021 神々・神話
ここでは主にメリエンヌ王国やその近辺の国々で信仰される神々や宗教観、神話について紹介します。
◎ 神々
・アムテリア
惑星の最高神、光の女神。他の神々を作ったので神々の親とされる。
創世から生命の女神としても扱われる。
主人公を異世界に転移させた女神。地球の存在する世界では日本の神として存在していた。人類の成熟に伴い神々は地球から去った。
金髪に青灰色に近い碧眼。見たこともないような美女。優しげな印象。身長は170cmに若干届かないくらいに見える。
象徴: 太陽
・ニュテス
夜・闇の神。闇の神ではあるが邪神ではない。
男女どちらにも見える外見で表現されることが多い。
人々の眠りを守ると言われており、安らかな眠りを得たいときに祈る場合もある。
死者を弔うときに呼びかけたりする。
死者はニュテスの手で眠りにつき過去を忘れた上で、アムテリアが新たな生を与えるという伝説がある。
象徴: 月
・ポヴォール
力・戦いの神。戦士がよく信仰している。
鼻が高く赤い肌で大きな岩を抱え上げた立像として表現されることが多い。
人間のうち、戦いの神ポヴォールを信奉したものが獣人族になったと言われている。
象徴: 炎
・デューネ
海・水の女神。船乗りがよく信仰している。
天候により多彩な表情を示す海を象徴しているため、様々な面を持つ女神とされている。
特に、穏やかな凪の海・激しい嵐の海・静かな夜の海の三つの面が強調される。
象徴: 水
・サジェール
知恵・情報の神。商人がよく信仰している。
学問の神の側面もあるので、学者などが願掛けに祈る場合もある。
人間のうち、知恵の神サジェールを信奉した者が人族になったと言われている。
象徴: 風
・テッラ
大地・金属の神。ドワーフ族では特に信仰される。
鍛冶道具を持つ立像として表現されることが多い。
人間のうち、大地の神テッラを信奉したものがドワーフになったと言われている。
象徴: 地
・アルフール
森の女神。エルフ族では特に信仰される。
花が咲き誇る枝を手にした立像として表現されることが多い。
人間のうち、森の女神アルフールを信奉したものがエルフになったと言われている。
エルフの伝説では、アムテリアの娘の一人であるアルフールの眷属が地上に降りエルフになったとされている。
象徴: 木
◎宗教
・宗教観
アムテリアが最高神であることは広く知られている。ただし「惑星」という概念を持っている人は殆ど居ないため「この世界の最高神」という表現が一般的である。
アムテリアは創世神として扱われる。この太陽系や惑星の環境を調整し、生き物を創造したので間違いではないが、正確にはこの世界全体は作っていない。
多くの人はアムテリアおよびその従属神を信仰するため、広義の意味ではそれらの人々はアムテリア教の信徒といえる。ただし、エルフはアルフールを、ドワーフはテッラを特に信仰するなど、種族や職業によって特に信仰する対象を持つ場合もある。
多くの人はアムテリアを主神として崇め、その時々の目的にあった神に祈願する。
・神官の位置付け
神官になり、修行をして神の意思に沿って生きると加護が与えられるか、元々持っていれば強化される。
ただし、主人公が持つ加護はけた違いに大きく、比べ物にはならない。通常の神官の持つ加護は、常人よりはちょっと上、例えば水をコップ一杯しか出せない人が桶一杯から風呂桶程度になる、というぐらい。
主人公のような風呂桶の何万倍、というレベルにはならない。
仮に、信仰を失ったり神の意思に背いた行動をとると加護がなくなってしまう。加護をなくしたら神官をやめさせられる。
加護を失って神官をやめた者には世間の目が厳しく、仕官はできないし公職にも就けない。
貴族出身なら普通に神官をやめただけなら貴族籍に戻れるが、加護を失った神官は貴族出身でも貴族籍を剥奪されたままとなる。
そのため、欲のために神官になって加護をもらおう、という人はいない。元々魔術師や身体強化ができる武人は、あまり神官になろうとはしない。
