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殺人鬼は異世界に来てしまったようです  作者: ひまめ
殺人鬼と漆黒の御姫様
22/91

殺人鬼達の殴りこみ

「想像・・形成・・」

         by響夜


「・・・やってられねえ」


俺はそう愚痴る。だがそれも仕方ないだろう。


「少ししつこくありませんか」


街を出てから馬車で移動しているのだが―――


「・・・あの野盗殺して良い?」


そう先程からずっと馬車の近くで野盗が何か叫んでいるのだ。よくこの馬車襲おうと思ったな。俺なら絶対襲いたくねえよ。


「・・・あ~、何匹か残しておけよ?」


少し実験したいしな。丁度いいといえば丁度いいか。


「・・・ん」


ハクは一度こくりと頷くと馬車の外に出る。


「そういや戦う時どうすんだ?」


俺はふと疑問に思っていたことを声に出す。いや、気にならないか?見た目獣人だがあいつは白銀狼だぞ?

俺は疑問を解消する為に馬車の外を見る。


「・・・・こんな美術館は嫌だな」


外を見た俺は苦笑する。野盗も可哀そうに。そこには何人もの男の氷像があった。脚が砕け散った物、逃げ出そうとしている物と様々だ。俺的にはもう少し赤の染料と生々しさが欲しいな・・・。

