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殺人鬼は異世界に来てしまったようです  作者: ひまめ
魔と聖が混濁する世界
39/91

目的達成からのドナドナ。約束ばっかだなおい

「―――――ゥ」

     by響夜


「ドナドナ~」

      byエルザ


只今エクレール。現在宿屋の中です。

そして、最近良く気絶する響夜です。ぼこぼこだよ、力の差があり過ぎだよ、悪かったな畜生!!・・・・などと逆ギレしても結果は変わらないがな。


「久しぶりだなエルザ。そしてサンキュー」


俺は目の前にいる恩人に礼を言う。多分エルザがあの野郎をどうにかしたのだろう。


「いえ、此方こそジークフリートが迷惑を掛けてしまって済みません」


そう言って頭を下げるエルザ。正直此奴は色々と損をしてると思う。絶対苦労してるだろ。俺は思わず生暖かい目でエルザを見る。


「や、止めてください。そんな哀れなものを見るかのような眼を此方に向けないで下さい」


その視線にエルザは頭を抱えて部屋の隅で蹲る。やはり苦労してるのか。そんな役割で大変だな・・・俺は絶対にそんな役割にはなりたくないけどな。


その生暖かい視線は数十分ほど続いた。


 ◆


「しかし、よく俺が此処を目指してるのが分かったな・・・」


そこはかとない疑問。これを偶然という程俺は頭が平和な奴じゃない。偶然はほぼあり得ない。なら此奴等が俺の動向を監視していたという線が浮かび上がる。他にも可能性はあるがこれが一番濃厚だ。


「ええ、というか影法師・・・あ、ノア、アレイスターがあそこを通れば貴方に会えるから迎えに行けと」


あいつどっから監視してやがる。ストーカーか?そっちの才能でもあるのか気持ち悪い。


「で?今から向かった方がいいのか?てか何処にだ?」


「あ、そのことは後に話します。多分現物を見た方がいいので・・・」


・・・?現物?何のことかは分からないが後から話すなら問題ないか。


「それで、今からどうするんですか?」


「ああ、ウサ公に時計持たせるのに城にいる奴に用があんだよ」


「・・・時計、ですか?」


首を傾げて聞いてくるエルザ。俺は言ってしまってから内心しまった、と舌打ちをする。もしかしたらこっちの世界には時計が無いかもしれないってのに・・・。


「あ~、知らないか?円盤に1~12の数字が書いてって針で今の時間を指してる物なんだが・・・」


その言葉にエルザは僅かに首を捻る。


「いえ、聞いたことがありませんね」


「・・・そうか。まあ、後で現物見せてやるよ」


俺はそう言うとエルザと共に宿を出て行く。えるざも今は顔を隠してるから本人とは気付かないだろう。

城に向かう中やはり国民の中にも僅かに動揺が見られた。突然今迄の考え方を変えるよう言われたのだ混乱するのも無理はないか・・・。

そんなことを考えながら俺とエルザは進んで行く。そしてやがて見えて来る城門と番兵。


「ウサ公。出て来い」


すると俺の影の中からウサ公がひょいっと出て来る。ウサ公は何故呼ばれたのか疑問に思っているのか首を傾げながら俺を見る。


「ウサ公、先に入って中に誰もいないか見て来い」


使い魔には視覚共有やらがあるからどうなっているのかは使い魔を通して見ることが出来る。何かあっても感覚で何となく分かる。


「みゅう!」


ウサ公は元気良く一声すると中へと入っていく。小さいから障害物に隠れて番兵にも見つからない。


「それで私達はどうやって入るんですか?」


「ん?お前も来るのか?」


「ええ、何かあっても困りますし・・」


まあ、そりゃそうか。変なことに巻き込まれて逸れるなんてことになったら面倒臭いしな。


「・・・どうするか」


呪でも良いんだが・・・。それだと面白くねえしな。


「・・・壁、超えるか」


「―――え゛」


如何にも嫌そうな声がしたが知らん。この程度ならそこまで苦労しないだろうに。俺は城門から離れ人目の付かない茂みに身を潜める。ここなら番兵にも見つからないだろう。


「一気に行くか。神殺しのグレイプニル


出現した鎖は城壁の壁に突き刺さる。俺達はその鎖の上を器用に走りだした。


「何処の忍びですかこれは・・・」


背後でエルザが呆れたように言う。というか・・・


「忍びなんているのか・・・」


「ええ、まあ・・」


まさか和もあるとは恐るべし異世界。暗殺者と忍びで仕事の喧嘩でも起こしそうだな。このままだと和洋中と凄いことになるんだろうな・・。


「っと、到着だ」


俺は壁に張り付くと近くの窓から中の様子を窺う。


「・・・・いるなあ」


中には何か作業をしている様子の兵士。一人なら何とかなるか・・・。


「・・・・あらよっと」


俺は窓を割り中へと入る。その音に兵士はびくっ、と肩を揺らし背後に振り向く。ご愁傷様。


「御邪魔しまーす」


まあ顔面に俺の拳が減り込むだけなんだけどな・・。鈍い音を立てて兵士はその身体を背後に反らし壁へぶつかった。確認してみたがどうやら気絶しただけらしい。流石に殺すのは拙いからな。


「早速問題起こしましたね・・」


「大丈夫だろ」


音が響いたのが少し心配だったが誰かが駆け付ける音は聞こえてこない。それに俺は安堵すると周囲を見渡す。


「鎧は・・・むしろ音がなるから不便か」


甲冑なんかは俺達のサイズに合う物がなかったり音が鳴って不審に思われるからな。


「そうですね。尤もこの姿で中に入るほうがよっぽど面倒ですけど・・」


「そこは気にすんな」


俺は先に中に入っているウサ公と視覚を共有する。

どうやら今のところ問題はないらしい。ここの兵士大丈夫か?


