学院
<学院>
エリックは受付の人にDカードと手紙を渡し校内案内をお願いした。
しばらくすると眼鏡をかけた女性が「ついて来なさい」と自己紹介もせずに案内を始めた。
田舎者だから舐められているのだろうか?
そんなことを思いながらも学校の中の説明を受ける。
俺は校内の掲示板に興味が湧いて眺めていると「文字が読めるの?」と声をかけて来た。
「僕もエリックも文字は読めます」と答えると
「彼の年で読めるのは当たり前、君の年で文字が読めることに関心しただけよ。
迷子にならないようについてきてね」
そして最後に俺たちは図書館に連れてこられた。
国内で2番目に大きな図書館のようだ。
本当に立派な図書館でそこには多くの学生が自習を行なっていた。
思わずちらっとどんなことを勉強しているのか覗いて見る。
見たことがない言葉、薬学、上位魔法などいろいろだ。
ここにある本は高級なものが多く日本の図書館と違い貸し出しなどは行われていない。
図書館を一周すると、眼鏡の女性に「さて戻りましょう」
と言われ彼女を見ようとした瞬間ぱっとある学生が読んでいるページが目に入る。
(魔法陣だ。)
なんだかわからないけど体に衝撃を感じこれだ!と本能が俺に伝えようとする。
魔法には演唱魔法と演唱を必要としない意識魔法、アイテム魔法の3つがあると習った。
演唱魔法は文字通り魔法を演唱することで発動する魔法。
意識魔法は演唱魔法を繰り返し使うことで体が魔法に慣れることで習得した魔法を演唱なしで意識で発動する魔法。
アイテム魔法は魔法が込められたアイテムを使い魔法を発動するものだがこの魔法を閉じ込めるアイテムが高級のため一般には普及していない。
以前シスターから少し習ったのだが
この本に載っているこの魔法陣はどうすれは使えるのか気になってしょうがない。
「そこのお兄さんが図形の本を読んでいたのですがあれはなんですか?」
「ああ、あれは魔法陣よ。昔は召喚魔法などに使われていたみたいだけど、
今は召喚獣なんていないから普通の魔法しか使えない。けどあれはMPを使わない魔法なのよ。
MPが切れた時なんかには便利ね。」
歩きながら説明を受け入り口まで案内される。
エリックがメガネの女性にお礼をいい俺もお辞儀をする。
お辞儀する俺の姿に「?」を浮かべながらも感謝しているのだろうと伝わり笑顔で返してくれた。
最後の最後に笑顔が見れた。怖いお姉さんではなかったようだ。
エリックが改めて試験の内容などを確認する。
そうエリックはこの学校に通いたいのだ。
エリックが手にしている申込用紙は特待生の試験に申し込むもの。
1学年300人の学生のうち45名は特待生として無償で通うことができる。
そんな夢にエリックは挑もうとしていた。
俺はエリックと1年一緒に過ごして来たけどエリックに特別な力を感じることはなかった。
(なぜ?)と思いながら俺らは学校を後にして宿に向かう。
宿でチェックインを済ませ、10人部屋に案内される。
正直狭いが初めての外出なのだからそれも悪くないように感じた。
近くの出店で夕食を二人で食べる。
エリックは食事の最中あの学校の良さを熱弁してくる。
本当にあの学校に憧れているのだろう。
特待生試験に関しては受験料も無料だと言う。
エリックはこの学校を卒業して立派な神父になりたいそうだ。
優しいエリックらしいと最後の彼の一言に頑張って欲しいと心から思えた。
特待生の試験は3つあり、その評価によって合否が決まる。
毎年内容は異なるため受験者は色々準備を行っているそうだ。
でも俺はエリックの勉強している姿なんて見たことないぞ?とか思ってしまう。
でも俺もあの学校で魔法陣についても学びたい。そんな思いが心の中に残った。
翌朝二人で村に帰る帰り道でも学校の良さを話続ける。
なんかここまでくると怖いなと思い始めて来た。
村に戻り教会へ向かう。
神父に壁画はどうだった?と聞かれたが、帰りの4時間学校の話ばかりされていたため
「素晴らしかったです。」しか言えなかった。
もうあれはある種の、、、洗脳、、、