神官は清貧、博愛を基本とする。肉食・妻帯は可能であるが、過度の贅沢は許されない。
女性神官もいる。
・神殿
神官達が集まって活動する信仰の場。
殆どの神殿は世俗的な権力とは関係ない。だが、例外的に聖地サン・ラシェーヌのように王家の成立と密接に関係しているものもある。ただし、その場合も政治に介入することはなく、神々が認めている王家を支えるという立ち位置である。
神殿には「何々神の神殿」というものはなく、どの神も基本的に分け隔てなく祭っている。
ただし地域や国家によって、そこに多い民族の信仰する神を重視して祭っているケースは多い。
ドワーフならアムテリアを最高神とするのは変わらないが、大地・金属の神テッラを2番目に重視し、神像なども2番目に大きいものにしている。
◎ 神話
アムテリアの創世の偉業を記した書物として『創世記』がある。以下はベルレアン伯爵家の家令ジェルヴェの『創世記』に関する説明を下に再構成した(本編3章1話より抜粋)。
この世界は、大神アムテリア様がお姿を現すまでは、とても生き物が住める場所ではありませんでした。
大地は火を噴き、海は荒れ、空は厚い雲に覆われて豪雨が降り注ぐ、そんな有様で人々どころかどんな生き物も住むことはできなかったのです。
そこに、大神アムテリア様が降臨され、世界を造りなおしたのです。偉大なる大神の御業により、世界は今のような穏やかで祝福された地へと生まれ変わりました。
次に、大神アムテリア様は自身の子である神々をお創りになりました。
闇の神ニュテス、知恵の神サジェール、戦いの神ポヴォール、大地の神テッラ、海の女神デューネ、森の女神アルフールの六柱の従属神をお創りになり、それぞれに役割をお与えになりました。
また、このときご自身や従属神に仕える眷属もお創りになったと聞いております。
最後に、我々人間を含む、あらゆる生き物をお創りになりました。
大神アムテリア様は、あらゆる生き物に魔力という恩恵を与えました。
そのため、全ての生き物は自身の特徴をさらに生かすことができるようになったのです。
しかし我々人間には、肉体的には特別な力はありませんでした。
人間は、他の生き物に比べ高い知能を持っており、大神アムテリア様から言葉も授かりました。
知恵を使って生きていくように、との配慮だったのですが、他の生き物のように魔力を生かすことのできる強さや素早さはなかったのです。
自らの弱い肉体を嘆いた人間は、神々に不公平だと訴えました。
すると、四柱の神々が、それぞれ自分を信奉する人間に力を授けると名乗り出ました。
知恵の神サジェールを信奉したものは高い知性を得て人族になりました。
戦いの神ポヴォールを信奉したものは強い力と素早さを得て獣人族になりました。
大地の神テッラを信奉したものは頑健な肉体と鉱物を扱う技を得てドワーフになりました。
森の女神アルフールを信奉したものは植物のような強い生命力と長い寿命を得てエルフになりました。
こうして人間には人族、獣人族、ドワーフ、エルフの四つの種族が生まれたのです。
そして最後に大神アムテリア様が、人間達に知恵をもって魔力を使う方法、つまり魔術を授けました。
人族とエルフは、肉体的な強さを持っていなかったので、熱心に魔術を学び、逆に獣人族とドワーフはそれぞれの力を使って生きることにし、魔術はあまり熱心に学びませんでした。
このように世界が創られ各種族が誕生したのが、現在でいうところの創世暦元年です。
その後、神々は人間に文字、農業、狩猟、建築など生きていくのに必要な様々なことを教えました。
人々が知識を理解し生活できるようになるまで、数十年ほど神々とその眷属の方々は頻繁に人間の下を訪れ、指導したといいます。
百年ほどの時が経ち、人間が自分の力で新たな知識を得て活用できるようになったとき、神々と眷属の方々は地上を去りました。
その後は、ごくまれに地上に降臨される以外は、普段は天上から見守っているのみとなったのです。




