備えあれば憂いなし!!!!王族は信用回復などありえませんよ!!!!
スキルが無いから仕方ないし、特技があるかと聞かれたら特に無いし、どこにでも居る平民だけど普通に常識や危機回避能力などある。
平民だから平民らしい暮らしをし、貴族や王太子に好かれるかと言われたらそれは全くない。
そもそも、貴族や王太子が平民に恋するとかありえないのだから。フィアンセがいるし。
ありえないのだから、これは異常事態発生で、私は同僚にドン引きした。
私達の前で、真実の愛〜聖女〜など言われてご満悦な同僚を、喜劇のヒロインヨロシクで眺めていた。
新たな聖女はいるし、同僚が聖女はありえない。
そもそも、新たな聖女が選ばれたとき祭り騒ぎだったよね。王太子も新たな聖女と手を取り合い、手を降ったじゃん。
聖女は聖女が選び、ポンッと選ばれるわけではない。
聖力は聖女にしか分からないのだから、王太子や貴族やらが貴女は聖女!なんてオカシナ話なんだよね。
『さ、仕事仕事。何があるか分からないから、備蓄を蓄えよう』
「ライラが言うなら私も手伝うわ!」
「俺も」
「でもなんで?ライラ」
『聖女は聖女にしか選ばれないのに、王太子やら貴族やらが貴女は聖女!とユキを囃し立てたし。
悪政の始まり。だって、新たな聖女は決まったばかりだものね』
「「「なるほど!」」」
「で、何を買うの?」
『今月いっぱいは小麦粉。最低10年分は欲しいけど、5年から6年分は確保。来月いっぱいは果物や野菜で乾物作成するわ』
「私も!」
「オレも!」
『なら、皆で作って集めて隠しましょ。周りは所詮笑うだけだし』
「「「はーい!」」」
それからは、干し肉やらドライフルーツやらを作り、駄目になりそうなら皆で食べたりした。
3年後。
やはり悪政となり、税金は増え、今までみたいに飲食は出来なくなり、王都は寂れた。
私達は私達だけの飲食を保存していたし、パンを焼くとパンとミルクを交換したりして凌いできた。
『小麦粉も後数年ね…』
「燻製も魚しかなくなった」
『ハムは?』
「モモが1キロ、ソーセージが3キロ、乾物野菜がピンチね」
「「「ライラ…」」」
『仕方ないわ。ソーセージ1キロ。ギルドに行き…野菜と物々交換しかないわ』
「家が手薄に…」
そうだギルドまで、徒歩10分だけど、今の王都には賊も出る。無闇矢鱈に出られない。
『……伝書鳩を使う』
「見つかれば餌になり、情報が漏れちゃう」
『……そうだよね……』
ギルドでさえ、信用出来ない。
『現状維持』
「「「だよね…」」」
ユキのせいで、本当ムカつく。
半年後、ユキの処刑が決まった。
現国王や貴族を魅力魔法を使い、悪政をし、混乱を招いた罪だ。
『はぁ…でもまだまだ暫らくは気をつけなきゃ』
「だね」
ユキの子供達は、隣国に捕虜として渡された。一生捕虜として生きていくしかない。
国直属の騎士団が王都を取締るようになり、私達平民はようやく街を歩けるようになり、助け合うようになった。
『やった…ミルク!』
「ソーセージと交換だ!」
『勿論です』
「ライラー!」
『なーにー?』
「野菜だ!野菜!」
『本当だわ!久しぶりの生野菜よ…』
「小麦粉を孤児院に渡したらくれた」
『ありがとう…ありがとう』
ユキのせいで辛い毎日になったけど、私達雑貨屋の仲間は絆が強くなった。
きっともう馬鹿な真似はしないだろうけど、一度あれば次はある…と危機感を感じる。
油断せずに行こう、私達平民は薄汚れた城を皆で見上げ、決意した。
読んでいただきありがとうございます。
誤字脱字、感想などよろしくお願いします。