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短編集  作者: 深海魚
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ただの埋葬話

小さい頃、隣に住む女の子へ一目惚れした。

転けてしまった僕に手を差し伸べて笑顔を向けてくれる。

その姿に心から惚れてしまったのだ。

それからという物、彼女へ告白する事を考えて色々頑張ってきた。


勉強に魔法、剣術や楽器演奏。

どんなに辛い稽古でも彼女の笑顔を思い出す。

それだけで頑張れた。

彼女が目指す学校を僕も目指す。


軽いストーカーみたいだなと自覚している。

だから、なるべく視界に入らない様にした。

危険な手紙と判断すれば処分。

苛めようとした奴は抹殺。

どんな手を使っても良いと思えたけれど、そんな事は無い事も理解している。


学校を卒業する頃には自分なりに彼女の傍に居ても平気だと判断。

彼女に告白をした。

彼女は困った顔をしながらも照れくさそうに頷いてくれる。

その時は、とても嬉しくって思わず涙が出た。


恋人として付き合いながら、ギルドで依頼をこなす日々。

彼女は色んな人からモテるから、なるべく僕が隣に居る様にしていた。

時々同じ依頼をこなして、する事もして幸せだ。


結婚の話までする様になった頃。

僕は彼女の両親へ挨拶をした。

どこか暖かい家に緊張も解れる。

そして、彼女を嫁に貰いたいと告げればよろこんで頷いてくれた。

問題はどこにも無い。


彼女と一緒に暮らす家を用意。

引っ越しをする為に荷物を纏める。

運んだ荷物を狙って犯罪者が襲ってきたけれど、余裕で退ける事が出来た。

退けた後、その匂いに誘われてきた魔物も倒す。


そういう事をしていれば、その匂いに誘われてかドラゴンが来てしまった。

いくら修行したとはいえど、僕達はドラゴンに勝てないとされている。

逃げる為に必死になって戦う。

傷一つ付ける事も出来なくて、やがて僕はドラゴンに追い詰められてしまった。


目の前で開いたドラゴンの口に思わず目を瞑る。

来る筈の痛みが待ってもこない事を不思議に思って目を開く。

そこには僕を庇っている彼女の姿があった。

彼女から流れる赤が酷く目に残る。


慌ててドラゴンに向かって剣を向け、目を刺す。

ドラゴンは彼女から退いて逃げていく。

彼女に駆け寄ると倒れてしまう。

受け止めた体は軽くて、冷たくなっていく。



「逝かないで!まだ結婚してないのに!」


「ごめんなさい……。でも貴方を目の前で失いたくなかったの……。」


「僕だって、それは同じ気持ちだ!お願い、僕を置いていかないで!」



涙を溢せば彼女は拭ってくれる。

その手を強く掴んだ。



「……貴方は生きて。」



掠れた声で、そう告げれれば頷くしか出来なかった。

それを見て安心したのか、彼女は目を閉じる。

そして力が抜けて息を引き取った。

思わず大泣きする。


一通り泣いた後、僕は彼女の為に穴を掘っていく。

彼女を穴に優しく横たわらせると、周囲を花で埋める。

その上から土を被せていく。


被せていく度に大切な思い出が甦る。

その優しげな思い出に涙が流れ、終わる頃には酷い顔だった。

涙を乱暴に拭うと彼は空を睨む。



「ドラゴン……!お前らは全然僕が滅ぼしてやる……!」



その声には優しさなど無く、ただただ憎しみだけが込もっていた。

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