「・・全速力で走るか」


「・・・・本当にやるんですか?」


「勿論」


俺達はその言葉と同時に部屋の扉を開けて走り出す。途中出会ったり音で駆けつけて来た奴らは全員気絶させている。主にエルザに任せて・・・。


「このまま直進、二番目の曲がり角で右!」


「はい!」


俺達はその速度を維持したまま二番目の曲がり角を曲がり


「うおっ!――――っだあ!!」


誰かにぶつかり廊下を転がった。


「痛ェだろがクソが!!」


「うっせえクソ虫!テメェがそこにいんのが悪いんだろうが!!」


立ち上がった俺は怒り心頭で俺達に怒鳴る男を見る。


「「―――――あ?」」


そこには俺と同じように間抜け面しているノーレンの姿があった。


 ◆


「んだあ?ようはティミデスの部屋に行きたいのか?」


あの後一悶着あったが此処では目立つと今俺達はノーレンに宛がわれた部屋の中にいる。


「よく俺達のこと追い出さなかったな」


「んなもん敗者は勝者に従うからに決まってんだろうが・・・。こんなもんでそっちに有利になっても俺は詰まんねえんだよ」


俺的には好感が持てる性格だ。状況にもよるんだろうが・・・


「だったら特別客として扱ってやるよ」


此方として願ったり叶ったりだが・・・


「その代わり?」


俺の言葉にノーレンはニヤリと笑う。


「後で俺と戦え」


「・・・・・・・」


どうすっかなあ。でもそれ位で済むんだったら


「・・・後でで良いならな」


「決まりだ。約束は守れよ」


「テメェこそ説明しとけよ」


俺達はそれだけ言うと部屋から出る。これで気兼ねなくあのメイド――――ティミデスだったか?正直全然覚えてねえ――――に会いに行ける。

俺はウサ公を呼びもどすとノーレンから教えてもらったメイドの場所へと向かう。思ったよりつまらな・・・もとい楽になったな。




正直に言えば部屋まで行く必要もなかった。俺達がメイドの部屋へと向かっていると丁度曲がり角からメイドが現れたのだ。俺を見たとき咄嗟にナイフを構えようとしていたがそれより早く俺が客だと説明した事により無事だった。・・・・あれ?視界が赤い。しかも頭に違和感が・・・。


「それで何の用でしょうか」


相変わらず此方を警戒したままメイドが尋ねて来る。別にそこまで警戒することねえだろうが、俺が何かしたか?


「ええ、お嬢様共々散々ボロボロにされた挙句金属を脚に打ち込まれました」


「あ?俺声に出してたか?」


「いえ、何となくそう思っているのではと・・」


最近のメイドには戦闘能力以外にも読心術が必要なのか。


「そんなわけありません」


読心術は必須らしい←確定


「ハア。・・・それで何の用でしょうか」


メイドは溜息を吐いて呆れたような視線で俺を見る。何で俺がそんな眼を向けられなくちゃいけねえんだよ。エルザだけで十分だ。


「響夜君、話が進みませんよ」


背後にいるエルザの言葉にそれもそうかと俺は用件を言う。つうか君つけんな。


「実はな――――」


 ◆


結果から言えば成功・・・なのか?


「これが限界ですね」


「これだけ出来るなら相当なものですよ。それだけ若いのにここまで扱えるのは相当なものですよ」


時計は今もその秒針を動かし正常に働いている。結果としては対象物の動きを僅かに遅くすることが出来る様になった。だがそれも自分よりも弱いモノや魔力耐性の低い奴らだけだ。当然クラウンの奴らの動きを遅くすることなど出来ない。よくてDランクの魔物位だろう。


「ま、これでも良いか。サンキューな。お陰でウサ公の安全性が高まった」


「まあ、これ位で良いと言うなら・・。あ、条件は忘れないで下さいよ」


「ん?・・ああ、分かってる」


確かアリアと何処だか出かけるんだったな・・・。


「正直、それでお前に得なんてあるのか?」


絶対得しねえと思うんだが・・。


「はい、私にとっては得ですから・・」


・・・まあ、本人がこう言ってるならいいか。しかし、今日は約束ばっかだな。


「まあ、サンキューな。その約束はまた今度来た時で」


「ええ、構いませんよ」


「それでは、ご迷惑をお掛けして済みません」


「いえ、此方こそ有意義な時間だったので・・・」


俺達はそう言って城を出て行く。他の奴等にも会うのかと思ったがどうやら色々忙しいらしい。って当たり前か。むしろ俺がおかしいんだな。


「んじゃ、帰る「では他のクラウンの下へ行きましょうか」・・・そういやそうだったな」


笑顔が怖いが本当に俺は素で忘れてたんだぞ?決してわざとじゃない。


「さ、行きますよ」


「・・・・・・」


俺は襟首を掴まれながら引き摺られていく。つうか首が、締まる・・・。ウサ公も、気付いてくれ・・・。


「・・・・・ゥ」


エルザ達がそのことに気付くのは30分以上経ってからだった。


感想、批判、意見、評価などがありましたらお願いします。



第二章でのエクレール登場はここまで、と言ってももうすぐで第二章も終りなんですがね・・。

お気に入り、評価ありがとうございます。少しぶりに評価、お気に入り見たら多くなっていたのでモチベーションが上がりました。

これからもこの作品をよろしくお願いします!


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