殺人鬼の怒り
「・・・・・・・優しく殺してやるよ。」
by響夜
※少しだけグロい(?)です。
寒い。それが響夜の最初に感じたことだった。先程まで火の海だった大地が今では凍てつき始めている。
「・・・・・・・。」
響夜は自分の周囲に魔力を纏いそこに火の魔法を発動する。火は響夜の周囲を魔力を伝って響夜とその周りを温める。
「(魔力の使い方は学んどいて良かったな。)」
響夜はエルザに感謝しつつ目の前の白銀狼を見る。白銀狼も響夜の出方を窺っているのかその場から動かない。響夜はそれを確認すると懐からグロックとデザートイーグルを取り出す。
「派手に踊りな。」
響夜はその言葉と共に引金を引く。火薬の弾ける音共に放たれる銃弾と硝煙の臭い。銃弾は幾千もの針となって白銀狼を襲う。
「―――――――」
だが白銀狼はその全てを躱し響夜へと接近する。
「化物め!」
それを見た響夜は舌打ちをして後退する。その間も白銀狼へと狙いを定めるがその全てを尽く躱される。響夜から見たら竜と戦った時と同じ悪夢のような光景だ。
「(零距離でないと当たらねえか。)」
そう判断した響夜は銃を倉庫へ入れナイフを取り出すと自らも白銀狼へ接近する。一瞬にして零になる二人の距離。白銀狼の攻撃をナイフで捌きつつ響夜は懐に入り込もうとするが白銀狼は氷柱を地中から突き出しそれ以上の接近を許さない。
「ふっ―――――」
次々に繰り出される氷柱を魔力による強化で弾き、躱す。だが響夜と白銀狼の距離が開いた瞬間、響夜は横からの衝撃に吹き飛ばされる。響夜はその衝撃によって驚く間もなく木に叩きつけられる。その衝撃に息を詰まらせるが痛みを無視して素早くその場から転がる。その瞬間先程までいた場所に次々に突き刺さる巨大な氷柱。
「燃やせ!」
響夜は炎の蛇を創ると白銀狼へと放つ。
「オオォォォン!!」
白銀狼が一声鳴くと激しい冷気が放たれる。それは炎の蛇を凍てつかせ蛇は粉々に砕け散った。直後白銀狼へと次々に炎弾が放たれる。それは大地へとぶつかり衝撃と爆風によって冷気を吹き飛ばす。
「燃え尽きろつってんだろうがぁ!!!」
響夜はその手に今までの比ではない程の炎弾を作りだす。それから放たれる熱気だけで周囲の氷が解け始める。
「ラァ――――!!」
響夜が放った特大の炎弾を白銀狼は危険と判断したのかそれを躱そうとする。
「甘いんだよ!!」
放たれた炎弾は白銀狼へと迫る中突如爆発した。それによって再び巨大な火柱が立ち白銀狼はそれに飲み込まれた。
「断頭台」
響夜は周囲に断頭台の刃だけを創り出し展開する。その数三十以上。それは響夜が腕を振るったと共に火柱の中にいるであろう白銀狼へと殺到する。
「■■■■―――――!!!」
それは断末魔の叫びだったのだろうか火柱の中から咆哮が轟く。響夜は火柱を警戒するように見ている時それは起こった。
ピキ・・・・・ピキピキ・・
凍りだしたのだ。何百度という熱量を持っている巨大な火柱が。
「な―――」
その光景に思わず響夜は目を疑った。それはマオから供給されていた魔力を一気に使用して放った一撃。今までの攻撃でも相当な威力を誇っている。
「・・・・・・。」
やがて火柱は巨大な氷柱へと変わり砕け散った。中から現れるのは全身に切り傷を負い血を流しながらも堂々と歩く氷で全身を覆った白銀の狼。
その姿は孤高であると同時に幻想的な雰囲気を放っていた。
「・・・・・・・・。」
響夜はその光景に目を奪われていた。
・・・・美しい。
そう思わずにはいられなかった。その姿だけでなくあの業火と刃を食らってもなお立ち上がり、より一層と燃え上がらせているその闘志に。
「・・・・・素晴らしい。」
