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幻想郷を覗き見て  作者: 仇花七夕
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魔理沙「よぉ~霊夢、今日もお土産を持ってきてやったぜ?」

「おーい、霊夢~。いるか~?」

「はいはい、いるわよ。まったくこんな朝っぱらからどうしたのよ」

「朝っぱらって言ってももう十時を回ってるぜ…?」

「それで何のようなわけ?」

「おおっと。私をそんな邪険に扱っていいのか?」

「どういう意味よ」

「噂の小鈴の貸本屋の向かいに新しくできた甘味処。まさか知らないとは言わないよな?」

「開店するやいなや、人里中のスイーツ好きの噂をほしいままにしたって聞いたわよ。あの甘味大好き仙人が悔しそうに話してたわ。…って魔理沙あんたまさか…」

「ああ。、のまさかだ。あそこの羊羹は一日十棹限定なんだからな?私に対する態度ともてなし方を改めた方がいいぜ」

「そんな大事なこと先に言いなさいよ。ちょ、ちょっと待ってなさい。貰い物のいいお茶があったはずよ。それを淹れてくるわ」

「くるしゅうないぜ。一番高い奴で構わん」


「待たせたわね。早く食べましょう」

「羊羹も食べられる用意はできてるらしい。待ちきれないって顔をしてる」

「それはあんたでしょ」

「どうやら博麗のところの霊夢さんは限定羊羹がいらないらしいな?」

「もう。ほら、悪かったわよ。早く食べましょう」

「「いただきます」」


「うめぇ~!!」

「ほんと、超人気店だけあるわ……。手が止まらないわね」

「ほらな?最低でも今日一日は感謝の気持ちを忘れるなよ?」

「まあ早朝に訪ねてきたことは不問にしてあげるわ」

「おいおい、もう昼前だぜ?ここに来る前にアリスん家にも寄ってお裾分けしてきたんだが、もうシャキっとしてたぜ。寝坊助巫女さんや。そんなんじゃまた華扇に説教食らうぞ?」

「アリスぅ?そもそもあいつが寝てるとこなんか見たことないんだけど。人間じゃないんだし睡眠いらないんじゃないかしら?」

「確かに眠そうな素振りは見せないな。プライドなのか、もともと眠くならないのか……」

「だからって妖怪は寝るわよね?猫の妖怪も縁側でよく日向で寝てるし。ウチに居ついてる自称守護神獣も灯篭周りでうつらうつらしてるもの」

「妖精の家にはベットがあったぜ。あいつらも床には就くみたいだな。……何気に自称って酷くないか」

「いいのよ。博麗神社の守護は私なんだから」

「あうんの立つ瀬がないぜ……」


「というか寝てる妖怪といえば紫じゃない。いっちょ前に冬眠なんかしちゃって。熊か何かなのかしら」

「動物扱いかよ。紫が聞いたらきっと怒るぞ」

「そうね、私が聞いていたら怒ると思うわ。ねぇ霊夢?」

「うわーっ!お、おい紫~、驚かせないでくれよ。お茶をこぼしかけたぜ」

「本当に神出鬼没なんだから。この隙間妖怪」

「や~ん霊夢ったら冷たい~。私も饗応に預かりたいのよ」

「魔理沙は私にくれたんだけど?」

「それは残念ねぇ。次の宴会ではお酒奮発しようかと思っていたのだけれども」

「……。三切れあげるわよ」

「あら、ほんとぉ?嬉しいわ~」

「相変わらず酒に弱いんだぜ…」

「くっ……御神酒上がらぬ神はない、のよ……背に腹は代えられないわ」


「あら、本当に美味しいわね。たまたま通り掛かってよかったわぁ」

「何よ白々しい。まったくどこから嗅ぎ付けたのやら」

「まぁまぁ、二人で食べるには少し多かったし、丁度よかったじゃないか」

「魔理沙がいいなら私も構わないけれども。いや、羊羹はいいとしても私のプライバシーはどうなっているのよ」

「ん~、ほら、壁に耳あり障子に目ありっていうじゃない?」

「どうやらウチには甘味を嗅ぎ分ける鼻もあるようだけれどね」


「それで、紫。ほんとは何しに来たのよ」

「甘味を頂きに……かしら?」

「あんたが出てくると碌なことがないんだから。ややこしくなったり、こじれたり、挙句の果てに黒幕でした~みたいにね」

「『神隠しの主犯』みたいなあだ名も付けられてるみたいだぜ?」

「二人とも辛辣ね……。今回は本当になにもないわ。強いて言いうなら平和を満喫しに、かしらね」

「ふ~ん、ならまぁいいけど」

「おい霊夢、いいのかよ」

「いいのよ。粘ってもどうせ口を割らないだろうし。それに今回は何も無いって私の勘が告げてるわ」

「たまには縁側でゆっくりするのもいいじゃない?不思議とここは落ち着くのよね」

「それはわかる気がするぜ。ここはもう私の別荘といっても過言じゃないしな」

「過言よ過言。まったくもう。どいつもこいつもウチに棲み着くんだから」

「せめて住み着くにしてくれ。それじゃあ動物みたいだ」

「人間なんてあんたと咲夜と早苗くらいじゃない」

「そうかもしれないが」


「さて、そろそろお昼にしようかしらね。魔理沙は食べてくんでしょう?紫、アンタはどうすんのよ」

「ご馳走になるぜ。そしてご馳走を頼む」

「ちなみにだけど、もれなくランチには境内のお掃除ができる権利も付いてくるわよ」

「げっ」

「そうね~。ランチだけ頂いて後は藍に押し付けてもいいのだけれど……。さすがに気が引けるわね」

「アンタ……最低ね」

「し、しないって言ってるでしょう?!それに午後はやることもあるし、今日はこの辺でお暇させて頂くわ」

「はいはいお疲れ様。宴会の日本酒、忘れないでよね」

「楽しみにしておくといいわ。魔理沙も、羊羹美味しかったわ、ありがとう。失礼するわ」

「おーう。食いに来るなら先に言ってくれよ~」

「魔理沙も大概お人よしよね」

「いいじゃないか、大人数で食べるのも」

「私だって別に嫌いじゃないけど」

「やっぱり仲がいいんだな~」

「ちょっと、今日のどこを見てたらそんな台詞が出てくるわけ?昼飯抜き」

「お、おい冗談だよな?ほら。早く台所に行こうぜ?な?」


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