ホンモノサガシ 1
支配される事を知らない奴はかつて平然とSNSに
こんな事を書き込んでいたらしい。
『それ以上犠牲を出すくらいなら
平和的に投降してしまえば良い』
かつて、とある小国と大国との間で争いが起こった。
大国の傲慢な姿勢に対して小国は徹底抗戦の構えを崩さず
当時すぐに終わると思われた戦争は
予想外の激化を辿って行った。
僕たちが住んでいた国は平和そのもので
100年近く戦争が起こる事は無かったが
まさか戦争が起こらない事でここまで平和ボケした考え方を持つ人が現れるとは先人達すら思いもしなかっただろう。
……しかしそれももう過去の話だ。
戦争も無く平和に取り繕われたこの狂った世界で
僕達は平和ボケなんてしてる場合では無くなってしまった。
薄ぼんやりとした記憶の中で目が覚める。
場所は学校の教室。
全体的に見覚えがあるがどうにも思い出せない。
教室には僕が腰掛けていた椅子と机が1セット、
教卓が一台、黒板が一枚、校内放送用のスピーカーが一台。
個別授業でも受けていたのだろうか
……しかし全く記憶が無い。
(……いや違う。 不自然なくらい色んな事が思い出せない)
自分の名前は思い出せる……両親や住所、
自分の周りに関しての物事は思い出せそうにない。
しかし、1人だけ鮮明に思い出せる人物がいる。
自分の事よりもよく思い出せる
……何か恣意的な記憶操作を受けたような穴だらけの記憶。
この現象について僕は覚えがあった。
見覚えがあるが日常とは違う場所に
記憶が弄られた状態で置かれているこの状況…………
「最悪だ……」
そう呟いた瞬間、教卓と黒板の間に妙な存在が現れた。
背丈はこの場合アテにならないけど2mは超えていそうだ。
体格はほぼ骨しか無いのでは無いかと思える程に細く
手足が人体の比率と比べてやや長めに見える。
白と黒のストライプ柄をしたスーツに似た服を着ており
胸元を覆うように青、赤、黄、黒の
カラフルな薔薇が沢山咲いている。
指が非常に長い……僕の頭頂から首くらいまでありそうだ。
その長い指には紫色の長い爪が生えている。
顔にあたる部分は猫の頭蓋骨によく似た形をしており
眉間の辺りに赤黒くて丸い石がはめ込まれている。
『おはようございます』
「…………おはようございます」
『はい、よい挨拶です。
感情のコントロールもしっかりしているようですね』
恐ろしい存在は薄気味悪い灰色の手で拍手をした。
掌がぶつかる音は一般的なものとは全く異なり
ハイヒールを鳴らすような硬い音がした。
男3人の声を混ぜたような気味の悪い声は
スピーカーから垂れ流されており
目の前にいる存在はそれに合わせるかのように
ややオーバーに動いていた。
つい最近の出来事だ。
“ハカリ” と名乗る上位存在が地上に現れて
あっという間に世界の支配構造を塗り替えてしまった。
奴らの力は圧倒的で人が持ち得るあらゆる武力は
かすり傷のひとつすら与えられる事は無かった。
そして最悪な事に人類には投降の道しか無く
今までとよく似た生活の中で
ハカリのモルモットとしての人生を強いられた。
当て字として “秤” の字で書かれる事もあるが
基本的にカタカナで記される。
そんな彼らについて分かっている事は非常に少ない。
それこそ、現在確認されている200余りのハカリですら
彼らの一員でしか無く全体では無いと言う程度の情報が
一般認識である程だ。
そう……僕の前に現れたこの不気味なモノがハカリだ。
『私の名は ギフト・ナーゲル
中立的なヒューマンユーザーとして
そこそこ知られた名ではありますが
以後お見知り置き下さい』
「…… 桂蕾 黍坦 です。
よろしくお願いします」
ハカリには倫理観が無い。
……ましてや人の法など適応されない。
彼らにも多種多様な性格があり、
機嫌を損ねてしまうと虫でも潰すように人を殺す。
故に、彼らの前では絶対にやってはならないとされる
四つの行動 “四禁則” が自らの命を守る最後の命綱となる。
“挨拶や質問を無視してはならない。”
“こちらから質問をしてはならない。”
“彼らの目前で動揺してはならない。”
“彼らの言論や行動を否定してはならない。”