響夜は一歩白銀狼へと近づく。その顔には今までにない程の笑み。
「ああ・・・いいぜぇ。美しすぎる。美しすぎんだろぉ!!?何だその生命はよぉ?ああ、ぞくぞくしやがる!!待ってろよぉ?今から、その全身を・・・真っ赤な血で綺麗に飾ってやるからよぉ!!」
響夜は一本の長剣とナイフを両手に持ち白銀狼へ駆ける。
「■■■■■!!!」
白銀狼も迎え撃つ様にその氷によって強化された右腕を振るう。
「ヒャははハはハハ!!!!」
その右腕を響夜は右手に持つ長剣でその右腕を防ぐ。そして冷気によって響夜の手が凍る。
「こりゃあ良いなぁ!お陰で剣を握らなくても済むぜぇ!!!」
響夜は更に高笑いをする。本能を表に出した響夜は今までにない程の戦闘に高揚していた。その実狂っている様に見えても危険と判断したものを本能で感じ取り躱し、防いでいく。
一閃。左手に持ったナイフは浅いものの白銀狼を切り裂いた。
「■■■■■――――」
白銀狼は今の響夜を危険と判断し距離を取ろうと飛び退こうとする。だが―――
「おいおいおい?なぁに離れようとしてんだよ。もっと楽しもうぜぇ!!」
響夜はそれをさせまいと間合いを詰めていく。
「神殺しの鎖!!」
速度の差か響夜はこれ以上離されないよう白銀狼と自分の右腕を鎖で繋ぐ。
「もっと遊ぼうぜぇ!!」
響夜は息をする間も与えないかの様に器用に長剣とナイフを扱って連撃を繰り出す。次々に切り裂かれる白銀狼。それに対して響夜は傷を負っても悪魔の心臓によって再生し、魔力で温度を上げ凍るのを防いでいる為精々動きが多少鈍る程度。
動きを制限された白銀狼は響夜の右腕を狙い鎖を外そうとする。
「これでも食らいなぁ!!」
響夜は白銀狼へ幾つかの赤い宝石の様なものを投げる。それは白銀狼の顔で発光し轟音と共に爆発した。響夜が持ってきていた魔道具。それは魔力を込めることによって爆発する物だったのだ。当然その威力は強く。まじかにいた響夜も吹きとばされ右半身が消え去る。
しかしそれも一瞬。響夜の体はすぐさま再生し、地に倒れ伏している白銀狼へ近づく。
「おいおいまだ戦えんだろぉ!?もういっちょ俺と踊ってくれよ!!」
次の瞬間響夜は木に叩きつけられた。見れば白銀狼はその尻尾を揺らし低く唸っていた。徐々に高まる魔力。響夜はそれを感じて口元をより一層歪める。
「キキキ、良いじゃねえか。そうだよ!それだよ!それが俺は見たかったんだよぉ!?」
「■■■■■■――――――!!!!!!」
響夜もまたそれに対抗するように魔力を練り上げる。次の瞬間白銀狼は大きく口を開けそこから冷気と氷の暴風が放たれる。
「火葬祭」
響夜の全身を覆う炎。それは響夜の体を焼き尽くし迫りくる暴風に拮抗する。
「■■■■■■■■■■!!!!!!!」
「オオオオオオオオオオ!!!!!!」
ぶつかりあう氷狼と炎の魔神。それは互いに拮抗していたが――――
「オォ―――――――――!!!!!!!!」
その勢いを増し徐々に氷を飲み込んでいく炎。それはやがて白銀狼へと迫り飲み込んでいった。
◆
焼け焦げ凍てついた矛盾した大地。そこに白銀狼は倒れ伏し響夜はその白銀狼の傍らに立っていた。
「・・・・・・。」
「・・ひゅー・・・ひゅー・・・。」
白銀狼はもはや虫の息だった。白銀狼は倒れ瀕死になろうとも響夜を睨み続ける。その瞳には隙を見せれば殺られると思わせるだけのものがあった。
故に響夜は油断しない。何より響夜は目の前の白銀狼に敬意を覚えていた。だからこそここで殺す。
そう思い響夜がナイフで止めを刺そうとした瞬間。
―――――――――!!!!!
目の前が白に染まった。
響夜はそれに飲み込まれ上空へ吹きとばされた。重力によって地上へと落下する響夜。
ゴキィ!
