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「じゃあどうして全身真っ白なの? 人間と区別をするためにわざとそうしているんじゃないの?」と夏が言う。
「違うよ。雛は生まれつき真っ白なの。そういう体質なの」
遥の話を聞いて夏は改めて真っ白な女の子に目を向けた。
木戸雛という名前の女の子は真っ白でとても美しい。あまりに美しすぎて、とてもじゃないが夏には彼女が人間には見えなかった。人形であると言われたほうがよほど納得できる。
「じゃあ、この子の名前の、木戸雛っていうのはニックネームとかそういうんじゃなくて、この子の本名なの?」
「うん」夏の質問に遥は頷く。
「名字が同じってことは、もしかして遥と血縁関係がある子なの?」
それに対して遥は首を横に振った。
「私と雛に血のつながりはないよ。木戸っていうのは木戸研究所の所有物であるっていうことだからね」
「所有物?」
「うん」
「それって、変じゃない?」
「どこが?」
「だってこの子は人間なんでしょ?」
「そうだよ」
「人間が人間を所有するの?」
夏の問いに遥は答えない。




