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殺人鬼は異世界に来てしまったようです  作者: ひまめ
魔と聖が混濁する世界
26/91

弱い奴ほど何かを持つらしい。今まで生き延びてきたからなのかねえ

「これを創るのには苦労した。いろんな意味で・・・」

                        by響夜


「・・・・・・」


あ~・・・苛々する。俺は乗っていたバイク―――既に見た目も中身も化け物になっちまったが元は隼と言う物だ。俺が創った神器でも一番凶暴な物だろう。―――を止めると懐から煙草を取る。想像形成で創った害の無い物だ。こうして使うとこのスキルの異常性も良く分る。


「・・・・あ~」


取り敢えずイラつきは治まったがどうせ直ぐに再発するのだろう。俺はそれに辟易しつつも半ば諦めた様に煙草を吸う。

元々俺のイラつきは煙草で治まる物じゃないし、殺しても治まることはない。一応治まる手段は一つだけあるがここでは特に関係するものでもない。


「ようやく半分か」


半分、実際星の墓場を経由すると一カ月はかかるから近い場所から出たがそれでも二週間は掛かる。その距離をたった二日で半分も進む。・・・・異常だな。まあ今回は魔力もすべて速度出すのに回してたから当たり前なのかもしれないが。・・・・一応神器だし。


「少し歩くか・・」


俺は乗ってきたバイクを倉庫にしまうと森の中を歩いて行く。今は夜だから魔物も多くいるだろう。腹減った。

森の中を歩いていると少し奥から明かりが見えた。


「・・・・人か?」


見つからないよう木の影隠れながら様子を窺う。見たところ五人組のパーティーらしい。女が二人に男が三人だ。どうすっかなあ・・・。襲って全員殺すか?女はゴブリン共に渡して孕まされるのでも眺めてるか?いや、身包み剥いで素手で魔物共と戦わせるのも良いな・・・。どっちにしろ女は男より利用価値は高いし大した抵抗もされないから一通り試してみるか?

まあ、どっちにしろ見張りをどうにかしないと駄目なんだが・・・。


「・・・・保留だな」


俺はそう考えるとその場を立ち去る。取り敢えずこの辺りの魔物みとかねえとな。

そんなことを考えながら歩いていると茂みが揺れる。念の為何時でも殺せるようナイフを構えておく。


「みゅ」


「・・・・・」


だがそこから出て来たのはとても危険には見えない白い毛並のウサギ。目は赤い。


「お前俺と被り過ぎだろ」


白と赤なんて俺と同じじゃねえか。仲間か?

ウサギは言葉が分からないのか首を傾げる。


「まあ、良いか」


美味そうではあるが此奴は食わないでおくか。

そんなことを思いながら俺はウサギを撫でる。ウサギも悪い気はしないのかされるがままだ。


「良し、他の魔物探すぞ」


「みゅ!」


恐らく此奴は群れから逸れた奴だろう。なら他にも此奴の仲間がいる筈だ。俺はそう考えるとウサギを連れて歩き出す。


 ◆


正直に言おう。ウサギが怖い。最初は可愛げのある只のウサギ。俺の印象はそれだった。だがいざ他の魔物を見つけた時奴はとんでもねえ生物だと言うことが分かった。

それは俺が此奴を囮にして獲物を仕留め様とした時だった。ウサギが獲物を誘き出す役目として魔物の前を通り掛かる時――――――振れた魔物が黒こげになった。

は?と思うだろう。実際俺はマジでそんな声を出した。黒こげだぞ黒こげ。こんな人畜無害に思えるウサギが魔物を黒こげだぞ?俺が触った時にこんなことにならなくて良かったと心底安心した。

どうやらこのウサギ外敵が触れると高圧電流か何かを流すらしい。とんでもねえウサギだ。


「・・・もう腹はいいか」


諦めよう。ウサギに任せるのは駄目だったんだ。俺はそう思って先程の五人組がいた場所に戻った。


「破壊音が五月蠅いな」


先程五人組がいた場所からは戦闘を知らせる破壊音が聞こえてくる。近くへ行ってみると素晴らしい状況だ。魔物VS山賊VS五人組。何だこの素晴らしい状況。俺手え出さなくて良かったな。

そのままこの状況を静観しているがどうやらどれか山賊か五人組が逃げようとしても残りの二グループがそれをさせないようにしているようだ。魔物たちはトロールを中心としたオークで構成された奴らだ。うん、捕まったら最低でも女は子を産まされるな。山賊どもは戦いのなかを上手く立ち回り漁夫の利を得ようとしている。五人組は丁度二グループの間にいるため両方からの攻撃で劣勢だ。


「―――――」


そんなことを考えているうちにローブを着たおかっぱの女の肩に矢が刺さる。それによって五人組は火力不足になり五人組は敗北の色が濃くなる。


「少し調整するか」


俺はウサギに指示すると山賊達の後方に回り油断している一人を黒こげにする。その叫び声に山賊達にも動揺が走る。


「はいアウト」


俺は奴らの上空に剣群を創り出すと山賊に落とす。その突然の事態に山賊どもは対応できず次々に串刺しにされていく。いやあ、愉快愉快。久しぶりに殺したが中々の叫び声だ。

どうやら五人組や魔物共も茫然としている。ち、折角調整したのにここで終わるのは避けたい。俺は剣群を消すと一体のオークの眉間を打ち抜く。その音で五人組も魔物共も今の状況を思い出したのか対峙する。だが今のが何なのか分からない以上互いに周囲を警戒しているようだ。

俺は帰って来たウサギを撫でながらその様子を眺める。


「あ、男が死んだ」


注意が散漫になっていたところを一体のオークが切り裂いたようだ。一人が死ねばそこからは総崩れ数の暴力に五人組・・・・いた四人組は押されていく。


「・・・」


どうするか。助ける気は端から無い。助けても俺に特ないし。最後に残った奴は俺が殺すか。そんなことを考えていると何時の間にか残り二人の男も斬り伏せられ残っているのは弓使いのエルフとおかっぱの女。・・・・そういえばエルフって排他的種族じゃなかったか?

