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プロローグ
俺には才能が無かった。
剣術も魔法も人並み、強くもなければ弱くもない。
普通の家に生まれたのならば、それでも良かったのかもしれない。
だが、父さんは魔王を討伐した英雄の1人だ。
多くの人に期待された……英雄の子が英雄になることを
繰り返そう、俺には才能が無い。剣術も魔法も才能が無く、まして特別な力を持っているわけでも無い。
本当にただの「凡人」だ。
それに気づいたのは、5歳の時だ。
当時5歳の父さんが、わずか1時間で第一階梯魔法を習得したのに対し、俺は一週間もかかったのだから嫌でも自分の才能のなさが分かってしまうというものだ。
俺は英雄の子供だ、だから強くならなければならない。それを、周りの人間たちが、そして、父さんが望んでいる。
俺は必死に努力した。
毎日朝の5時から24時まで、それこそ寝る間も惜しんで努力した。
ただ、期待を裏切らないために