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僕が死んだら、不幸を下さい。  作者: 春夫
転生は起こった・・・彼女は何思い何を願う
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梨絵+将来の夢

さて、パソコンは手に入れた。

これで知りたい情報はいつでも手に入る。

まぁ、問題は親に見つからないことだが、私は親の習性を知っている。

だから見つからないように隠すことなど容易い!

ま、部屋の掃除の時、ちょっとドキッとするけどね。

そろそろ自分の部屋は自分で掃除しようかな?


「・・・さて、今後どうするかなぁ〜。」


私の中にある記憶は私の将来を邪魔する。

いろんな物事を予め知れるのは、簡単に言えば得ではあるのかもしれない。

しかし何もかもが予定通りになり、退屈で仕方がないのだ。

故に何も楽しめない。

強いて楽しめることは、他人をからかうことや、私より出来るやつといろんな物事で戦うこと。

後は私も知らない、やったこと無いことに挑戦すること。

記憶をする限り・・・それは芸術系なんだよねぇ〜。


「・・・青谷さんに出会ったし、私も音楽しようかな?」


しかしそれでは青谷さんの真似だけになってしまう。

私だって、いくら人生に退屈している私だって!

なにかするなら、オリジナルというブランドをつけたい!

まぁ、芸術作品は全部オリジナルなんだけどね。

知らず知らずの内に盗作になってる可能性はあるんだけど。


「しかし・・・オリジナルかぁ〜。」


さっきまで真似は嫌だ〜とか思ってたけど、正直に言えば自分で最高の力で作った歌や物なら別に満足するだろう。

だから真似でもワンちゃん満足は出来る。

しかし、まぁ・・・人生は長い。

最高の作品を作れる時期は20代でも構わない。

なら今するべきことは・・・


「・・・私の技術向上、と、人生をともにする人の発見、そしてそれの育成かな。」


私はパソコンにそう記入して、部屋を出た。





「ねぇ、梨絵ちゃん。」

「ん〜?なに〜?」

私は、ある日の昼過ぎ、梨絵ちゃんの家にいた。

「何か将来の夢ある?」

私は梨絵ちゃんの似顔絵勝負の最中にそう話しかける。

「大人になったら何がしたいかってこと?」

「うん。」

私は、画家になれるかもしれないと思い、たくさんの方法を使って梨絵ちゃんを書く。

ふむ、絵かき、音楽、小説の練習をし始めたが改めて分かったことがある。

単純に行けるほど楽な道ではないことだ。

時間があるから諦めはしないけど、覚えることが多い。

少し辛くなる。

「私はねぇ〜・・・んフフっ♪

翆ちゃんと同じことした〜い!」

・・・よし、この子は死ぬまで絶対私が守る。

この笑顔をそこらの男に絶対渡さない。

「そっか・・・ありがとう、梨絵ちゃん。

私も梨絵ちゃんと協力したり、たまに競争しあって仲良くしたいな。」

私は今できる最高の笑顔を梨絵に向ける。

そしたら・・・

「そうだね!未来も一緒にいよう!」

これは子供同士の約束。

どんな人も大人になれば忘れる約束事。

希望論。

でも私はそれでいい。

梨絵が忘れて自分の道を進んでも私にとってはそれでもいい。

多分私は覚えていて悲しくなるだろうけど、私には仲間がいたと言う事実だけで充分だ。

「そろそろ出来た〜?」

「うん。完璧。」

私達の書く絵が終わり、そう報告する。

「どっちが・・・先に見せる?」

「・・・私から・・・がいいんだよね?」

「うん!」

梨絵は顔に出やすい。

自信がない時はこのように上目遣いでこっちをチラチラ見る。

ま、わかりやすいけど可愛いからいっか。

「じゃ・・・どん、これ!」

私は、漫画で書かれたような絵を見せる。

似顔絵なのに唇がなく、鼻が大きくない。

髪型とか、顔立ち、目の形とかは似せた。

その絵を見て梨絵は・・・

「・・・。」

さっと自分のスケッチブックを蹲って隠す梨絵。

・・・ありゃりゃ、うまく書きすぎちゃった。

「見せて。」

私は少し微笑みながら手を前に出す。

「だ、駄目!私のは下手だから!」

顔を赤らめて拒否する。

梨絵は嫌がっているけど、私は見たい。

下手でもいい。私だってこれは下手の部類に入る。

それでも、心を込めて書いてくれたなら私はそれを見たい!

「・・・。」

私は無言の真剣な顔で梨絵を見る。

それが二分ほど続けば、梨絵は諦めたのか、顔を俯かせて震える手でスケッチブックを渡してくれた。

ありがとう、と伝えてスケッチブックを開く。

そこに書かれていたのは、それこそ子供が書いたような私の絵。

笑顔の私を書いている絵。

お世辞でも良い絵とは言えない。

でも・・・私には嬉しかった。

まるで子供を持った母親のように心を温かくしていた。

「・・・ありがとう!すっごく、嬉しいよ!」

私はそのスケッチブックを抱き、私の中の最高の言葉でお礼を伝えた。

その言葉に梨絵は驚いて、優しい笑みをして「うん!私も嬉しい!」と、言ってくれた。

私達の絆は今日、また一段と強くなった。



「お母さ〜ん!!見てみて〜!

翆ちゃんが私の似顔絵描いてくれた〜!」

「あらあら、凄く上手ねぇ〜。

良かったわね、梨絵。」

「うん!!」

その後、私の絵はこれ程とないぐらい褒められた。

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