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グローリー・リーグ -宇宙サッカー奮闘記-  作者: 山中カエル
序章 宇宙人襲来
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04 監督、そして宇宙へ

 「こんな所で試合ができるのかよ」

 将人がそう呟くのも無理はない。

 グラウンドに戻ってきた俺たちが改めて周囲を見渡すと、会場は至る所がボロボロでとてもサッカーができるような様子ではない。


 客席の方ではスタッフによる救助活動が行われているようだ。

 攻撃によって負傷した人々の血液などで凄惨な様子になっているかと身構えていたが、どうやら運が良かったのかそういった様子は見られず少し安心だ。


 すると、グラウンドにいた男がこちらに近寄り話しかけてくる。


 「ほっほ、君たちが対宇宙人チームか、よく集まってくれたのう。

 わしはアウラス・ジェーン。お前さんらの監督を任されておる。短い間だがよろしく頼むわい」


 見たところ年齢は60歳から70歳で、一見ただの老人に見えるがどこか捉えどころのない雰囲気を漂わせているようにも感じる。それに声も聞いたことがあるような……。

 ただ、アウラス・ジェーンという名前には聞き覚えが無いため、今回の試合のために急遽用意された名だけの監督と言ったところだろうか。

 宇宙人との戦いの監督なんて誰もやりたがらないだろうしな。


 「はい、こちらこそよろしくお願いします」

 アランが率先して挨拶をし、そのアランに続いて俺たちも形式的な挨拶をする。


 挨拶を終えると、遠くからトール会長とブラド、ネイトが何やら言い争いつつこちらにやってくるのが見えた。


 「だから俺様が最強なんだって、他の9人なんかいなくても余裕だぜ?」


 「はは。まあ試合をするには11人必要だからね。君の活躍を楽しみにしているよ」


 ブラドは相変わらずの言動で対応するトール会長も大変そうだ。


 「みんな、監督との顔合わせも済んだようだね。もうそろそろ宇宙人も現れるは――」


 トール会長の話の最中、突然目の前にUFOが現れ、またも声が聞こえる。


『入れ、勇敢な戦士たちよ』


 声と同時に扉が開く。


 ***


 UFOに入った俺たちは宇宙人の声に導かれるままある部屋に通される。手すりだけの簡素な部屋だ。


『飛行したらすぐにワープを行う。ワープした先にはグラウンドがあり、そこで我々との試合だ。

 少し揺れる可能性がある。そこの手すりに捕まって待機していろ』


 指示に従って手すりを掴む。ワープは初体験だけどかなり振動が強いイメージがある。試合前に怪我をするなんてことだけは無いようにしないとな。


 「すげえ! ワープだってよ。まさかこんな経験が出来るなんてな」

 「わかってはいたけどやっぱり地球との科学力の差は圧倒的っスね! 怖い気持ちもあるけど俺ちょっとわくわくしてるっス!」

 「わかるぜザシャ! こんな状況とはいえ貴重な体験だ! そもそもビクビクしててもいい事は無いしな! 宇宙人を倒したらその星の探検とかしてみたいぜ!」


 何ともポジティブなヘンドリックとザシャの会話を聞きながら周囲を見渡していた俺は、何も無いところで転んだネイトに気がつく。


 「おい、大丈夫か?」

 そう言って手を差し伸べる


 「あ、ありがとう。ごめん、この先の事を考えてたらちょっと足が震えて。

 試合をするって言うのが嘘でこのまま捕虜にされたり拷問されたりしたら……いやそもそもワープに失敗したら……。あ、宇宙ってことはブラックホールもあるのか……もし吸い込まれちゃったら……。あああどうしよう……」


 ネイトはこれからの出来事に対する不安で半パニック状態に陥っているみたいだ。


 「そんな心配するなって。ヘンドリックも言ってただろ? ビクビクしててもいい事は無いって!」

 「……あんな前向きに考えるなんて僕には無理だよ……」


 どこまでもネガティブなネイトの態度に流石に違和感を覚えた俺は、失礼を承知で疑問に思ったことを聞いてみる。


 「なあネイト、そんなに怖いならなんでこの場に来たんだ?」

 「それは……」

 「それはなあ! 俺様が連れてきたんだ! こいつは雑魚ばかりの俺様のチームの中で唯一使えるやつだからな!」

 会話に割り込んできたブラドがそう俺に言う。


 「でもかなり怯えているように見えるけど」


 「あぁー? 気にすることじゃねえよ。ネイトは試合前はいつもこうなんだ。試合が始まったらしっかり活躍するから大丈夫だぜ」


 うーん。そうなのか……? 試合が始まるということは宇宙人と対面するということ。その時になって今の状態から良くなるとも思えないけど、同じチームだったブラドが言うならそうなのだろうか。


 すると、急に地面が揺れる。UFOが飛行したようだ。予想以上の揺れに倒れかける者もいる。


 「未来、大丈夫か?」

 倒れかけた未来を支えながら俺は話しかける。


 「おとと。ごめんね、迷惑かけちゃったかな」


 「これくらい気にするなって。お前の体が強くないのはよく知ってる。

 ワープの時は更に揺れそうだからしっかりと掴まっておけよ?」


 「うん! ありがとう龍也くん!」


『飛行を開始した。今からワープを行う。もう一度言うが少し揺れるから手すりに掴まっておけ。では、始めるぞ』


 宇宙人からの再度の指示があり、俺たち全員は真剣な顔つきで手すりに掴まる。


 「さあワープが始まるぜ! 宇宙人がどんなもんか知らねえが全員俺様がぶち殺してやる!」

 「あああブラドさん、敵陣の中で殺すとか言わな――」


 ネイトが言い終わるのを待たずして、UFOがワープを開始する。

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