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着替えは一式用意してきた夏だったが、貸してくれるというので遥の予備の真っ白なパジャマとタオル類を借りることにした。夏はリュックから新しい下着だけを取り出すと、遥に借りたお風呂用タオルと一緒にして、それらをバスタオルでぐるぐる巻きにして持って、それから夏は寝室を一人で出て行った。
真っ白な通路はしんと静まり返っていてなんの音もしなかった。
お風呂場までの道のりは迷うことがなかった。
天井の光と開いているドアが夏に正しい道のりを教えてくれたからだ。
お風呂場はそれなりに広く、バスルームはたまご型の丸い形をしていた。お風呂のお湯はとても綺麗でやはり遥は湯船には体を浸けていないようだった。
大きな鏡の前に立つと天井から雨のように暖かいシャワーが降ってきた。試しに鏡の前から少し移動してみると、シャワーは止まった。どうやらそういう仕組みになっているらしい。
夏はバスルームに置いてあるお風呂用品(かえるやあひるの形をしたシャンプーやリンスだった)を使って長い黒髪を丹念に洗い、それから体をさっと洗った。お風呂に浸かるかどうかは迷ったが、遥がせっかく気をきかせてくれたのだからとありがたく浸からせてもらうことにした。
お湯加減は最高で、夏は久しぶりに極楽にいる気分を味わえた。
お風呂を出て新しい下着とパジャマに着替えたときには実際に疲れもだいぶなくなったような気がした。