俺はそれを確認すると馬車から降りる。ハクは人間の姿をしたままだ。


「・・・きょーや」


「気分の方はどうだ?」


「少しだけ・・・満足」


ハクはそう言うと残りの奴らを見る。全員脚を凍らされ動くことが出来ないようだ。俺達のことを化け物でも見るかのような目で見ている。失礼な奴らだなおい。


「あれ、どうするの?」


「ん?・・・まあ実験だな」


悪魔の心臓グリモア・ハートのこともあるしな。俺はハクにそう言うとまだ生きている残りの男達に近寄る。


「ひっ!く、来るんじゃねえ!!」


「酷くないか?俺だって傷付くんだぞ?」


まあ、別に実験動物マウスに何言われても大体のことは平気だけどよ。


「逃がしてやってもいいぞ?」


俺の言葉に男達は顔を上げる。どんな奴だって死にたいとは思わないだろう。そう思う奴は自分じゃ何も出来ない屑だ。


「俺が今からお前らにあることをする。それでもお前達が一人でも正気を保てたら全員の傷を治して逃がしてやるよ」


男達は若干怯えながらも頷く。よし此奴らは承諾した・・・。


「・・・それじゃ始めようか」


自分でも嗤うのを抑えることが出来ない。此奴らは自分達が何をしたのか分かっていない。ああ、そこまで酷いことじゃない。ただ―――


「・・・壊してやるだけだからよ」


 ◆


「おいおいおい、逃げんなよ」


俺は走って逃げている男の頭を掴み地面に叩きつける。何か呻くがそんなもんは関係ない。


「手間掛けさせるんじゃねえっつうの」


俺は手に持ったナイフを男に突き付ける。


「そんじゃ・・・派手にぶちまけろや」


瞬間、男の体が膨れ上がり爆発した。


「・・・・微妙」


俺は降り注ぐ血の雨と臓器、肉塊を見ながら呟く。門を開ける時に少しはしゃぎ過ぎたかこの程度では満足出来ない。


「そういや今のが最後か」


俺は来た道を振り返る。そこには頭が、腕が、脚が、臓器が、血痕があった。それらの男達の死体が来た道を教える道標の様になっていた。


「・・・今度どこかで暴れるか」


俺はそう考えると血まみれになった服と体を拭きながら二人の下へ戻る。少し遊びすぎたな。


 ◆


「少し時間をかけ過ぎですよ」


馬車に戻った俺への一言は予想通りのものだった。ハクも何も言わないがその目がエルザと同じことを伝えてきている。


「悪かった」


俺は一言言うと馬車に乗る。なんというか・・・


「意外だな」


「何がですか?」


「お前みたいな真面目な奴はてっきり何か言うと思ったんだが」


俺がそう言うとエルザはきょとんとし、苦笑した。


「クラウンにもそういう特殊な人はいますからね。むしろそういう人の集りのような物ですから」


「そうかよ」


とんでもないことを聞いた気がするが気のせいだろう。


「・・・マオの臭い」


俺達がそんなことを言っているとハクがぽつりと呟く。


「・・・そうか」


俺達はその言葉を聞くと同時に馬車から降りる。


「でも、すぐそこで消えてる」


「あの時の騎士の魔力もここで消えてますね。・・・いえ、これは別の空間に入って行きましたかね」


ハクの言葉にエルザも同意する。


「・・星の墓場ねえ」


俺達がいた街からは飛ばして三日程かかる距離。まあ今回は急ぎだから馬にも無理させまくったが。

俺達の目の前には雪原と幾つもの巨大な結晶が広がっている。


「・・・・どうするの?」


「エルザ、お前何とか出来ねえの?」


俺の言葉にエルザは思案する。


「一応出来るには出来ますが・・・。強引に抉じ開けるので危険ですよ?」


「構わねえ」


俺の言葉に同意するようにハクも頷く。それを見たエルザは腰に帯剣している騎士剣を抜く。


「雷鳴轟かす勝利の咆哮フリスト・ヒルド


その言葉と同時に響く雷鳴。エルザは蒼い雷を纏い剣を構えた。その姿からは今迄にない程の魔力を感じる。


「――――――」


神速。視認することの出来ない程の速度でエルザは剣を振る。その一撃は周囲にあった結晶を粉砕し辺り一帯を陥没させた。


「―――――っ」


その衝撃に俺は目を瞑る。どれだけの破壊力だったのかは想像に難くない。俺は改めてエルザがどれほどの手加減をしているのかを悟った。戦えば恐らく俺はエルザに一太刀浴びせる前に斬り伏せられるだろう。


「・・・・・・・。」


俺達が目を開けるとそこには変わり果てた大地と罅割れ裂けた黒い空間。


「何、やったの?」


ハクも疑問に思ったのだろうエルザに問い掛ける。


「いえ、少しばかり空間を切り裂いただけです」


「「・・・・・・」」


簡単に言うがそれってありえないだろ。それともクラウンは皆そんなことが出来るのか?俺達はその言葉があまりにも現実離れしていて目の前の現象を信じることが出来ず茫然としていた。


「さ、行きましょう」


俺達はエルザの言葉に躊躇いながらも頷くとその後を追って黒い空間の中へと入って行く。


「・・・・すごい」


空間の中は外とはまるで違う世界だった。夜空が広がり星が輝いている。地面はまるで水の上に立っているようで空から星が落ちてくる度に水面が揺れる様に波紋が広がる。


「・・・・ここは何処なんだ?」


俺は前にいるエルザに問い掛ける。


「空の魔法と似ていますが恐らく此処は一種の別世界ですね。魔法と違い自然現象で此処は生まれたんだと思いますよ」


世界ってのはとんでもない存在らしい。この世界ともいえる規模の空間を創るとは・・・。


「それで?行くんでしょう」


俺達の先、そこには城があった。最も巨大であるために城壁だけでとんでもなくでかいんだがな。


「ああ、どれだけ問題を起こそうがお前らの責任になるだけだからな」


「・・・お手柔らかにお願いします」


俺の言葉にエルザが苦笑する。


「どうやって入るの?」


「決まってる」


下手な小細工は必要ないただ


「障害は破壊するだけだ」


俺の言葉に二人が苦笑する。だが二人とも悪い気はしないらしく笑顔だ。


「・・・任せて」


ハクは聳え立つ城壁に手を向ける。


「凍てつく氷河よ その牙をもって獲物を蹂躙せよ」


荒ぶる魔力の奔流はやがて巨大な氷柱へと変わる。


「穿て」


放たれる氷柱。その数は実に三十を超え城壁を破壊せんとその牙を剝く。


―――ドガアアァァン!!!


