006 貴族制度(メリエンヌ王国)
ここではメリエンヌ王国の貴族制度について紹介します。他国の制度は、同じとは限りません。
なお、下記はあくまで本作品世界の制度ですので、地球の歴史に存在した制度とは異なるものです。
◎ 公爵
原則的に王の一族の分家。領地は大きくないが格は高い。
厳密には領地は国王により貸し与えられた土地で、重要な都市とその周辺を預かっている。
任命権は国王にあり、遠縁の家系は子爵に格下げされることもある。
◎ 侯爵
宮廷で大臣などの重要な役職を担う貴族に与えられる。
初期は大臣を担う貴族に与えられた一代かぎりの爵位であった。原則的に伯爵の一族から選ばれた。
その後、侯爵位が世襲されるようになる。
王国成立からしばらくして、比較的伯爵家と疎遠だった国王が地方の大領主である伯爵に対抗するため、大臣を担う家系を独立させ侯爵とした。そして侯爵には王領近くに比較的小さな領地を与えた。
領地は小さいが一族は大臣などの政府の要職に就くため、権力・財力は非常に大きい。
格としては伯爵の上位に位置するとされている。伯爵やその一族は自身の分家から出たため、同格ないし格下に見ることもある。
内務卿、軍務卿、外務卿、財務卿、商務卿、農務卿がいる。
◎ 伯爵
建国の功臣に与えられたもので、譜代に相当する。王国創立以来、七家のみ。
主に地方に大きな領地を持ち国境や要所の守備も行うため、強大な軍事力も併せ持つ。王家・伯爵家以外の貴族家も家臣を抱え軍事力を持つが、格段の差がある。
各伯爵領の大きさには差があるが、平均二十数万人もの領民が暮らしている広大な領地を持つ。
ちなみに侯爵領の平均は二万数千人、男爵領は千人に満たない。
伯爵は領地の名称を冠して「○○伯爵」と呼ばれる。
伯爵家は建国に関わった自分達の家系に誇りを持っているので、伯爵家間での婚姻が多い。王家も建国の功臣である伯爵家を優遇し、そちらから妻を迎えることが多い。
王家に関しては、その時々の国王により侯爵家などを優遇するケースもある。
◎ 子爵
官僚の貴族や伯爵の分家に与えられたもの。基本的に領地を持たない。
中央官僚の家系の場合、国からの俸給のみで生活しているものが多い。
代官を務めているものは、任地の税の一部から収入を得ている。
伯爵の場合、規模や家格に応じ、いくつかの子爵位を王家から与えられており、それを一族に分与して領内で代官をさせている。
◎ 男爵
主に地方の豪族に与えられたもの。小さな領地を持つか、領地を持たずに軍人として王国軍や近隣の領主軍で働くものが多い。子爵のように官僚として生活するものもいる。
領地を持たない男爵は、子爵と位置的に重複するが、子爵は王国成立当初からの譜代である伯爵や中央要職の侯爵からの分家であるため、格としては子爵が上とされる。
領地を持つ男爵の場合、町や村1つだけが所領の場合が殆どで、ごくわずかな例外を除いてその町や村(複数の場合は領主の館があるところ)の名称を姓とする。
騎士から成り上がり叙爵された場合は、多くは男爵となる。その場合、領地が与えられず軍務につくケースが殆どである。
男爵に限ったことではないが、爵位の格と権力や財力は必ずしも一致しない。無役で貧乏な子爵もいれば、街道沿いの町村を抱え裕福な男爵もいる。
◎ 騎士
貴族ではなく、王家や貴族が家臣に与えた地位。
軍人や官僚として政務を支える。名称は騎士となっているが、軍人ではなく官僚としてのみ仕えるものも多く、必ずしも戦闘能力があるとは限らない。
多くは代々続く家臣に事実上の世襲として与えられるが、功績のあった平民を家臣とするときに与えられることもある。
軍人の場合は士官クラス以上、官僚の場合は代官や部門の長など以上に与えられる。
貴族の子弟には成人時に称号として与えられることも多く、その場合は具体的な職務を持たない場合もある。
新たな爵家の創設が国王のみの権限であるため、男爵以上は無制限に増えることはない。しかし、騎士は貴族が任意に任免ができるため、各貴族の領地ごとに数はまちまちであり、待遇も差が激しい。
あまりに差が激しいため、王国で侯爵から男爵までのそれぞれの爵位が任命できる騎士の上限を規定しているが、王国側での把握が難しいため上限を超えている場合もある。
◎ 従士
貴族ではなく、王家や貴族が家臣に与えた地位。
王家や貴族の家臣で騎士以外のもの。軍人や官僚として政務を支える。
末端の兵士から騎士見習いまで幅広く含まれるため、能力や人品の差は激しい。
騎士や従士は税金は免除される。
騎士や従士の子供は早くから主君の元で小間使いなどとして働くことが多い。
◎ 貴族家の中の役職
・家令
使用人で一番偉い人。騎士階級の中でも上級の家臣がなる。
・侍従
使用人の上級者。騎士階級の家臣がなる。
伯爵などの上級貴族であれば子爵家や男爵家の子弟を行儀見習いとして抱えることがある。
従士階級の家臣で特に功績を上げたものが抜擢されることもあるが、大抵そのまま騎士階級になる。
・従者
使用人の下級者。従士階級の家臣がなる。
騎士階級の家臣の子弟に行儀見習いとして就かせることがある。
従士階級の場合、8~10歳くらいから手伝いに上がることが多い。