表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夏(旧)  作者: 雨世界
24/87

24

 その日、久しぶりに木戸遥は夢を見た。

 それは随分と懐かしい夢だった。

 場所は遥が通うことをやめてしまった学園。

 その中の三階の端っこにある日差しの差し込む音楽室の中。

 そこには学園の制服を着ている遥がいて、そして黒いグランドピアノを真剣な眼差して弾いている遥と同じ制服姿の夏がいた。普段何気なくおしゃべりをして過ごしていると忘れてしまうこともあるのだけど、こうして優雅にピアノを弾いている夏は、確かに正真正銘の瀬戸家のお嬢様だった。

 遥は椅子に座っていて、夏の奏でるピアノの音を静かに聞いている。

 おてんばでいつも大地の上を走り回っているというイメージのある夏だけど、こうして奏でるピアノの音を聞いてると、本当はひどく繊細な感情を持っている子なんだな、と遥は感じた。

 音がか弱い。

 夏の音はとても美しかったけど、繊細すぎて、弱すぎて、地面の上に落として仕舞えば、一瞬で壊れてしまいそうな雰囲気がした。

 聞いている人を不安にさせる音。

 それがいかにも夏らしかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