その氷柱は城壁を易く破壊し城へと攻め込んだ。


「やるねえ」


破壊された城壁を見て俺は口笛を吹く。


「そんじゃ、行きますか」


俺達はそう言うと騒がしくなってきた城へと歩いて行った。


 ◆


「ハハハこりゃあ良いなおい!!」


 闇に染まった城の廊下。今そこは戦場と化していた。


「おらあ、次はどいつだァ!?」


その戦場の中を響夜は走っていた。


「賊がぁ!」


 近付いてくる魔族の一人。響夜はその魔族に手を向ける。


断頭台ギロチン


 次の瞬間現れた断頭台は魔族の首を刎ね飛ばす。だがその光景は異常だろう。何故なら魔法、響夜は魔法を使ったのだ。本来ならマオからの魔力供給がない響夜が魔法を使うことなど出来はしない。だが響夜は魔法を使ったのだ。


「―――」


 響夜の脇腹を槍が掠める。その一突きは響夜の脇腹を貫いた。流れ出す血を無視して響夜は背後の敵を燃やす。再び響夜は戦場の中を走るがその傷は治らない。そう治らないのだ。

これが響夜が導き出した結論。悪魔の心臓グリモア・ハート、たとえ魔力供給が無くとも動き続けていた神器はある構造をしていた。無限再生能力、それは永久的に魔力を生み出す魔力機関でもあった。常時膨大な魔力を生み出しそれによって半不死的な再生能力とも思わせる回復行い不老であるために老化を止める。想像形成によって響夜はその回路にその為のスイッチを創ったのだ。再生を止める代わりに生み出される魔力を自身のものとして扱う。故に傷が癒えない代わりに無限の魔力を得る。


「我が軍勢レギオンよ」


響夜は自身の軍勢の牙を呼び出し魔族たちへ向ける。


「殺れ」


瞬間、その場が火薬が弾ける音と硝煙で染められる。だが響夜の顔はどこか不満げだった。


「・・・感謝しろよ?半殺し程度で済ましてやったんだからよ」


見れば魔族たちは何とか生きていた。ただその体も無事で無く死に体だ。

元々魔族たちは魔力だけでなく身体能力も上位の種族である。この状態でも気力さえあれば何とか回復できるだろう。


「あ~・・・やってらんねえ」


ここにマオがいる。つまり此奴らはマオの配下なのだろう。ならば殺すのはなるべく控えなくてはいけない。響夜は面倒臭そうに倒れている魔族たちの中を歩いて行く。


「・・・中庭か」


 廊下の先には中庭があった。地面には草花が月明かりに照らされながら生えている。


「・・・・・侵入者が」


 声がした方を見ればそこにはあの時の騎士。その姿を視認した響夜の口が弧を描く。


「よう、こんにちは。いやあ、ようやく出て来てくれたかぁ。ったくよォ、手間掛せんじゃねえよ」


「やはり殺しておくべきだったか」


 既に響夜の傷は全て癒えている。その魔力の流れを響夜は自身へと変えた。突然の魔力の反応に騎士の顔に僅かな驚愕が見える。


「馬鹿な、貴様の魔力はマオ様から供給されていた筈・・・」


「おいクソ騎士」


 響夜の空間が歪んでいく。そこから見える無数の銃口と鎖の群れ。


「見せてやるよ!人間の力って奴をよぉ!!!」


 放たれた銃弾と共に二人の戦いが始まった。


感想、批判、意見がありましたらどうぞ送ってください。



初めて感想が来ました!!思わずテンションが上がり少々うざくなった作者です。感想ありがとうございました!皆さんも誤字の指摘、普通の感想などどんどん送ってきてください!主に作者のやる気がみなぎってきます。批判?どんと来い!!・・・やっぱあんまり責めないで下さい。

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