どんなに温和そうに見えるハカリが相手であっても
四禁則だけを守らなければならない事は
ハカリとの短い歴史が既に証明している。
何より、僕の前にいるハカリの名前には聞き覚えがあった。
数日前にとても身勝手な理由でU国軍を半壊させた奴だ。
U国と言えば世界的にも5本の指にも入る大国で
その軍事力も世界ではトップクラスのものだった。
……そんな人類における1国が持つ中で
ほぼ最大の戦力と言っても良い軍隊において
当然のように人間の武力が何も通じず
好きな数だけ殺されたと報じられたのだ。
……機嫌を損なえばまず間違い無く死ぬ。
『ふむ……随分と我々との交流に慣れた個体ですね。
興味深いです。
四禁則を広めたとは言え貴方達 “オヴォーデ” は
学習能力が低いですから
ここまで順応している個体は大変珍しいです』
オヴォーデとはハカリの言葉で人間を示す言葉だ。
ハカリは人間を相手にする時何故か人間の言葉で話す。
この “オヴォーデ” と言う単語以外は。
(慣れている……ね)
その言葉に対して否定は出来なかった。
恐らく僕は他者よりこの状況に慣れてしまっている。
『……もしや、あなた “生還者” ですか?』
「…………はい」
僕はゆっくりと頷いた。
『素晴らしい……同胞との “ゲーム” を
乗り越えて来たが故の慣れですね。
では、今置かれている状況についても前置きは
説明不要なのですね』
「……僕は、ギフト・ナーゲル様が主催する
“ゲーム” の参加者です」
ハカリが人間とコンタクトをする場合、
その大半は自身の好奇心を満たす為の行動である。
そして彼らは自身の好奇心や愉悦を満たす為に
こうやって異空間のフィールドに人を招いては
“ゲーム” を主催する。
人の倫理観が通用せず、命の価値が酷く軽いゲームだ。
異空間は通常時空と時間の感覚がズレている為
恐らく連れ去られた向こうの世界は
ほぼ時が停止しているかのように
ゆっくりと進行している筈だ。
『その通りです。 話が早くて助かりますね』
ギフトは教卓から物音を立てずに移動し始めた。
よく見ると足先が宙に浮いていた
そりゃ音など出る訳もない。
ギフトは丁寧に教室の扉を開けて廊下に出た。
『付いてきてください』
「……分かりました」
流石に少し足がすくんだが
ここで行かないと殺されてしまう。
少しでも生存率を上げる方法を取り続けなくてはならない。
廊下に出てみるとすぐ正常な世界では無いのだと実感した。
クラスには窓こそ備え付けられていたが
真っ黒なカーテンで外の風景は何も見えなかった。
なので、今回の異空間において “外” を見るのは
これが初めてだ。
窓から見える外の景色はグラウンド以外全て紫色。
だと言うのに視界は紫色の光には染まっておらず
白い廊下が続いていた。
廊下の高いところには狭い間隔でスピーカーが並んでおり
見覚えのある風景に馴染む異物が
形容しがたい不気味さを孕んでいた。
ギフトは僕の歩調に合わせてゆっくりと動き出した。
『参考までに聞いておきたいのですが
誰のゲームをクリアしたのですか?』
ギフトは移動しながら質問をしてきた。
正直ここまでこのハカリが
人に興味を持っているのは意外だった。
……何せコイツに殺された人間はかなり多い。
話してみる感じだと快楽で人を殺すタイプの
ハカリでは無いようにも思えた。
「僕が今までに出会ったハカリは
ギフト・ナーゲル様で三人目になります」
『おや、他に2人も遭遇していたのですか』
「はい……タグ・フィッシング様ともう1人
デボネアス・オーバーロード様です」
『……驚きました。
タグの名が出た時点でもう驚き尽くす程ではありますが
まさかデボネアス様の名まで出てくるとは。
どうやらあなたは “特別な個体” であるようですね』
(やっぱり……デボネアスは普通のハカリでは無いのか)
デボネアスは僕が遭遇した1人目のハカリであり
現状では目撃例すら無いとされる “人型” のハカリだ。
デボネアスは見るからに異質なハカリだった。
2人目のタグは話が通じるような相手では無かったし
他者の事情には一切関心を示さなかったから
何も聞き出せる情報が無かった。
『と言う事は持っているのですね?
