君の醒
暗いくらい土の中。
深くふかく眠りし種の君。
籠り閉じ込めしずめるこころ。
今は時期ではないと土の底で芽を閉じる。
永い冬が、そろそろ終わりを迎えようとしている。
君は暗い土の中でその身を蠢かせる。
醒る準備をする。
永いながい冬がやっと終えた。
春が、来た。
あったかくて色鮮やかな春が、君を地上で待つ。
君はちいさな身を蠢かせ、地上に怯えながらも。
ゆっくり…ゆっくり…と、地上に向けて茎を伸ばす。
そして───…
暗くて狭い土の中から。
君が出てきた。
醒た君は、陽の光に目映くさせる。
広くつづくあたたかな地上。
これからも君は、ゆっくりゆっくりと成長するでしょう。
でもきっと、大丈夫。
こうして君は、この地に醒たのだから。