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魔法の打てない最強魔法使い  作者: ノーマニア
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外出


<外出>

初めて絵を描いたのはいつだったどうか?

こんな考えたこともない疑問が頭をよぎった。


絵を描くなんてことは前世では子供の頃から当たり前のようにできたことだったけど

この人生では土にしか描くことができない。

ペン、絵の具は高級品で紙に関していえばピンキリだが一番安いものでも1日の給料と同じくらい高価なもので今の俺からしたらとても手に入れられるものではない。

でもいつか十分なお金が手に入ったらこの教会に壁画を描きたいな。

そんなことをベットの中で考えていた。



この村には学校がない。

だからシスターから時々習っているのだけれど、この一年で教わったことといえば文字と算数、歴史、宗教。

算数に関していえば習うフリだけ。


歴史には教会で学ぶだけあって宗教に沿った歴史でそれが本当の歴史かは正直信用していない。それでも一年で新しい言語がわかるようになれたのは奇跡と言ってもいいだろう。なぜなら前世で一番苦手な教科は英語だったのだから。





ある日 俺は神父のおつかいをエリックと二人でサートと言う街に行くことになった。

二人で行く必要はほとんどないのだけれど他の街を見せてあげたいという神父の優しさだ。


サートは人口20万人の中都市であり第3の都市と言われている。

乗り合いの馬車で片道4時間と結構な遠出だ。

神父は「教会には素晴らしい絵があるから見てくるといい」そう言って送り出してくれた。

初めての遠出になんだか緊張しながらも街の外の風景に目を話すことができずに感動をしていた。

エリックは丁寧に「ここは**の森だよ」と教えてくれた。

景色に夢中でその言葉が全然頭に入ってこなかったけど「夢中」という言葉どおりの心境だった。

お昼になり街が見えて来た。


門には門番がいてチェックが行われていた。

一人一人門でDカードを提示する。なんか空港のパスポートチェックを思い出す。

Dカードは非常に便利でステータスの表示は本人の意思に反映され、隠すことができる。

それは自分の力というもっとも重要な個人情報を自分自身で守れという意味のようだ。

数値を他人に教えたり売ることができないようにするための処置ようだ。




俺とエリックは簡単に昼食を済ませ教会に向かう。


神父からの書類をこちらの神父に渡すためで  初めてのお使いだ。

同じ教会と言っても村と都市では全く別物、映画などで見るような立派な教会がそこにはあった。

エリックは何度も来ているようで受付で軽く挨拶を済ませ中に案内される。

「壁画をゆっくり見ているといい」と言われ、その言葉に甘えてお祈りを済ませてから壁画を見ることにした。


その宗教画の美しさに目を奪われしばらく動けずにいた。

こんな細かな色使い自分もできるようになれるのだろうか。

そんなことを考えていた。

エリックが戻って来て「もう少し見ていたい?」と聞いて来たので

「あと少しだけ」ともう少しこの絵を眺めることにした。

この絵はジムという画家が10年をかけて描いたらしい。


教会を後にするとエリックが行きたい場所がある俺の手を引っ張った。

この街のことを全く知らない俺にとってすれ違う人の服装やお店、家全てが新鮮だった。

エリックは「ここだと」とやけに豪華な建物の前に連れて来た。

「この建物が見たかったの?」と尋ねると

「見たかったのもあるけど・・・」とエリックは中に入ろうとする。



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