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遥の料理は家庭的でとても美味しかった。
夏は一応一通り基本的な料理は作ることができたが、味は遥にまったくかなわなかった。
食事が終わって食器類の片付けが終わったあとも、遥はノートパソコンを叩いているだけで、雛のところに行く様子はまったくなかった。
どうやらあの子は食事も必要ないらしい。
もしくは薬か、点滴でもうっているだけで十分な体なのだろう。もしかしたらどこかにコンセントでもあって、それで充電ができるのかもしれない。プラグコードが尻尾みたいだったら可愛いかもしれない。
そんなことを夏は想像する。
「地上にある施設、見学してきた?」指を止めて遥が言った。
「ううん。してない。ただ歩いてきただけ」夏が答える。
「もったいないな。あれ、世界でもここだけの技術なんだよ?」
「知ってる。おかげで入るのにすごく苦労した」笑いながら夏が言った。
キッチンの隣には寝室があった。
そこにある長方形の白いベットで、遥は毎日の寝起きをしているらしい。部屋の中にはベットの他に白いタンスがあった。夏が部屋の中を見回している間に、遥はそこから真っ白なパジャマを一つ取り出したところで、ぴたっと動きを止めて夏を見た。




