素材の価値
ここは商人の取引相手の工房だ。
取り引き相手は武器屋である。
「おう! 来たな! 持ってきたか?」
「ああ、持ってきた。ここでいいか?」
「おう。そこに出してくれ」
商人は収納から商品を取り出し、積み上げる。
大量の鉄屑、廃材だ。
「鉄と木だな。代金はいつも通り魔石払いだな。ほら、魔石だ」
「ああ。これで売買成立だ」
「ええっ!? こんなゴミみたいなものが魔石にひゃく!?」
「価値の分からない嬢ちゃんだな。いいか、見てろよ」
武器屋は鉄屑に手をかざす。
鉄屑が光を帯び、一か所に集まっていく。
そこには鉄の塊が生成されている。
「ええ! 鉄のカタマリ!? なるほどね!」
「こっちの木も同じだ。わかったか嬢ちゃん?」
「わ、わかったわよ!」
廃材も同様に、スキルで木材へと作り替えていく。
武器屋はそれを裏の作業場へしまい込む。
「で、商人。他に何かあるか?」
「修理を頼む」
商人は収納から武器を取り出し、並べていく。
どの武器も折れたり欠けたりしていて不完全だ。
「おお、こいつはまたたくさん持ってきたな! じゃあ、次来るまでに打ち直しておく!」
「代金はいつも通り、完成品と交換だ」
武器屋は壊れた武器を受け取る。
そして、修理の済んだ武器を並べる。
「前回預かった分もできているぞ。代金は魔石三百だ。みてくれ」
商人は武器の出来ばえを確認する。
武器は新品同様に生まれ変わっている。
「……ああ、しっかり直っているな。さすがの腕だ。売買成立だ」
代金を支払い、修理の済んだ武器を受け取る。
商人は武器を収納にしまう。
「おう。あんたとはいつもいい取引ができる。いい品にはいい値段。それがわからねえヤツもいるからな」
「ああ。その通りだな。あんたの武器は一級品だ。当然の値打ちだ」
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