叩き落とされた彼からは嫌な音がした。
暫く彼は状況を整理すると倒れたまま僅かに辺りを見回す。そして聞こえてくる男達の声。
「しかし、確認する意味あるんすかねぇ。あれだけの規模の魔法食らったんすよ?」
「念には念をだ。奴は白銀狼を倒したのだぞ。もしかしたら生きているかもしれん。」
聞こえてくる男達の声と足音から数は5。
「(・・・・狙いは俺か。)」
先程の会話から響夜がそう整理していると男達の姿が見えた。全員の特徴は翼や角、牙。響夜はそこで襲撃者が魔族だということが分かる。男達は響夜が死んでいるかを確認―――響夜はうつ伏せになっている―――する。
「(・・・どうするか。そういえば白銀狼は・・・。)」
響夜がそう思っていると突然脇腹にに痛みが走る。見れば魔族の一人が響夜を蹴っていた。そのことに響夜が苛立つとふとあるものが目に入った。
そこにはもう殆ど動かない薄汚れた白い毛並みの狼がいた。
・・・・・・・・・・。
それを見た響夜は無駄な考えを止めた。
「火葬祭」
響夜がそう言うと全身を炎が覆った。もう先程まで感じた激痛など感じなくただ目の前にいる奴らの破壊だけを考えた。
「え?」
響夜が立ちあがり振り向こうとした一人の魔族の男の頭を掴む。
「ああ!!ぎゃ、あああああああああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!?」
「断頭台」
燃え移った炎に男は苦しみ叫ぶが響夜はその声を無視して掴んでいた男の両足を切り落とした。男は痛みを訴えるように叫ぶが誰もそれを助けられない。いや動くことが出来ないのだ。先程まで死んでいた男が立ち上がっているという事実に。
「神殺しの鎖」
その言葉に一人の男は足を鎖で巻かれ何度も何度も地面に叩き付けられる。
「ぎゃ!ぶっ!・・・あ、が。くぶぅ!?・・た、たすげぇ!!?」
例え何を言っても響夜はその言葉に耳を貸すことなどなく更にその勢いを強くする。この男達が白銀狼に手を出した時点で助ける等という考えは露ほどもない。
響夜は目の前の二人に歩いていく。二人は仲間たちの突然の死に動揺しているが響夜へと武器を構える。
「ハ――――――」
一人の男が魔法を発動する。放たれたのは水流。それは響夜へと当たるが――――
「・・・・・・・鋼鉄の処女。」
その男は後ろから出現した拷問器具に一瞬にして鋼鉄の処女の中へ引き込まれ、断末魔と血が流れだす。
「・・・・え?」
その光景が信じられなかったのだろう。最後の一人は間抜けな声を上げ、それを理解すると共に尻もちを着く。
「あ・・・ああ・・・。」
男は歩いてくる響夜をみると顔を青ざめ逃げ出そうとする。
「神殺しの鎖」
だが響夜はそんなことをさせはしない。男の四肢を鎖で繋ぐと空中に磔にする。
「ひ、ゆ、許してくれ!!」
男の目に映っているのは墨のように焼け焦げた仲間と未だに何度も地面に打ち付けられている仲間。それを見た男は涙を流し、その体を振るわせている。
「・・・・頭蓋骨粉砕機」
響夜の言葉と共に目の前の泣いている男の頭に器具が取り付けられる。ギリギリと締め付けていく器具。男はじわじわと締め付けられる恐怖に漏らす。
「い、嫌だ!死にたくない!頼む、頼むから助けて!!お、お願いだから!あ、ああ゛!」
男の声を無視して響夜は背を向ける。後ろから男の悲鳴が聞こえるが響夜はそれすらも無視して無表情のまま白銀狼に近寄り炎を消した。
「・・・・っ・・・・。」
僅かだが白銀狼は生きていた。だがその体は力なくぐったりと倒れ目も瞑ったままだ。
「・・・後味悪いだろうが。」
響夜は小さく舌打ちをすると想像形成を使う。
「勝手に死んでんじゃねえよ。」
響夜の手に握られたのは小さな短剣。響夜はそれを白銀狼に刺すと魔力を流し込んだ。
「・・・っ。」
響夜の全身を疲労感が襲う。だが先程より白銀狼の息は少しだけ落ち着いていた。響夜はそれに少しだけ安堵しつつ。響夜は辺りを見回す。
「・・・・ゴミ共が。」
そう言って響夜は魔族達の死体を焼き尽くすと白銀狼を再び見る。
「お前もゆっくり休みたいもんな。」
響夜は白銀狼にそう言うと神殺しの鎖を籠のようにして白銀狼を持ち上げた。
「・・・・形成。」
創り上げたのは小さな小屋。丁度白銀狼が入れる程度の余裕のある小屋である。響夜はそこに白銀狼を運ぶと自らもその小屋に入った。
「・・・・ま・・ず。」
響夜は立ち眩を起こす。先程の治療。魔力と一緒に響夜は生命力も流し込んでいた。如何に響夜が半不死といへど流石に生命力は不味かったのか。響夜は白銀狼を寝かせるとそのまま倒れるようにして眠りに落ちていった。
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