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僕が死んだら、不幸を下さい。  作者: 春夫
転生は起こった・・・彼女は何思い何を願う
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資金ゲット。(青谷)

私は今、凄く頑張っている。

暑いせいで汗が流れ落ちる中、5歳児の足ではとても遠い目的の場所まで歩いていた。

何故歩いているか、それは記憶の中の男のへそくり探しだ。

とりあえずなぜ、私がそんなものを探しているかを言おう。

それはなぜか・・・暇・だ・か・ら・だ!

私の日々は退屈で溢れていた。

男の記憶があるから大抵のことはわかる。

だからしたいことは、身体的問題がない物事ならば何でもできた。

しかし、目立ちたくない私はあまり大きく行動ができない。

故に、この何でもできる時間は退屈で暇なのだ。

そこで私はネット、いわゆるパソコンなどの機械の存在に目をつけた。

家にWi-Fiが通っているからパソコンでも手に入れば、この数年間、暇は潰せるだろう。

しかし問題がある。

資金だ。

5歳の私にパソコンを買うほどの資金はない。

そこで思いついたのが記憶の中の男。

男の記憶には男の奥さんに黙って貯めていたヘソクリがあった。

しかし、奥さんは勘が鋭いため、家に隠したら数分で見つかるらしかった。

だから男はある場所へ、ヘソクリを隠していた。

そのヘソクリをもらうために私は今、暑い中歩いている。

もし手に入れられたら『なんともズルい人生』と言いたくなるが、これはこの記憶を持って生まれた私は運がいいだけのこと。

他人にとやかく言われる筋合いはないねー。

あいにく、私が生まれたのは男の故郷らしく、ヘソクリの場所自転車で行けば30分ほどでつく。

凄い因果だなと思ったのは当然のことだろう。

家から歩いて数十分後・・・

ヘソクリを隠していた場所は・・・


「ここですか・・・。」


あるマンションの三階の305号室。

私はピンポン音を鳴らす。

ネームプレートには『青谷 美波』と書いてある。


ガチャ・・・キーーー・・・


「はい、どちら様ですか?」


「どうも、美波さん。

神谷晴之は私にくれるそうです。

森ですくすくと育った青い鳥を。」

私は扉から出て来たショートカットの女性にそう伝える。

記憶の中にある合言葉を。

「・・・本当に貴女に?・・・入って。」

その言葉を聞き、私を見て目を見開く。

幼すぎてなにかの間違いかと疑ったのだろう。

しかしそれは一瞬、直ぐ様、私を部屋の中に入れた。





「はい、お茶。」

「ありがとうございます!!」

私は乾ききっていた喉を目の前の茶色い液体で潤す。

うひゃ〜〜〜♪うっま〜〜い!

「・・・貴女、若いのに晴之さんそっくりな飲み方するのね。」

おっと、子供みたく飲まないと。

「いや、今そんな可愛らしい飲み方しても無駄だからね?」

年相応の行動ってやっぱり難しいな。

今後の課題にしよう。

「それで説明してもらいましょうか?

なんで貴女が晴之さんの『青い鳥』を知ってるの?」

記憶を持ってるからです。

というか、説明すると記憶の男はお人好しすぎるのでヘソクリを隠しても、この青谷さんに全てを任せたのだ。

ただ一言こう残して。

「必要としてる奴にあげると思うから預かっといて。」

なぜ青谷さんなのか。

青谷さんは家庭環境のせいで死にかけていた。

そこを記憶の男、晴之が拾い助けた。

それからの青谷さんはまともな親戚に引き取られ、普通に育ったらしい。

そのことに青谷さん自身は晴之のおかげだと、とても恩を感じていた。

その上、春谷さんは金に目が眩むことのデメリットを知り、人の見る目を持っている。

故に晴之は青谷さんを信頼して、お金を預けた。

「その前に聞いてもいいですか?

確か晴之・・・さんは貴女に、死んだら自由に使っていいって言いましたよね?

なんで使わなかったんですか?」

多分青谷さんは使ってない。

お金を使っていたなら、あんな反応をせず、玄関でそう言うだろう。

使ったと言わないのであれば、使っていないはずだ。

「私は晴之さんに救われた。

いわば恩人なんだ。

そんな人のお金を使うほど私は腐ってないよ。」

「使っていいって言われたのに?」

「君のような人が来るかもって言われたんだからねぇ〜。

その子のために残しといただけだよ。

それに・・・私は欲があまりないんだ。」

「・・・もし自分に子供が出来たら使います?」

「自分の子ぐらい、自分の稼いだ金で養う。

それが私が晴之さんに救われた時に決めたこと。」

もし、私に晴之の心が入っているなら、私の精神と晴之の精神が繋がっていたなら私はなんて言うのだろう。

・・・多分、こう言うな。

「・・・貴女を信頼して・・・良かった。」ボソっ

信頼を信頼で返してくれるので彼の人生の価値はあがっただろう。

全く・・・羨ましい人生を送っているよ晴之。

「ん?なにか行った?」

「いいえ、何も。・・・で、今度は私ですね。

何故、私が知っているかでしたよね?」

「うん。これは私の興味ってだけだから言い難いことは言わなくていいよ。」

優しそうに笑顔を向けられる。

ん〜、どう言おう。

記憶があるからというのは信じられなさそうだし、実際に知ってるから困るけど実際、晴之はヘソクリを忘れてたんだよね。

だから今から嘘を作るとなると罪悪感が出て、冷や汗が出てくる。

どうしよう、本当のこと言うかな。

「・・・えっと、青谷さんからは私はどう見えます?」

「えっと、年齢の割には、大人っぽい?かな?

