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星が墜ちた夜から  作者: Guru
4章 悪循環
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第34話 “マーク”

 俺はこの悪夢──予知夢について、現田刑事に話すことにした。

 正直、話したところで信じてもらえるとは思っていない。頭がおかしなやつと思われても、仕方がないだろう。

 だが、それでも構わない……とにかく俺は“すべて”を現田刑事に打ち明けた。


「現田さん。俺達がどうしてあの場にいて、勇次があの行動を取ったのか……これにはすべて理由があるんです」


「理由?」


「はい。けれど、正直に話したところで、信じてくれるかは分かりません。それでもよければ──話します」


「それは……聞いてみないと、今は何とも言ってあげられないな。無責任に信じようとは言えない」


「ですよね……けど、信じてもらえると思って俺は話します。実は俺達────」



 俺は意を決して、現田刑事に悪夢のことを話した。

 その時の反応といえば……やはりそれはいいものではなかった。


 だけど、それでも現田刑事は、何ひとつ否定せずに俺の話をしっかりと聞いてくれている。

 隣に座って書記をしていた、メガネの若い男性刑事さんは、鼻で笑うような感じでまるで信じてくれる様子はなかったけど……


 その人と比べたら、現田刑事は馬鹿にしたりすることもなく、少しは信じてくれているようにも見える。

 それは単に、人としてできているだけなのかもしれないが……それでも十分だ。話した価値はある。 



 俺がすべてを話終えたところで、事情聴取という名の取り調べは終了した。

 諸々合わせて3時間はかかっていた。夕暮れ前に警察署に入ったのに関わらず、外に出た頃には、辺りはすっかり真っ暗だ。


 勇次と芽依の2人は、とうの昔に事情聴取を終えており、長いこと外で待っててくれていたようだ。俺は2人と合流する。




・・・




──一方、警察署内では。

 誠人の言い分を聞いた現田刑事と、メガネの男性刑事がその場に残り、あの悪夢について語り合っていた。


「現田さん。どう思います? 先程の、あの大学生の話」


「悪夢……いや、“予知夢”の話か」


「えぇ、笑っちゃいますよね。あんな話、誰が信じるでしょうか」


「それではおまえは……彼を疑っていると?」


「はっきり言うと、そうですね。疑ってます。共犯の可能性は高いでしょう」


 現田以外の刑事は、あの強盗があった銀行内には居なかった。

 そのため、誠人の話を信じられないのも仕方がないことなのだろう。

 しかし、あの場に居合わせた現田には、とても嘘とは思えないような……何か感じるものがあったのだ。


「共犯か。その可能性も確かにあるが……どうも私には、彼が嘘をついているようにも見えなかったんだよな……」


「そんな……冗談やめてくださいよ。予知能力のような不思議な力が、彼らにあるとでも?」


「もちろん私も完全に信じたわけではない。だが、海外では超能力を使った捜査など、普通に行われているのも事実……どちらにせよ、彼らはマークしておいた方がいいかもしれないな」



 誠人達に疑惑は残る……埼玉県警は、3人を要注意人物とした。




・・・




「えーーっ!? 話しちゃったの? 悪夢のことを警察に!?」


 芽依の驚きをあげる声が響き渡る。

 俺らは最寄りの駅まで一緒に歩いていた。

 警察署からは、まだ距離はそう遠くない。あまり大声は避けてほしいところだ。


「ちょっと声が大きいよ。芽依」


「だって、あなたが驚かすようなこと言うから……信じられない。もし、この中の誰かが話すなら、てっきり勇次かと思ってたのに……」


 馬鹿にされた勇次は、軽く芽依をあしらった。


「おい……よせよ」


 この騒ぎ立てる元気な様子を見ると、どうやら芽依は大丈夫そうだ。

 あれから少し時間がたっているにせよ、本当に芽依は精神的に強い子だ。

 普通の女の子なら、ショックでしばらくは寝込んでしまいそうな出来事に違いない。


 俺が警察に話したのも、理由(わけ)がある。

 もちろん、あの現田という信頼できそうな刑事だったから話した部分も大きいが……

 俺達の悪夢は、ついに警察の手を借りるような段階まで来てしまっている。

 

 銀行強盗など、最初っから俺達素人で太刀打ちできる相手ではなかったのだ。

 今後また、警察の力が必要になるような出来事があるかもしれない。そのような考えが、俺の頭の中には生まれていたのである。


「もしかしたら警察が協力してくれるかもしれないだろう? 今後のことを睨んで、俺は話したんだよ」


「じゃあ……その成果は得られたの? 警察は信じてくれた? 誠人の話」


「さぁ……これといった手応えはないけど」


「それなら駄目じゃない。余計怪しまれたかもよ?」


 芽依の言う通り、その可能性も否定できない。怪しまれた可能性も十分ある。


 でも、なぜか現田刑事なら……話しても平気なんじゃないかと思ったんだよな。


 何はともあれ、今回はあの現田刑事には助けられた。

 あの人がいなかったら、今頃芽依がどうなっていたか分からない。感謝しなければ。

 芽依も元気そうだし、本当によかった。



 俺は全員の無事を喜んでいた。何事もなく終える事ができて、ひとまず安心していた。



──しかし……この時の俺には、まだ分からなかったんだ。

 ずっと俺は芽依を気にかけ、心配し続けていた。


 けれど……本当に心配しなければいけなかったのは──“勇次”の方だったなんて。

※ここで、4章は終了です。次回から、新たな事件に加え、ある“問題”が発生します。

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