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星が墜ちた夜から  作者: Guru
5章 正義のヒーロー
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第38話 “言い訳”

 残された俺と芽依は、2人で作戦会議を行った。

 お互い寂しい気持ちもあったと思う。しかし、今はやることをやらなければならない。

 何としてでも、気持ちを切り替えるしかなかった。


「よし、俺達だけでも事件を防げるように頑張っていこうか!」


「えぇ、そうね」


 思い返してみれば、決まっていつも勇次が場を仕切り、率先して話を振っていた気がする。

 ここは勇次に代わり、俺がやらないといけないな。


「それで、芽依が見たのは公園で間違いなかったんだよな? 俺の悪夢は公園の外から始まったんだけど」


「うん、私の近所の公園だったの。だから場所ははっきりと分かってる」


 これは有力な情報だ。

 正直、公園だけではヒントが少なく、絞り込むのはかなり難しいことだと思っていた。


「本当か!? それなら場所は問題なしじゃないか!」


「えぇ、場所(・・)はね……」


「ん? どういう意味?」


 芽依は言葉を濁した。苦い表情で、その言葉の意味を告げる。


「あまりにも近所だったもので、これが悪夢と気付かなかったの……だから、つい時計を見ることをしなかった。そのせいで、時間や日にちが全く分からないのよ……誠人は、何か分かったりしないかな?」



 最悪だ……

 やはり、ずっと芽依や勇次に頼り続けたツケが、ここで来てしまった。

 

 芽依が出来ない時こそ、カバーすべきはずだったのに……なんて俺は使えないんだ……



「それが……ごめん。俺も時間が分からなかったんだ……」


「そう……それは困ったわね……」


 俺は言い訳とばかりに、左手にはめた時計を芽依に見せる。


「見てくれよ! これ! 買うには買ったんだ! でも、夢の時はなぜか着けてなかったんだよ!」


 やはり俺の勘違いなんかではなく、俺は先日時計を購入していた。

 夢の話ではなく、間違いなく現実の出来事だ。


 買おう買おうとずっと思っていたが、実際に購入に至るまで、だいぶ時間を要してしまった。

 引っ越し等で金欠となっており、時計を買うお金が無かったのだ。

 これでもお洒落はそれなりにしたい大学生である。安っぽい時計もしたくない……

 そんなジレンマから、中々踏ん切りが着かなかった。


 それにしてもなぜ、悪夢の中で俺は時計をしていなかったのか?

 せっかくこれが夢の出来事だと気付けたのにも関わらず、時計をしていないのでは意味がない。

 俺は芽依に疑問を投げ掛けた。


「もしかして芽依は、寝るときも時計をしてるのか? じゃないと夢の中でも出てこないとか……」


「そんなわけないじゃない。寝るときは外すわよ。たぶんだけど、まだきっと買ったばかりで、時計を着けているイメージが誠人自身にないのよ。時間がたてば、夢でのイメージも変わるかもね」


「マジか……買っただけじゃだめってわけか……」


 理由は何であれ、嘆いても仕方がない。

 こんな時、悪夢の一番の先輩である勇次がいれば……


──おっと。これは今、一番の禁句だ。口に出せば、間違いなくお互いの士気が下がる。

 芽依も同じことを思っているだろうが、絶対口には出さないはず。


 勇次は俺らを悪夢の現場に辿り着かせないためか、今回の事件の話について一切情報を出さなかった。

 きっと勇次だって、俺達と同じ夢を見ていたはずなのに……

 けれども、それは俺達の身を守るためであって、決して嫌がらせのつもりではないことは、十分理解しているが……


 ただでさえ俺達は3人の状態でも、亡くなった(さとし)の分の夢が欠落している。

 それに加え、勇次まで抜けるとなると、悪夢を補完するのは、困難を極めることになりそうだ。


「とりあえず場所は分かってるわけだし、明日行ってみる? 今日がその日だったら、最悪だけど」


 芽依の言う、その最悪な事態だけは避けたいところだが……こればかりは祈るしかないな。

 明日は日曜日。大学もなく、好都合だ。

 まずは一度下見に行くべきだろう。そうすれば、何か分かることがあるかもしれない。


「そうだな。明日、その事件が起きる公園を見に行こう」


 不安は募るが、俺と芽依は明日、その公園に向かうこととなった。

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