・・・今何歳?」

「・・・8歳です。」

3歳詐欺ついちゃった。

やるなら3歳年下の方にしたかったなぁ〜。

・・・女としては嬉しいことなのかな?

「・・・今の小学二年生はこんなにも大人びてるの?」

純粋な疑問だよね、私だって青谷さんの立場だったらそう思うもん。

「あー、産まれて数日で自我が芽生えたって言ったら信じます?」

「??・・・うん?

それはつまり・・・赤ちゃんの時に色んなことを覚えて思考能力を手に入れた・・・ってことでいいのかな?」

おー!この人頭いい!

私の一言をちゃんとは察してくれた!

私は嬉しくなる。

「おぉ、そんな首振らなくても大丈夫だよ。」

気づけば感動で首を立てに何度も振っていた。

初めてだよ。こんな頭のいい人にあったのは。

「問題です!

無邪気な子供の中で、大人びた異質の私がいたらどうなるでしょう!」

もう勢いだ。嘘は勢いで隠せ!

「?・・・ぼっち?」

「・・・ま、まぁ、そういう事です。」

小さくそう言う。

ちっくしょぉぉぉ!

ぼっちって認めたくない!

友達いるのに認めたくないよぉぉぉ!

「大変・・・だったんだね。」

あァァァァ!青谷さんの優しさが痛いっ!

「なるほど、もう聞かないよ。

人の黒歴史を掘り下げるほど私は鬼畜じゃないからね。」

もう・・・何も言うまい。

そうだ、心が苦しくなったら記憶の男の黒歴史見よう。

それを笑って落ち着こう。

「・・・兎に角!

晴之さんの青い鳥はどのくらいありますか?」

あ、ちなみに青い鳥はヘソクリのことね。

「あれ?全部持っていくのに聞くの?」

「子供で大金を管理できると思いますか?

そこで相談なんですけど、そのお金、さ、3割あげますので管理をお願いしていいですか?」

3割失うかぁ〜・・・仕方がない!

ここは目をつぶろう!

「別に貰わないよ。

管理ぐらいなら、特別苦労もないしいらないよ。」

青谷さん。あなた様は神かなにかですか?

もう私の信仰対象ですよ。

「それでねぇ〜、えっと青い鳥は・・・現金で300万、後は・・・金の塊が数十個だね。」

あ、補足するとこのお金は趣味のない晴之のもらう、お小遣いの貯金を崩したものだ。

別に悪い金ではない。

「あ、あの、私が今欲しいのはパソコンでございますのでその分の資金さえいただければ・・・。」

机に置かれたお金の数々を青谷さんに返す。

記憶で見たけど、改めて現物を見るとやばい。緊張で手汗がやばい。

「なぜ敬語?・・・あ、そっか。

流石にビビるよね。これは。」

も〜、察してくれる青谷さんのマジ大好き。

「そういえばパソコン欲しいんだよね?

なら私の使う?」

「へ?」

「私、音楽と本作ってるんだ。

だからパソコンは何台も持ってるんだよね。

それでこの前、新品買ったんだけど実際使ってないから物置に置いてるんだ。

いる?」

そんな簡単にバンバン買えるものなの?

パソコンって高いよね?

もしかして売れている人なのかな?

「・・・使わないのであれば受け取ります。

・・・因みにこう聞くのは失礼と思うんですけど・・・有名なんですか?」

「流石に自分が有名だとは言えないなぁ〜。

あ、でもyourtubeでも活動してるよ。

そのパソコンのお気に入りにチャンネルあるからそれ見て。

気に入ったらチャンネル登録してね。」

はい!絶対します!神に誓って!

「有線いる?」

「あ・・・余っているなら。」

ん?さっきから遠慮がないって?

はっ!私は貰えるものはもらう主義だ!

文句は言わせん!

バックにもらったパソコン、マウス、有線を入れる。

よし、今日の目的達成!

「・・・。」

・・・しかし、青谷さんとの関係をここで断ち切って良いものだろうか?

今後、絶対に私には頼れる大人が必要になる。

言っては悪いが、家の親では役不足。

・・・ならば。

「ん?何?」

私がチラッと見ているのを青谷さんにバレる。

ここで言うんだ、翆!

理由はあれでいい!今、青谷さんとの関係を深めろ!

「あ、あの!図々しいの充分に承知の上でお願いしていいですか!?」

「い、いいよ。」

私の勢いに身を引く青谷さん。

だが構うものか!

今行かなくていつ行くというのだ!

「暇な時に音楽とか、色々と私に教えてください!」

「オッケー、私も仕事あるからずっとは教えられないけど、時間が合えば色々と教えてあげる。」

あっさりと解決した。

うん。私の意気込みは必要なかったらしい。

でも嬉しいことには変わりない。

「ありがとうございます!」

私は青谷さんに頭を下げる。


それからは青谷さんに、私の知っている記憶の一部を話す。

雑談して笑って、メールアドレスを貰って、その日は帰った。

本当に久しぶりに充実した日だと思ったのは間違いない。

部屋に戻り、パソコンでyourtubeを見る。

青谷さんのチャンネルは、チャンネル名青谷でやっていて、チャンネル登録者数は200万人いた。

・・・めちゃくちゃ有名やん。

私はもしかしたら身の程知らずだったのかも知れない。

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