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鍋と夢

作者: シュウ

うちの鍋は異世界に続いている。


鍋と言ってもカレーを作るような大きめの鍋ではなく、ウインナーを5本ぐらい茹でることが出来そうな小さな片手鍋である。

ある日、その片手鍋を使ってそれこそウインナーを茹でようとお湯を沸かしていた。

お湯がいい感じに沸騰して、ウインナーをポチャンと落とすと、そのまま消えてしまったのだ。

『あれ? 入れそこねた?』と思って、鍋の周りを見てみたけど、ウインナーの姿は無かった。

すると突然鍋から声が聞こえてきたのだ。


『うおっ! なんだこれ!』


最初僕は鍋が喋っていると思って驚いたが、その後も大きな声で声が聞こえてくるので、なんか違うと判断して声がする元を探してみた。

探した結果、やはり鍋から声が聞こえてくるみたいで、僕は恐る恐る鍋の中を覗いてみた。

するとなんということだろう。

鍋のお湯の向こう側に、人の顔があるではないか。

その顔に驚いて僕は後退りをした。

しかし放っておくわけにもいかないので、恐る恐るもう一度鍋の中をのぞき込んだ。


「お、お前何してるんだっ?」

『お前こそなんなんだよ! この茶色いのなんだよ!』

「茶色いの? もしかしてウインナーのことか?」

『これウインナーっていうのか?』

「ウインナーも知らないのか。ってゆーかお前誰だよ」

『俺? 俺はアイエル王国のタットだ! 俺を知らないなんていい度胸だな!』

「アイエル王国? なんだそれ?」

『はぁ? そういうお前はどこの誰だよ』

「僕は日本のヨースケだ」

『ニホン? そっちこそなんなんだよ』


僕は考えた。

もしかして・・・もしかして・・・

これってファンタジーとかいうやつなんじゃ・・・

だったらやることは一つ。







僕はその後、タットと仲良くなるために、コミュニケーションを取り合った。

どうやらこの片手鍋を火にかけている間だけ異世界とつながってしまうらしい。

まぁつながる理由なんてどうでもいい。

僕は僕の夢を叶えるだけだ。


そう。


自分がファンタジーストーリーの主役になるという夢を叶えるんだ!

今は片手鍋のせいでからだ全部が鍋を通ることができないので、ウインナーだけを通し続けている。

そしてこのタットとの関係が途切れないように、僕は毎日かかさず片手鍋でお湯を沸かすのだった。

発想は良かった。

だが内容が付いてこなかった。

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