(幼稚園編)運動会
幼稚園・・・運動会編
あれだ。初めての運動会は皆は緊張したり頑張ろうと前向きに思えたものだろう。
私も邪魔な記憶があれど、実際は初めてだから前向きな気持だった。
しかし・・・予想外のことが起きた。
最初の運動会は・・・簡単すぎた。
いやね、他人より身体能力が高いことは自覚してるよ?
分かってるつもりだよ?
練習でもこんなものかと絶望したほどだもん。
でもね・・・徒競走とか借り物競走とか競争系・・・圧勝。
ダンスとかも楽すぎた。
調子に乗って一週間前から筋トレ二時間増加なんてしなければ良かったと、後悔した。
そして2度目の運動会・・・この時は目立たないように平凡を装った。
まあ、見学に来た敬と、敵組の康から手を抜いたなと睨まれたのは言うまでもないが・・・。
けど手を抜いたと理解している梨絵が『頑張ったね。』と言ってくれたのは嬉しかったなぁ〜。
もうホント梨絵は可愛い!
そして今回、三度目の運動会。
開会式や玉入れや徒競走や二人三脚が終わる。
そして・・・
〜昼休み(弁当)の時間〜
「「翆、手を抜いたろ?」」
車に水筒を取りに行った母親のいない時に、兄弟から去年言われたツッコミをされた。
デジャブとはこのことか。
「・・・まっさか〜、私はいつだって・・・ぜ・ん・りょ・く・だ・よ♪」
私はジト目をしたあと、可愛らしく言い返してみた。
そしたら・・・
「おろろろろろろろろろろろ〜〜・・・。」
「まぁ、可愛いけど僕たちの目は騙されないよ。」
敬は普通の対応したのに、康は吐く真似をした。
あとでお仕置きだな康。
「仕方ないでしょ、私に運動系で勝てる人はいないんだから。
私の実力は兄弟である二人が一番知ってるじゃん。」
「まぁ、そうだけどさ、あんな気の抜けた走り方だと全力じゃないの丸わかりだよ。
母さんだって少し疑ってたんだから。」
「肉うめぇ〜。」
母さんにバレかけていたのか。
少し改良必要だな。
そして康は後で電機あんま五分の刑だな。
「次はなんの競技あるっけ?」
康はお肉を食べてながらふと思いついたように聞いてきた。
「仮装リレー、ダンス、親子も混ざって綱引き・・・・ぐらいかな?目立つのは。」
「あ、私、仮装リレーに出ることになってる。」
「「「「なら、写真取らないとね。」」」」
あれ?母さんいつの間に戻ってきたの?
そして梨絵と康は何故こんなにも反応してるの?
あれ?なんか目が怖いよ?あれ?あれ〜?
〜仮装リレー〜
どうしてこうなった。
「ハロウィンはまだ先だろ?
いやまぁ、練習の時に否定しなかった私も悪いけどさ・・・。」
私は準備室ので膝をつく。
改めてじっくりと自分の仮想を見ると少しゾッとする。
いや自分で言うのはいけないだろうけど、そこそこ可愛いから似合わない訳じゃない。
しかし可愛いからと言って羞恥心が消えるわけではない。
その上、この衣装はまるで人前でパジャマ姿で踊るような恥ずかしに襲われる。
「あぁ、超恥ずかしい。」
私の衣装は黒猫の着ぐるみだった。
しかも手足が肉球付き。
爪があったら先生たちの顔を引っ掻いていたものを。
「大丈夫・・・とても・・・可愛いから・・・。」
落ち込んでいたら目の前で梨絵が鼻血を出しながら言う。
なんか最近梨絵が色々とおかしいなぁ〜。
「他の子たちはハロウィンらしい格好だよね。
吸血鬼だったり、映画のドラ○もんだったり、ピー○ーパンだったり・・・
私だけなんか違くない?」
「「「「大丈夫!翠はそれで大丈夫!」」」」
準備室にいた先生も合わせた皆が声を合わせていった。
「お、おう。」
勢いに負けた私は結局この着ぐるみで出ることになった。
このリレーは障害物競争のたぐいなので、色々と仕掛けがある。
走ろうとする前、先生から「可愛らしく走ってね。」と言われた。
つまり先生は可愛らしく罠にハマり困る姿を求めているのか。
・・・やってやるか・・・
私は自分の思う全力な可愛さを出して走ることにした。
走り方はパタパタと少しゆっくりに走り、吊り下げられているパンを咥えるものなら、ジャンプ力を調整し五回飛んで咥える。
そしてゴールするまで6回ほどコケる。
可愛さってこんなものだっけと悩んだもののこれしか分からなかったので無心に可愛さアピールをする。
走り終わり家族のもとへ行くと・・・
「うぇっぷっ。」
「はは・・・アハハハ。」
「まぁ、動画写りは悪くないわね。」
家族は見るからに不評だったらしい。
同じ組の子達のところに行くと・・・
「「「可愛かったよ!翠ちゃん!」」」
女の子達は大興奮。
「あんな行動できるんだな。いつもと全然違うじゃん。」
「猫かぶってるんだろ?いつも。」
男達は失礼なことを言っている。
舐められないようにコブラツイストしておこう。
「・・・///。」
しかしそんな男子の中でも2・3人が顔を赤く染めていた。
動き過ぎて暑いのかな?
「梨絵、どうだった?」
私はどうでもいいやと思い、近くにいた梨絵に聞く。
「・・・あぁ、抱きしめてたい。
泣き顔を見てみたい。
あぁ、独り占めしたい・・・牢屋・・・監禁・・・」
あれ?なんか不穏なこと言ってない?
というかなんだろう。
寒気を凄い感じる。
次は〜赤組による、ダンスです。
赤組は列に並んでください。
身震いがするのと同時に、放送が流れる。
その途端、梨絵はハッと我に返った。
寒気は消えた。
「翠ちゃん。可愛かったよ!小学校でこの行事あったら絶対してね。」
恥ずかしいので丁重にお断りします。
これを口に出すと絶対泣きそうな顔になるので、心の中で言う。
「さ、次はダンスだよ。並ぼ?」
ま、羞恥心は傷つけられたけど皆が笑顔だからいいか。
結局私は結果オーライト言うことにして気にするのをやめた。
そしてダンスの並びへと行くことにした。
「行く前に俺たちを離せ!」
「あ、やばい・・・腕が・・・腕が・・・」
おっと、男の子たちの顔が青くなっていた。
ま、死にななかったから良しとしよう。
・・・私の運動会はこれ以来問題なく進んだいった。
いつも通り予想通りの騒がしい時間だった。
その日の夜、私はパソコンにこう書き留めた。
『運動会のイベントなどで私が本気になっていいのは高校生からだな。
高校生にもなれば私の実力に現代の子たちも到達するだろうし、天才と言える人も出てくるはずだ。
それを待とう。
戦うわけではないけれど、自己満足できる勝負ぐらいなら出来るだろうから。
その間は退屈でも、自分を磨こうと思う。
将来・・・困らないために。』