恋は春感
pixiv様にて行われた『Spring memories 2025』に参加する為に書き下ろした作品です。
より多くの方達に読んで頂きたいと思いこちらにも投稿する事にしました。
それではごゆっくりご覧下さい。
「もし良かったら俺と付き合ってくれないかな?」
私の名前は河原美優。
この度、2年生に進級した16歳の高校生です。
新学期早々、突然ですが私はたった今、同級生の男の子に告白されました。
溝口太希くん。
彼がその人です。
太希くんとは1年生の時にクラスメイトとして知り合い、話をする様になったのは授業の一環として班ごとに分かれレポート課題を作成する事になった時です。
私達の班は終始和やかな雰囲気の中、彼を中心に課題の制作を行い結果として先生にも褒められるほどのレポートを提出する事が出来ました。
それをきっかけに私と太希くんは次第に親睦を深め他のクラスメイトの子達を含む男女数人で一緒に下校したり遊びに行ったりする関係になりました。
そうしていく内に徐々に距離が縮まっていったのをきっかけに何時しかお互いの事を下の名前で呼び合う関係となったのに加え既に交換済みであったラインのやり取りも頻繁にする様になりました。
「(もしも太希くんが私の彼氏だったら・・・。)」
「(どうして太希くんの事を考えているとドキドキするんだろう・・・?)」
3学期になった頃から彼に対しそんな想いを抱く様になった私。
その為か私は無意識に距離を置く様になってしまったもののラインでのやり取りは継続していました。
そして、春休みを目前に控えたある日の事。
自室にてラインをしていると彼から
「ねぇ、最近俺の事避けてない?もしかして何か気に障る様な事した?」
と核心に触れる質問を投げかけられました。
私は驚きのあまりスマホを落としそうになるも震えた手で
「ううん。そんな事無いよ。それよりもうすぐ春休みだね?みんなで何処か行けたら良いね?」
と返答しその場をやり過ごすのでした。
結局、春休み期間内に一緒に出掛ける事も無くそれまで頻繁に行っていたラインのやり取りも減少していく中で、新学期を迎え2年生に進級した私達は別々のクラスになってしまいました。
「(このまま離れ離れになってしまうのかな・・・?)」
そんな不安に似た想いを抱えながらも教室に入り、机に通学カバンを置いたところで何気無くスマホを取り出すと太希くんからラインが来ている事に気付きました。
私は周囲を気にしながらも内容を確認すると
「今日、もし良かったら一緒に帰らない?」
といった文章が届いていました。
一瞬、『ドキッ』としてしまいましたが少し悩んだ末、彼の誘いを承諾すると
「じゃ、終礼が終わったら下駄箱で待ってて。」
との返答を最後にこのやり取りに一区切り付けたのでした。
何だか色んな想いが混ざり合っている様な気分になった私は一先ず、1年の時に同じクラスだった子達の姿を見付けるとその輪の中に入り雑談をしながら始業式が始まるまでの時間を過ごすのでした。
そして、始業式の時間が迫った為、私達のクラスは廊下にて整列し、体育館へと向かうと先に到着していた隣のクラスの列の中に太希くんの姿を発見するのでした。
無意識の内に見惚れていた為かそれに気付いた彼が此方を向こうとした事に気付くと私は慌てて視線を反らし暫くの間、俯いたままでいるのでした。
「(何だか太希くんに悪い事しちゃったかな・・・?)」
ステージにて校長先生が何やら尤もらしく話をしている中、それどころではない心境の私は始業式の間、頬を染めながらも罪悪感に苛ませるのでした。
その後、教室に戻り終礼を終え下駄箱へと向かうと既に太希くんが待っていました。
体育館での振る舞いに加え結果的に太希くんを待たす形になってしまった事に申し訳無さを感じるあまり
「ゴメン、待ってた・・・?」
と尋ねると
「ううん、全然。」
と彼はそれらの事を全く気にしていない様子で返答するのでした。
そして私が上履きからローファーへと履き替えたタイミングを見計らい
「行こうか。」
という彼の言葉をきっかけに学校を後にするのでした。
(私はこの時、同じクラスの子達にどうか目撃されませんようにと心の中で願っていました。)
以前行ったラインでのやり取りが影響しているのか少しだけ気まずさに似た感情を抱きながらも通学路を並んで歩く私達。
「結局、春休みの間会わず仕舞いだったね。」
「一緒のクラスになれなかったね。」
等と会話をしている中、校舎が見えなくなった辺りで彼が不意に足を止め
「ねぇ、ちょっと良いかな・・・?」
と改まった様子で私に尋ねて来ました。
何事かと思いつつも私はその場に立ち止まり太希くんの方に視線を向けると意を決した表情の彼から告白をされたのでした。
思いがけない出来事にパニック状態に陥る私でしたが程無くして嬉しい気持ちが込み上げて来るのでした。
そして、恐らく始業式の時よりも真っ赤な顔をさせているだろう私は声を震わせ
「私で良かったら宜しくお願いします・・・。」
と彼からの告白に前向きな返答をしました。
この瞬間をもって晴れて恋人同士となった私達はその事実を確認する様にして微笑み合うと帰路に付く為、再び並んで歩き出すのでした。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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