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9話 朝食と今後


メフィス司教の家は教会から5分程坂を下った所にあり、2階建で今は1階部分のみを居住スペースとして使用しているということだった。

なんでも奥さんとは数年前に死別、2人いた息子は家を継がず王都でそれぞれ家を構えているそうだ。

元気であれば良いのだと寂しそうに笑うメフィス司教を見て、父親と都会へ出た自身のことを重ねてしまった。


家に呼んだものの、泊まりでくる訪問者などいないため片付いている部屋はないということで申し訳なさそうにしていたが、先程会ったばかりで面識がないにも関わらず泊めてくれるだけでありがたいと伝え、リビングルームの大きめのソファで眠らせてもらった。

貰ったパジャマ黒(レア・快眠A)のおかげかすぐに眠りについた。


そして夜が明け、異世界で初めての朝が来た。


元の世界でかなりお酒を飲んだ筈だが二日酔いは全くない。何もしていないが一応寝起きにステータスチェックをする。状態の所のみ正常と表記されている。


チェックを終えた頃、メフィス司教が帰って来た。


「おう、起きとったか。」


「おはようございます。今、起きたところです。というか出かけてたんですか!?」


「朝のお勤めじゃ。起きたらまず、祈りを捧げねばな。」


「他人を泊めて置いて出るなんて無用心ですよ!」


「フォッフォ、見知らぬ者の家に泊まったお主がいうか。」


「まぁ、そうですけど。」


「では朝食にするかの。出かけるぞい。」


「外で食べるんですか?」


「わしは料理などできんからのぅ。」


メフィス司教に連れられ家の外へと出る。空は快晴だ。

道幅は広く石畳で、ヨーロッパ的な造りだ。家は1階建か2階建で、少し高い位置にある教会から扇型に街並みが広がっている。

家からさらに3分程下った所にあった喫茶店の様な雰囲気のお店に入る。


「いらっしゃ〜い!あら、司教様おはようございます。珍しいですね。お二人ですか?」


17〜18歳くらいの女の子(おそらく看板娘だろう)が親しげにメフィス司教に声をかける。紫のパステルカラーのエプロンを身に着けている。


「そうじゃ。まぁ、やや縁あっての。あぁそれよりいつものを2人分じゃ。」


「は〜い。お兄さんは飲み物どうしますか?」


この世界の飲み物もわからないので俺が困った顔をすると。


「わしと同じものにしておいてよい。」


「あぁ、それで頼む。」


料理を待っている間に、今後のことについて相談する事にした。


相談の結果、次のことが決まった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



①手取り早くお金を稼ぐには冒険者という方法があり、魔物と戦いそのドロップ品や依頼料で稼ぐのが良いだろうということ。今まで召喚された勇者も同じように冒険者として腕を磨きながらお金を稼いでいたそうだ。

傭兵として働けば騎士として召抱えられることがあり稼ぎは大きいようだが、まず間違いなく戦場に駆り出されるためやめておいた方が良いとのこと。


②転移者であるためこの世界の住人よりも基礎的には力も強いが、30歳でレベル1は危険なので早めにレベルを上げた方が良いということ。

また、冒険者になる上で冒険者ギルドへの登録の際、レベル1では怪しまれるとのことだった。


③旅に出るにしろレベルを上げ、ギルドへの登録やお金をある程度稼ぐまで、しばらくはメフィス司教宅の2階の部屋を掃除して使用して良いとのことになった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「何から何まですみません。」


「良いのじゃ。独り寂しく暮らしておったのじゃからこちらも楽しくなるというもんじゃ。」


お金を稼いだら真っ先にお礼をしようと思う。

転移してすぐ、この世界について教えてもらえた上に部屋まで貸してくれるというのだから至れり尽せりだ。

感謝してもしきれない恩ができた。


そうしているうちに料理が届いた。

異世界初の食事に胸が躍る。


メフィス司教の食べ方を見てそれにならう。

赤みがかったパイ生地で何かを包んでいるようだ。


ナイフとフォークで上部を壊すと肉の香りと木苺の様な甘酸っぱい香りが漂う。ベリー系の果物とともに長時間煮込んだあとパイ生地で包んで焼き上げているようだ。

程よい甘みと酸味が肉の味を引き立てる。

若干の肉の臭みはあるが、気にならない程度だ。

これは美味い。肉料理だが朝食にもいける。


「口に合ったようじゃな。」


「はい。美味しいです。」


「それは良かった。魔苺酒と相性が良いのじゃが、朝なのでな…飲み物はそれで我慢せい。」


そう言われて黒みがかった飲み物に口を近づけると笑みが溢れる。


よかった。コーヒーがあった…。


「コーヒーあるんですね!美味しいです。」


「フォッフォ、多少文化も混ざっておるのじゃろう。」



レベル上げのための魔物の情報等を話しながらゆっくりと朝食に舌鼓を打ったあとメフィス司教宅へと戻り、借りる2階の部屋を掃除した。


ちなみに帰る直前に看板娘を鑑定したところ


************************

ジャンヌ 17歳 Lv.12 状態:快調


【職業】冒険者/ウエイトレス


【スキル】剣術Lv.2、護身術Lv.1、低級治癒魔法Lv.2

【武装】麻のワンピース・ベージュ(ノーマル)エプロン・パステルパープル(ノーマル)、ローファー・ブラウン(ノーマル)


・体力 110/110

・武力  22

・防御  20

・魔力   8/8

・俊敏  15

・知力  10


************************


冒険者の先輩だった…。



お読みいただきありがとうございます。

次話辺りから、魔物と戦ってみたいと思っております。


もし、少しでも良いなと思えましたら評価していただけると今後の励みになります。

よろしくお願い致します。

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