転生
<転生>
「お前は転生を望むのか?」
転生?なんのことだ?
俺は今ここにいるけど何も見えず意識だけがある。
体のどの部分にも感覚がない。
生まれ変わるのか。
終わるのか。
そもそも俺は死んだのか?
どうして死んだのか?
そんなことすらわからない。
死ぬってそんなもんなのか?
納得がいかない。
そもそも納得いく死なんてないのかもしれない。
俺はまだ何もしていない。何もできていない。
俺はまだ美大の2年でしかなかった。描きたいものがたくさんある。
全然足りない!全然足りないんだ!!何もかも!!
転生してください
届くかもわからない
頭で
意志で
そう願った。
「そうか」という一言が体に伝わってくる
その瞬間自分が消えていくのを感じる。
擦り切れ
塵のように。
痛みも 苦しみもなく
これが消滅ということなのだろうか。。。
消えかけた電気にまた光が着くように
再び意識が蘇る
目を開くとそこは草原目の前は暗く夜中だった。
視界が低い。
なんだ?これ?
思わず手を見る。
そこには今までとは違う手がそこにはあった。
力の入り具合も違う。転生して子供になったのか。。。
気温はそこまで寒くはないがこのまま寝る気にはなれなかった。
どこか安全なところに。
でもどこ進んでいいかもちろんわからない。
怖い
夜ってこんなに怖いものなのか?
いや。未知に恐怖を感じているんだ。
どこかに人のいるところに行きたい。
「仕方ない。行くか。」
星と月の光だけで歩く。
東京の夜は電気があって暗くて歩けないなんてことはなかったな。
「痛っつ!」
思わず声が出る。足が痛い。裸足で歩くのっていつ以来だ。
石がそこらじゅうに転がっていて最初は気にならなかったがそろそろ限界だ。
靴が欲しい、、、
「あかりだ!!」
1時間ほど歩くと少し先に明かりが見えた。
体力はすでに限界だった。
でも1時間は歩かないとあそこには着けない。
子供の体って本当に不便だ。1歩が小さい。
15分ごとに休みを入れながらひたすら歩く。
これは死にたくないという思いからだろうか。
もう歩けない。
限界だ。
そんな状態で村に着いた。
木の下まで来ると不思議と安心した。
もう本当に体が動かない。
自分を褒めたいと久しぶりに思った。