女どもの抵抗むなしく二人は捕らえられる。


「想像形成」


俺は女がオーク共に侵されていくのを眺めながらスキルを発動させ一本の槍と長剣を創る。トロールは死体を貪っている。どうやら今のところ女よりも食らしい。取り敢えず


「それは飯を食っていない俺への当てつけか?」


俺はトロールへ強襲しその首を刎ね落とす。その突然の出来ごとに動くことの出来ないオーク共を斬り伏せる。断末魔も醜いな。


「神殺しのグレイプニル


俺は神殺しのグレイプニルを使うとその場にいたオークを一気に殲滅する。


「あっさりしすぎたな」


その光景を見て俺は溜息を吐くと二人を見る。そこにはオーク共の精液で薄汚くなった女の姿があった。その目は既に焦点が定まっていなく虚ろな眼をしている。


「どうするかなあ」


取り敢えず俺は女に歩み寄る。


「おーい。聞こえてるか―、聞こえてないならこのまま殺しちまうぞ~」


おかっぱは完全に精神が崩壊してるっぽい。何か笑って欲しがってる。何をとは言わないが正直気持ち悪い。エルフの方はどうやら多少の理性は戻ったらしく泣きながら俺を見ている。

こっちの方が面白いか・・・。


「ご機嫌麗しゅう。高潔なるエルフの娘よ」


俺は一礼するとエルフに歩み寄る。


「他の者はどうやら間に合わなかったようだが貴方だけでも助けられて良かった」


俺はまるで偶然通りかかった様に言う。オーク達のお陰で思考も纏まっていないだろうし多少の役には立ったか・・・。

俺はエルフの頬を撫でると顔を近付ける。


「あ・・・」


「少しお聞きしたいことがあるのです。よろしいでしょうか?」


オーク達はこういったことをする際に相手を発情させるフェロモンの様なものを放つ。当然このエルフはそれを十分過ぎるほどに嗅いだのだ。発情していないわけがない。そしてそれは時間が経つ毎に増していく。


「エクレールのことについてなのです。お話していただければ貴方の望むものを・・・」


「あ、・・・お願い。私を・・・」


ちょろいなあ。いや、オーク共のフェロモンの所為だと分かっていても見るの初めてだから何とも言えん。これ拷問か何かで使えんじゃね?

そんな考えはおくびにも出さず俺はエルフの唇に人差し指を当てる。


「ええ、承りました。ではエクレールについても・・」


「は、はい」


ほんっと・・・ちょろいなあ。


 ◆


朝方、俺は肩に昇っているウサギを撫でながら森を出ていた。あのエルフからは思った以上の情報が得られた。どうしたかって?当然消したけど?顔見られてるし生かす価値ないし・・・。本人も満足出来てたから良いんじゃねえの?オークの子供を産むよりましだろ。

エクレール、魔族を忌み嫌う国の中で最も戦力を持ち近隣諸国を統括している国らしい。それぞれの国の勇者も一人一人が一騎当千の実力を持つ猛者共。何より聖女とやらの聖魔法、そして神聖術はとんでもないらしい。神聖術ってのは神の使徒を一時的にこの世界に顕現させる物らしいぶっちゃけ天使?を召喚する物らしい。最後にその国の王である聖王と天竜アカーシャってのが国で最も強く最強と言われている程であるらしい。その輝きは決して曇らず、放たれる一撃は山を砕き天を裂くとか・・・。


「いや、ねーよ」


天竜はともかく聖王はクラウンでもないのにそこまでの力はねえだろ。少なくともマオよりは劣っているというのが俺の予想だ。

そして何よりこの情報はでかかった。何千という月日を生きた者はその身に神の力を宿すらしい。つまりは身体・・そいつ自身が神器のようになるらしい。マオが眉間撃たれても死ななかったのはそういうことか・・。

俺は倉庫から再びバイクを取り出すと吹っ飛ばされないようウサギに補助用の魔法をかける。目的のエクレールまであと少しだ。


「いっちょ派手に行きますか」


「みゅ!」


俺はウサギを撫でるとバイクを走らせた。あとには静寂が立ち込める森だけがあった。


感想、批判、ご意見がありましたらどうぞ送ってください。




クリスマス・・・・消し飛べばいいのに。

というわけでhimameです。今回トロールやオークはルビを振るかどうか迷いました。最初それぞれ考えてはいたのですがトロールは他の魔物とかぶりそうだしオークにルビはなあ。というわけでゴブリンは横文字だし此奴らもいいかと考え横文字にしました。


お気に入り登録が1件ずつですが増えてきて嬉しいです!!これからも少しずつ増えるよう頑張りたいと思います!!あと出来れば評価などもしてくれるとありがたいです。今後の文章の書き方を考えたりするのに役にたちます!

というわけで後書きが長くなってしまいましたがこれからもこの作品をお願いします。

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