表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕が死んだら、不幸を下さい。  作者: 春夫
転生は起こった・・・彼女は何思い何を願う
1/41

初めての、死。

ピー!ピー!ピー!


私の視界に、家族が映る。

皆が泣きながら、しわくちゃになった手を握ってくれる。


・・・やっぱり私は幸せものだ。

手から感じるぬくもりがそう思う。


私は85年と言う長い年月を過ごした。

その間、私は人に恵まれた。


もう現世にはいないけれど、私の親は私に人生の全てを、最大の愛を私にくれた。

だから私はひねくれることもなく、絶望に溺れることもない性格になった。

あの時のお礼だけじゃ足りないな。

もう届かないかもしれないけど、一応言うよ。

ありがとう、お父さん、お母さん。


目の前で優しい笑顔を向けてくれる妻を見る。

君は私を愛してくれたね。

たまに喧嘩して、柔道技喰らったっけ?あれはいい思い出だよ。

・・・私が落ち込んで立ち直ろうとするとき、君は必ず勇気づけて背中を押してくれたよね。

私に最大の最高の人生をくれて・・・ありがとう。


私の息子は正義感を持って、勇敢に育ってくれたね。

私は何もしていないないのに、ここまで立派に、自慢できる子に育ってくれて私は嬉しいよ。

それに今では警察官のお偉いさんになったんだってね。本当にお前は最高の宝物だ。


息子の奥さんも私の世話を快く受けてくれて、毎日清潔にしてくれて、そして笑顔を沢山くれたね。

息子にはよくできた奥さんだと思うな。

もし息子が浮気をしようものならビンタの一発とは言わず、ボコボコにしてやってな。

貴女が息子の奥さんになってくれたから、私は安心して老後を暮らせたよ。

お礼の一つで済ませるのは、私では出来ない。


孫も他人に気を使える優しい子になってくれた。

いじめられていた子を、家に連れてきたときは、本当に涙がでそうになったなぁ〜。

今では大手企業に務めるサラリーマンだもんね。

定年退職するときには私より給料高くなるから羨ましいよ。

早く結婚してひ孫の顔を見せてくれとは思ったが、これは私のわがままかな。


・・・あー・・・駄目だ。もう音が聞こえない。

そろそろお天道様の元へ行くことになるかな。


視界の中に、昔からの友人数人が映る。


朝日、どうだ?

昔、君は言ったよな?

「俺たちは生涯独身だ!

今モテないのが最大の証拠だね!」

笑いながら言われたっけ・・・。

でも残念だったな、あいにく私は結婚してこんなにも幸せになったよ。

絶対、君より百倍は幸せになってやったな。

君も結婚して私よりではないけど、幸せになったんだからさ、お孫さんの結婚、認めるよう息子さんにいったらどうだい?

死ぬ前に、ひ孫の顔は拝めるように生きろよ。


誠司くん。

君には何度もお世話になったね。

医者である君に今まで何度、病気を直してもらって、私の宝物達の命を救ってもらったっけ?

数えきれないな。

本当に、本当にありがとう。

君がいたから、私はここまで幸せになれた。


美紀さん。

貴女には何回、妻との喧嘩の仲裁を頼んだっけ?

今思えば、あなたが居なければ私達はここまで来れなかったかもしれない。

本当、貴女の女の感には救われたよ。

息子達もお世話になったね。

相談、乗ってくれたんだってね。

本当に・・・ありがとう。


一人一人の顔をよく見て、人生を思い返す。


あぁ、私は幸せだった。

こんなにも人に恵まれ、笑って自慢できるほどの人生を送れて、最後にはベットの上でみんなに看取られて静かに死ねるのだ。

これほどの幸福があっていいのかな?

逆に申し訳ないよ。

でもありがどうございます、お天道様。

貴方様が見守ってくださったおかげですね。


私は最後にと手をゆっくりと上げる。

息子達がその手をギュッと握ってくれる。


・・・最後だね。お礼ぐらいは言わないとな。

最後の言葉、何にしたらいいかな。


あれだな。うん。あれしかない。


掠れた声を出す為に、力の入れずらくなった顎に最後の力を入れる。



「あ・・・・り・・・が・・・とう・・・。」


ピーーーーーーーーーーーー。





あぁ、なんて心地よいのだろう。

とても・・・安心する。

  次 の生 は ドウ し たイ ?

ん?声が聞こえる。

誰かいるのかい?

すまんね、眠いのか瞼が重くて上がらないんだ。

  あな た のネガ いは ?

私の願い?

なんのことだい?

  コタ えろ !

あらら、怒られてしまった。

そうだねぇ〜、私の願いか・・・。

もう神谷晴之としてのせいには後悔なんてないんだよね。

だから願いという願いも・・・

  なら ナイ で いい ナ ?

ん〜、そうなるかなぁ〜・・・。

  ワ かっ タ 。 なラ 

あ、待った!あったあった!私の願いあった!

  メん どう  言って ミろ。

今、面倒だっていいかけなかったかい?

まぁ、いいか。

それで私の願いだったよね?

私の願いは・・・神谷晴之の生の中の幸せを他人に分けることだ。

  ドウ して ?

私は凡人なのにこれ程と無い幸せを貰えた。

もう満足なんだ。

だから今度はこの幸せを・・・不幸の人に渡したい。

今度は私が人を幸せにしたいんだ。

それに孫にアニメというのを見せてもらったが、生まれ変われるなら今度はクール系と言うのかい?そんなキャラで生きてみたい。

恥ずかしい話だがね。

  それ ハ 本音 なの カ ?

・・・もしかして貴方は神様なのかい?

確かにさっきのは私の願いの建前だよ。

嘘はないけどね。

  ホン とは 何 だ ?

・・・私の幸福を他人にあげていい。

だから私を不幸にしてくれ。

  な ゼ ?

私はバンジージャンプが好きでね。

危険の中から達成感を勝ち取ることにと喜びを感じるんだ。

故に私は不幸という壁を乗り越えたいのだ。

だから私は不幸に・・・なりたい。

  あい ワカ った 。

  そ れでは ね ムル が ヨイ 。

ん?・・・あぁ、そういうことか・・・。

85年生きてきたがこんなことは初めてだね。

本当に、人生ってのは不思議なものだ。

・・・わかった。もう眠ろう。

  次 の 人生に 幸 あらん ことを。


私は暗闇へ意識を戻した。

更新は一週間に一回です(確実ではない。

長くても二週間に一回は投稿します。

他にも小説を書いていますので読んでいただけると嬉しいです。

これからもよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