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星が墜ちた夜から  作者: Guru
2章 悪夢との戦い
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第21話 “不完全”

「それで、今回は誠人が俺達を誘ったんだよな」


 勇次は長細いカリカリの棒状のやつを食べていた。

 商品名はよく分からないけど、合コンとかでよく出てくるあれだ。

 

 今回は前回の失敗を踏まえ、きっちりと夜ご飯を食べてきた。十分腹は満たされている。

 俺もその謎の品を手に取って口に入れた。


「あぁ、これはメッセージより、直接話したくてさ」


「よほど大事な話なのね。何なのかしら?」 


 芽依の質問に俺は答える。


「かなり重要なことだと思う。2人に聞きたいんだけど、この前の事件……おかしなことがいくつかなかったか?」


 勇次は少し考えた後に、あることを思い出す。


「──あったな。夢とは一部が違ったんだ。駐車場には、夢になかったはずの車があったんだよ」


 芽依は頭を働かせるも、これといって何も浮かんでは来ていない様子だ。


「う~ん……あったかしら。私には特に、何も思い当たる節がないけど」


 どうやら芽依はよっぽど、目の前の女性に全力を注いでいたらしい。周りを見る余裕などなかったようだ。

 

 俺はすかさず手を横に振って否定する。


「いやいやいや! あったよ! 芽依にも大きな違いが。女性の落ちる位置が、当初の話とだいぶ違ったんだよ」


「うそっ!? 全然気付かなかった……」


 俺の言葉を証言するかのように、勇次は俺の肩を持つ。


「いや、本当だ。俺と誠人でうまく連携を取って、うまく女性の真下へと移動したんだからな」


「そうだったの……それは迷惑かけたわね」


 芽依はしょんぼりとし、視線を落とした。

 

「別に芽依が気にすることじゃないから大丈夫。それに、俺だって夢と違う部分があったんだ。6階の柵の形が違った……これはとても大きな違いだったよ!」


 勇次が親指を立て、グーサインを俺に送ってくれている。


「あれはナイス判断だったぜ、誠人! そこに気付かなかったら、俺達は彼女を助けることができなかったかもな!」


「ありがとう。別に俺は褒めて欲しいわけじゃなくて……とにかく俺が言いたいのは、それくらい夢と違うことが多かったってことなんだ!」


 芽依もカリカリのやつを手に取って、話を合わせた。


「そうね……夢の話だものね。すべてが正しいってわけじゃないのかしら」


「そこで俺、思ったんだ。俺らは全員が同じ事件の夢を見てる……だからこれには“意味”があるんじゃないかって」


 思わず芽依は手を止め、神妙は面持ちで俺に尋ねた。


「意味ね……誠人は前も悪夢には意味があるって言ってたわね。何か考えがあるの?」


「あぁ。俺らは全員がひとつの事件を、別々の場所から見ていた……だからさ、もしかして──これらすべての夢を合わせることで、初めて“ひとつの夢”になるんじゃないかな?」


 勇次はカクテルを一気に飲み干し、勢いよくテーブルにグラスを置いた。


「なるほど! 実際、移動した位置の真下には、ちょうど車は停まっていなかった! 本来そこが正しい位置だったのかもしれねぇな! 俺ら3人の夢を合わていけば、その記憶違いもなくせるってわけか!」


 今の勇次の発言に対し、芽依は表情を曇らせた。

 どうやら芽依は、俺がわざわざふたりを呼び出した意味をここで理解したようだ。


 俺自身、この事をメッセージで告げてもよかった。

 でも、やっぱり2人には直接伝えたかったんだ。

 この“想い”ばかりは、面と向かって自分の口から伝えたい。

 

 芽依は勇次の言葉の一部を否定した。


「いえ……ちょっと違うわね。勇次。私達は、“3人”じゃない」


「──あっ……」


 勇次は1人遅れて事態に気付き、ぽっかりと口を開けている。動きが完全に停止してしまっていた。


 そう……あの流れ星を見たのは、ここにいる“3人”だけじゃない。

 もう1人いたはずだ。大切なもう1人のメンバーが。


(さとし)……俺ら“4人”はいつも一緒だった。4人でひとつだった。智の夢も含めた、俺ら4人の夢で、完璧な予知夢となるんじゃないのかな」



 きっと俺らは、それぞれ別の視点から、ひとつの夢を見ていたんだ。

 それらの出来事を組み合わせ、補完して初めて、ひとつの夢が完成されていく……


 俺の推測が当たっていたのかは定かではない。でも、不思議とそんな気がしたんだ。


 仮に、俺の推測が正しいのだとしたら……

 智は去年、亡くなってしまった。

 

 これでは、俺達の悪夢は不完全なものとなる。

 常にこの状況下で、俺達はこれからも悪夢と戦っていかなければならないんだ。

※飲み屋でよく出てくる、カリカリの棒状のやつの主な商品名は『カリカリパスタ』だそうです。意外とシンプルな名前でした。10代の方は分からないかな?

 しかし、誠人同様、私自身もその名前を調べないと知らなかったので、あえてここは“カリカリの棒状のやつ”でいきたいと思います。

 

 そして、これにて2章は終わりです。次の章は、ひと味違ったお話になるので、ご期待ください。

 よろしければ、ブクマ、評価の星を入れていただけると作者のモチベがあがります。よろしくお願いいたします。

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