表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星が墜ちた夜から  作者: Guru
5章 正義のヒーロー
42/76

第41話 “覚悟”

 芽依の推理が冴え渡る。

 こういう時こそ、芽依の地頭の良さが活かされていく。


 俺はどうすればこの事件を防げるかを考えていた。

 何としてでも未然に防ぎたい。俺はコーヒーカップに着目する。


「そういえば、すぐそこの出口の先に、喫茶店があるんだよな。そのコーヒーはそこの商品なのかな?」


「今まさに私達が飲んでいるコーヒーが、そこで買ったものなんだけど……」


 芽依はベンチの上に置いていたコーヒーを手に取り、まじまじとカップを眺めた。


「私が夢で見たカップと、ちょっと形が違うのよね。これこそ記憶違いかしら?」


「だいぶ細かい違いだな……」


「私が見たカップは無地の透明だった気がするの。こんな柄なんかなかった気がするけど……」


 俺達が手にするカップは透明の容器に、でかでかと喫茶店の店の名前が刻印されていた。

 これを見間違えることはなさそうだが……


「それとも別の店のものなのか? 喫茶店の隣はコンビニがあって、他には…….喫茶店なんか近くにあったかな?」


「コンビニ……あ! もしかしてそっちじゃない? 最近コンビニにもコーヒーって売ってるし!」


 ここ数年で一気にブームとなり、どこのコンビニでもコーヒーを置くようになっていた。

 俺はあまり利用したことはないが、コンビニに行った際に見た覚えがある。確かコンビニコーヒーのカップは無地だった気がする。


 勇次がいないせいもあってか、どうも俺達は記憶違いを恐れ、何かと夢の相違の理由をすべて“記憶違い”と決めつけている節があるようだ。

 見つけられるものがあるならば事前にしっかりと探し、あらかじめ潰しておく必要がある。


「じゃあそのコーヒーはそこのコンビニで買ったものか。それなら俺が犯人がいつ来てもいいように、コンビニ前で張っておこうか?」


「いえ、コーヒーの種類は分かったとしても、そこのコンビニで買ったかどうかは分からないわ。睡眠薬の効き目は飲んでからある程度時間がかかるはず……だから買ってきたのは別の場所のコンビニかもしれない」


「それもそうか……じゃあやっぱり、危険だけど現場を抑えるしかないのか?」


「そうかもしれないわね。犯行に及ぶ直前──それが一番捕まえられる確率が高い。ただ……その分、危険は高まるけど……」



 そうなんだよな……それが何よりの懸念材料だ。

 できることなら、もうこれ以上芽依に嫌な思いをさせたくない。


 その思いが強すぎたのか……

 俺は本来聞いてはならないことを、芽依に聞いてしまっていた。


「その……芽依は怖くないのか? 前回の銀行強盗の時も、あんな危険な目に遭ったばかりなのに……」


 芽依は深い溜め息をついて、呆れながら答えた。


「誠人まで勇次みたいなこと言わないでよ……そりゃ怖いわよ。怖いに決まってるでしょ」


「じゃあ、やっぱりやめた方が……」


「それをやめてって言ってるの!! 怖くてやめるんだったら、最初から来てないわよ。この前の事件で、怖い体験は十分した……もうこれ以上怖いことなんてないはず……そう考えれば、多少の怖さなんて平気だわ!!」


 凄い……やっぱり芽依は強い子だ。

 もしかしたら俺が不安だったのは、芽依のことじゃなく、“自分のこと”だったのかもしれない。


 俺は自分の身に加え、芽依を守りきる自信がなかったんだ。

 相手は凶器を持つ殺人犯。何を仕出かすか分かったもんじゃない。

 でも、それを知ってて俺達は“ここ”に来たはずだ。勇次の警告も受け入れずに……


 覚悟が足りなかったのは俺の方だった。

 それに気付いた俺は、すぐに芽依に謝罪した。


「そうだよな……変なこと言ってごめん」


「えぇ。謝らなくて大丈夫よ。もうネガティブなこと言うのはやめてよね。もう私と誠人しかいないんだから。これ以上は……もう……」


「あぁ、もう言わないよ。絶対」


 だめだ。芽依を悲しませてはいけない。

 これ以上は……絶対に。


 だから俺は今回の事件を必ず未然に防いでやる。

 そして芽依を無事に守りきり、悪夢に打ち勝ってやるんだ!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