・」
29マキ「お前は両親に愛されてたんだろ、その記憶があんだろ!傍にはミコトがいて、俺たちがいて、それでも進む力になんねえってのか。じゃあお前は何があれば進めんだよ。」
30ツキ「う・・・・(泣きそうに)」
31タケ「・・・・理由があろうとなかろうと、俺たちは進まなきゃいけないんだよ、ツキちゃん。・・俺たちは生きてるんだ。残された者同士で手を取り合って・・生きていくしかないんだよ。それが、君の両親の願いでもあるんじゃないのかな。」
32ツキ「う・・ううう・・・」
33タケ「でも・・・ツキちゃんが歩くその道が少しでも明るいように・・俺たちが一緒に歩いてあげるから。俺たちの道を・・・ツキちゃんが照らしてくれたみたいに。」
ドアが開く
34ツキ「ひっく・・・う・・うう・・」
35ミコト「ツキ・・・」
36ツキ「ミ・・・コト・・う・・・・うわああああんミコトおおおお・・・っ!!!あああああ!!」
37ミコト「一緒に生きてくから・・っこれからも・・ずっと・・・ずっと・・!」
38ツキ「ああああああ!!!」
後日 家
39ツキ「いっただっきまーす!!!(食べる)・・んんーおいしー!!!」
40シロ「あ、マキ兄さん、マヨネーズとって」
41マキ「は?お前もしかして目玉焼きマヨネーズで食う気か?」
42シロ「そうだけど」
43マキ「いや普通に考えて塩コショウだろ、マヨネーズとかもうその味しかしねーだろが」
44ハナ「マキちゃんは塩コショウ好きなだけでしょ!てか煙草やめてから味にうるさくなったよね、あーやだやだ」
45マキ「あ?ぶっとばすぞ」
46ミコト「俺も塩コショウ派」
47マキ「げぇ、お前そうなのかよ」
48ミコト「喜べよ、俺と一緒の趣味だぞ」
49マキ「ありえねえ、絶対喜ばねえ」
50タケ「もう好きな味で食べろよ、(溜息)なんでこうも毎度毎度・・・」
51ツキ「賑やかでいいよね!私はケチャップー!!!」
52ミコト「ツキ、それはよくない食べ方だ。シンプルが一番おいしいんだぞ?」
53ツキ「恭は黙ってて!好きな味で食べるのが一番おいしいんだから!」
54ミコト「ぐ・・・」
55ハナ「あー!恭ちゃんってばツキちゃんに名前で呼ばれて赤くなっちゃってる!!かっわいー!!」
56ミコト「ち、違う!!というかちゃん付けはやめろ!!」
57シロ「名前で呼ばれるの照れるの?恭ちゃん」
58タケ「え?そうなのか?恭ちゃん」
59マキ「へえー?(二やつきながら)恭、ちゃん」
60ミコト「おいマキ、お前は面白がってるだけだろ!」
61マキ「よくわかってんじゃねーか」
62ミコト「おーまーえーなあ・・・・?」
63ツキ「もーハイ!ストップ!今日は一緒にお出かけするんだから仲良くしてね!!」
64マキ「へーい・・・」
65ミコト「はーい・・・」
66タケ「はは、オオカミ二匹を黙らせるとはツキがこの家で一番強いな!」
67ツキ「ふふ、当たり前でしょ!だって、私は皆を照らす灯りだもん!えへへ!」
終