タグのアーティファクトを。
少し羨ましいですね…… “アレ” の権能は
我々でも喉から手が出るほど欲しいものです』
「……僕には過ぎた代物ですよ、アレは」
『ふむ……なるほど、ではアレを持っている以上
手加減はしなくても良さそうですね』
(え……? 今なんて)
ギフトは不吉な独り言を呟くとある教室の扉前に立った。
『今しがた、ゲームの難易度を上げておきました。
気に入ってもらえると良いんですがね』
「そ、そうですか……楽しみです」
ギフトはゆっくりと扉を開いた。
扉の先には何の変哲もない教室が広がっており
人影が複数あるのが確認できた。
僕は覚悟を決めて一歩、一歩……ゆっくりと教室へと入る。
……そして、そこで僕は “あり得ないもの” に直面した。
「………………………… 白星 月歌 」
(まずい……動揺しちゃダメだ動揺しちゃダメだ
動揺しちゃダメだ!!!!)
そこにいた人物は全員知った顔をしていた。
……知った “1人” の顔をしていた。
その最も鮮明に思い出せる少女の名を
僕は無意識下で口に出していた。
思わず混乱のあまり大きな声が出そうになったが
唇から血が出る程強く食い縛って喉の底へと押し殺した。
『貴方が家族以外で最も深く記憶に刻みつけている
異性を14人用意しました。
今回、このゲームにおいて必要な記憶を
思い出しやすくする為に
彼女にまつわる記憶だけは一部を除いて
残しておいたのです』
見間違える筈がない。
全員が同じ顔、同じ見た目、体操服とブルマを着た
不可解な格好をした14人の月歌がそこにはいた。
月歌たちは全員椅子に行儀よく座らされたまま
目を閉じて動かない。
……眠っているようだ。
『さぁ、空席に腰掛けて下さい。
ゲームの説明を始めます』
「……分かりました」
ギフト・ナーゲルは教卓の前まで移動すると
中央にある空席を長い爪で指し示した。
僕は月歌たちに囲まれた空席へと移動すると
周囲を見回しながら席についた。
『私が主催するゲームは “間違い探し” です。
あなたにはこの空間内で彼女たちと14日を共に過ごし
明日から1日1回、1人ずつ偽物を当ててもらいます。
見ての通り彼女たちの左頬には1から14までの数字が
書かれているので彼女たちの事は番号で読んで下さい』
突然頭上から机に何かが落ちてきた。
見るからにオモチャだと分かる
ふざけた見た目をした紫色の拳銃だ。
『それを使って指名した偽物を始末してもらいます。
ただし、それはオヴォーデの文明には無い技術で作られた
強力な武器ですので
間違っても自分や本物の彼女に向けて
撃たないようにしてください。
……あぁそれと、1発だけそれで私を撃ってみてください』
「……? 分かりました」
どんな意味不明な物事でも迷う暇なく従わなければ
下手をすれば月歌まで何をされるか分かったものではない。
使い方は手に取るように分かる
……多分記憶操作で植え付けられたものだろうか。
僕は言われた通り銃口をギフトへと向けて1発だけ撃った。
しかし、激しく金属を鳴らしたような音が響くばかりで
ギフトは何のダメージも負っていなかった。
『このように、その武器を使っても私に危害を加えて
ゲームを中断させる事は出来ませんので
無駄な抵抗はしないようにしてください。
弾数はこれで残り13発……つまり、
偽物に1発ずつ使う分しか残されていません』
……やられた。今のはパフォーマンスであると同時に
一回分許されていた弾外しを無くすものだった。
『あなたの勝利条件はひとつです。
偽物を必ずその銃で全て撃ち殺す事。
ただし、銃は規定の時間になるまでロックされていますので
それまでは何が起きても使用できません。
万が一、本物を撃ってしまったり
偽物を1人でも撃ち漏らした場合
……あなた達2人はゲームオーバーとなります』
この場合ゲームオーバーが示すものは “死” だ。
くそっ……何が中立的だ!
