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星が墜ちた夜から  作者: Guru
5章 正義のヒーロー
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第43話 “収穫”

 コンビニの入り口前で突っ立っていた俺に、芽依からの着信が鳴る。

 嫌な予感しかしない……俺は即刻電話を取った。


「芽依か!? どうした!?」


「……そうよ。私よ。私の携帯から掛けてるんだから、私に決まってるでしょ」


「──ん?」


「あのさぁ、私最近ダイエット中でして……ご飯そんなにいらないから、パスタサラダとかにしてくれない?」


 なんだ……電話かけてきたのは飯の話かよ!!

 第一、そんな話で電話かけてくるなよな!! こっちがどれだけ不安に思ったことか……


 俺は電話越しで芽依を怒鳴りつけた。


「何かあったら連絡しろって言ったろ? めちゃくちゃ焦ったじゃないか!!」


「何ムキになってるのよ。こうして用があったから連絡したんだけど。ちょっとは落ち着いてよ、誠人」


「うっ……」


 確かにこれも用事っちゃ用事か。俺が神経質になり過ぎていただけ……

 何はともあれ、芽依が無事でよかった。


 もしかしたら犯人がこのコンビニを利用するかもしれないし、先程の違和感の原因も探りたかったところだが……

 今の俺にそんな余裕はない。急いで買い物を済ませ、全速力で芽依の元へと戻る。



「はぁ……はぁ……買ってきました」


「ありがとう。別にゆっくりでいいのに」


「いや……よくよく考えたら心配でさ」


「大丈夫よ。まだ公園には人がいるし」


 だいぶ減ってはきたが、それでもまだ公園内に人はいる。単なる俺の気にしすぎだったのかもしれない。


 けれど、一度不安になってしまったら、気が気でなかったんだよな……




・・・




──それから1時間が経過し、10時を過ぎた。

 徐々に人だかりは消えていくも、完全にいなくなってはいない。まだ人の話し声などは聞こえるレベルだ。


 さすがに俺らにも、疲れが見え始めていた。

 正確な時間までもか、それが今日かすら分からないのだから。

 これが何日も続くのかと思うと、正直きつすぎる。そう考えた俺は、一種の賭けに出ることにした。


「芽依、ごめん。ちょっと気になることがあるから、一旦この場を離れるぞ」


「あら……さっきはあんなに心配してたのに、今度は自分から行っちゃうんだ?」


「いつまでもこの状態を続けたら辛いだろ? そのためだ」


「うん、分かってる。ほんの冗談よ」


 分かりにくい冗談なことだ。そんな真顔で言われたら、判別もつかないぞ。

 

 だが、芽依がまだそんな冗談を言える余裕があることに俺は驚いていた。

 本当にタフで、根性ある女性だと改めて痛感する。


「もうよっぽどなことじゃない限り、電話はしないでくれよ?」


 念を押すように、芽依にしつこく言った。

 またさっきみたいに、たいした用ではない連絡でもされたら、たまったもんじゃない。


「分かってるわよ。また誠人に怒鳴られたくないもの」


「あぁ、俺も怒鳴りたくない。頼むよ」


 俺はこの1時間の間、コンビニを見た時に覚えた違和感について、ずっと考えていた。

 しかし、いくら考えたところで、答えは出てきやしない。

 やはりこの目でよく確かめなければ、何も生まれてくるわけがなかったのだ。


 俺は先程と同じ手法で、スマホを片手に握りしめたまま、コンビニへと近づく。今、犯人が来ないことだけを願いながら。


 再びコンビニが見える位置まで辿り着くと、やはり先程と同様の違和感を覚える。


「さっきと同じだ。何だろうな……やっぱり変だ。どこかが違う気がする……」


 俺は目を瞑り、今一度記憶を呼び醒ます。

 悪夢の再現を、頭の中で行っていった。



 まず右の公園を見た俺は、次に左を見たはずだ。

 見えたのは喫茶店……そして、コンビニ……


 俺はコンビニに重点を置く。

 

 確か、最初にコンビニ名を見た気がするな。

 そのコンビニは、よく見かける大手チェーン店だった。

 そして、その下には広告……広告!?


 何かを察した俺は、ここで目を見開いた。

 違和感の原因を突き止められる気がしたのだ。


 俺が注目したのは、コンビニの窓の外に張られていた“広告”である。

 俺は現実世界の、目の前にあるコンビニの広告を再度見直した。


「──そうか!! 分かったぞ!!」


 そこで俺はようやく、その違和感の原因を見つけ出す。

 張られた実際の広告には、こう書かれていた。


『ご当地フェア開催まで──あと1日』と。


 その広告はとても控えめで、小さく作られていた。

 きっとまだフェアは予告の段階のため、客に勘違いされないためなのだろう。

 “あと1日”の“1”の部分は、カウントダウンできるように、簡単に剥がせそうな作りになっている。


 この“広告”が夢と現実では異なっていたんだ。

 俺が見た悪夢でのコンビニの外側は、でかでかとご当地メニューを使用した商品の広告が張ってあった。

 なぜなら──


 このフェアはすでに開催されていた(・・・・・・・)からだ。

 

 そして、肝心なところはそれだけではない。

 その広告を強調するように、別の赤の張り紙がその上に堂々とくっついており、そこにはこう書かれていたのを覚えている。



『本日より開催』──と。


 今、俺が見ている広告は

『ご当地フェア開催まで──あと1日』


 即ち、事件が起こる日にちは──明日の夜だ!!


 これだけ広告のサイズが違うんだ。決して見間違いなんかじゃない。


「よし、やっと詳細が掴めたぞ。早速、芽依に報告しなきゃな」


 今まで何ひとつ見つからなかった手掛り。

 ようやく光が見え始めた気がする。俺は大きな収穫を得た。

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