とんでもなく酷いルールのゲームだこれは。
『とは言え、あなたはアレを持っていますからね
このままではあまりフェアなゲームとは言えません。
そこで、追加ルールを用意しました』
ギフト・ナーゲルは亀裂のような複雑な模様の入った
紫色のお札を懐から取り出すと
それを僕の眉間に押し付けた。
……突然の行動だったが辛うじて動揺を見せずに済んだ。
しかし、貼られたものを今一度確認しようとした頃には
何故かお札は消滅していた。
(どう言う事?!)
流石に焦りが少し表情に漏れかけたが
ギリギリの所で耐えた。
この異空間は言わば向こうのフィールドであり
その内側における彼らのスペックは
神にも等しい程にまで昇華している。
何が起きてもおかしく無いのだと
自身に言い聞かせ続けないといつかは動揺を見せてしまう。
最早理性との戦いだったが、それはそれとして
ギフトの言葉に耳を傾けておかないと
ちょっとしたルールの隙を突かれて殺されかねない。
『アーティファクト “革封札” です。
この空間に限り、あなたのアーティファクトを
使用不可にしました』
「な…………」
『……今一瞬、動揺しかけましたね?』
「っ……………はい」
(まずい……まずいまずいまずい!!)
身体中から冷たい汗が噴き出る。
相手が相手ならもう首が飛んでも
おかしくない状況だったからだ。
『素直な方は嫌いではありません。
今回は見逃しましょう。
話を戻しますが、これによりあなたは
“アレ” を使えません。
ゲームの設定自体もハードモードのままにしてありますが
あなたはあのタグの鬼ごっこを生き延びた
唯一の生還者であり
オーバーロードの1柱と接触した特殊個体でもあります。
是非ともこの困難なゲームをクリアして頂きたいです』
ギフトはそう言うと少し厚みのある本を取り出して
僕の前に置かれた机に置いた。
『その他のルールにつきましてはそこに記載されています。
必ず彼女たちが教室で眠っている時間に読んでくださいね』
「……わかりました」
『それでは、ゲームを開始します。
15分後、チャイムが鳴ると同時に
彼女達は目を覚ましますので
それまでになるべく備えてくださいね』
ギフトはそれだけ言い残して姿を消してしまった。
「スゥ………………はぁ…………あぁ…………危なかった」
一気に身体から力が抜け出る。
座っている状態にも関わらず腰から滑るように崩れ落ちた。
それでも息をついて休んでいる時間は無い。
まずは状況を整理する必要がある。
僕は本を手に取ると50ページ余りあるそれを
1ページ辺り10秒程の時間をかけてまずは要点だけを読み込んだ。
最初の読み込みにおよそ500秒……8分20秒。
とりあえず必要最低限の情報を得ることは出来た。
まず、僕と14人の月歌はこの学校で2週間を過ごす。
この空間内で午前7時になるとギフト・ナーゲルが現れて
彼の前で1日に1人殺さなくてはならない。
(殺した直後に動揺やパニックなんて論外って事か……
結構精神的にキツいけど、
何よりこれをクリアしないと僕だけじゃなく
月歌本人が危ない……頑張らないと)
その後、8時15分から昼を回るまで
学校内ではチャイムを挟んで2種類の状態になる。
まず 『授業状態』 。
各教室で “教師” と名付けられた木偶人形が教卓に立ち、
授業をするかのような立ち回りを始める。
しかし実際に授業をする訳ではなく
これは演出のようなものであり無視して良い。
問題はその時間になると椅子に座って眠っていた月歌達が
起きてくると言う点。
授業状態は1時間続き、その間に僕と月歌たちは
自由時間となる。
……つまり、直接彼女たちと触れ合って
自分の記憶と照らし合わせる時間だ。
その後、チャイムが鳴ると15分間だけ
『休息状態』となる。
休息状態では月歌たちは自分の席について
眠った状態になる。
この間に僕は次の作戦や本の読み込みをする。
ただし、この時間は必ず自分の席に
座っていなくてはならないので
授業状態の終盤には席についている必要がある。
3回の授業状態と休息状態を終えると
12時から昼食の時間になる。
ここまでを纏めると大体こんな感じだ。
8:15 授業開始
↓
9:15 休息開始
↓
9:30 授業開始
↓
10:30 休息開始
↓
10:45 授業開始
↓
11:45 休息開始
↓
12:00 昼食
(今のところ読み込めたのはここまで。
あとは大まかな流れだけだけど
……とりあえず残りは次の休息状態にやるしかない……か)
現在の時刻は8時12分……どうやら5秒間目を瞑ると
現在の時刻が分かるらしい。
もうあと3分しか無いが何を備えるにしても
月歌たちがどう出るのかすら分からないのだから
何の対策も出来ない。
(とりあえずまずは様子見だ)
僕は残りの時間全てを深呼吸にあてた。
些細な事でも見逃しは許されない。
緊張を呼吸で必死に抑えていく。
そんな事をしているうちに時間は
あっという間に流れていった。
10……9……8……7……6……5……4……3……2……1……0
校内にチャイムが鳴り響き、
全ての月歌が同時にゆっくりと目を開けた。
(さぁ……どう来る?)
全員が同じタイミングで立ち上がると
全く同じ顔が全てこちらへ向いてきた。
……流石にこの光景は少し気味が悪い。
目覚めた事を示すかのように
左頬には赤黒い数字が浮かび上がっていく。
(……この様子、やっぱり月歌側にも
記憶処理が施されてるのか?)
月歌は活発な子だった。
早寝早起きで学校で眠った事なんて一度もない。
しかし、当の彼女たちは数秒感動くことも無かった。
……が、まるでラグを取り戻すかのように
彼女たちはいきなり動き出す。
「「「 リヒだ!!!」」」
飼い主を見つけた犬みたいな勢いで一斉に近寄ってきた。
……そして、月歌たちによる僕の取り合いが発生した。
(なんだこれ……どうなってんだ?!)
揉みくちゃにされながら僕は彼女たちの態度に驚いた。
確かに月歌は友達だった。
しかし……ここまで距離が近かったか?
まるでこれは……精神が少し退行しているような……
「ちょ、ちょっと一旦ストップ!!
……………………え?」
僕の呼びかけに応じたのか
月歌たちは一斉に動きを止めた。
……いや、ちょっと言い方が正確じゃない。
無表情のままお行儀よくその場で棒立ちして
こっちを見ている状態になった。
……いくら見慣れた顔とは言っても
これには血の気が引いていく感覚に襲われた。
この中に1人、 “本物” がいる。
かくして、僕と月歌の命を賭けたデスゲームが
前触れもなく始まってしまった。
近道も攻略法も存在しないこの推理ゲームの先に
波乱の連続が待ち受けている事など
この時の僕には考えもつかなかった。