彼こそが……
王様の命令により、魔物を生み出しているであろう魔剣を折る事になった騎士が居た。
その騎士は男達に混じりながらも決して実力は劣らない少女。
任務を完遂する為にも少女は自分の師匠でもある老騎士を訪ねる。
「失礼します。師匠。」
「何のようだ?パスカル。」
「王様に魔剣を折れとの命令を貰いました。私一人では難しそうなので師匠の手を借りたく、ここへ来ました。」
「ふん、そいつは面白そうだな。乗った。だが、一つだけ条件がある。」
「はい。何でしょうか?」
「外では俺への敬語を止めろ。後、師匠って呼ぶのも禁止だ。ちゃんとゼブラと呼べ。」
「……分かった。」
こうして、パスカルとゼブラは準備をして旅立つ。
魔剣について手掛かりを得る為に遺跡へ行く。
そこで罠に掛かりそうな所を一人の少女に助けて貰った。
「何の知識も無しに遺跡に入るなんて君たちは自殺願望があるのかい?」
「いや、無いよ。」
「無いけど知識も無い。これだから何も知らない素人は。アタシはチカ。トレジャーハンターよ。君たちの事を放っておけないから付き合ってあげる。」
「ありがとう。これが終わったら手伝ってくれた礼として金を払おう。」
「……んー。まあ、そうね。貰える物は貰っておくよ。」
チカの協力の元、パスカルとゼブラは遺跡を探索する。
手掛かりこそは無かったが珍しい物があったので、それほど損をした気にはならない。
三人は遺跡巡りをし、旅を続ける。
途中で寄った宿では大人しそうな少年が手伝っていた。
それを心配する幼馴染の少年は、何かあったら直ぐに駆けつけられるような位置に居る。
何の旅をしているかという話をされて、三人が正直に答えると宿を手伝っている少年が自分も連れていってくれないかと言い出した。
幼馴染の少年も寄ってきて、二人は魔剣や聖剣に興味があるのだと説明する。
腕も立つようなので、人数は多い事に越した事は無いという話になった。
宿の手伝いをしていた少年の名前はヴォルティス。
幼馴染の少年の名前はカジュム。
旅の仲間が増え、賑やかになる。
五人は遺跡を巡り、遂に魔剣があるであろう遺跡へ辿り着いた。
しかし、魔剣はそこには無い。
困った五人は聖剣に魔剣がある場所を訊く事にする。
聖剣がある遺跡へと向かい、聖剣へと辿り着く。
それを待っていたかの様に聖剣の精が出てきた。
「厳しい道中だったでしょう?良く、ここまで来ましたね。それで聖剣の精である私に、何の用ですか?」
「貴方の力で魔剣を探して欲しいのです。遺跡には無かったので、誰かが持ち出したのかと思うのですが……。」
「随分と可笑しな事を訊くのですね。貴方達は既に魔剣と一緒では、ありませんか。」
全員が動揺する。
まさか、誰かが持っていたのかと互いを疑う。
聖剣はゆっくりと指した。
その先にはヴォルティス。
彼は後ろを振り返り、自分が指されているのだと理解した。
「嘘でしょ……?僕が魔剣?確かに幼い頃の記憶は無いけど、僕は人を恨んだ覚えなんて無い。あの村の皆も、ここに居る仲間も大好きだ!」
「可哀想に。記憶が抜け落ちているのですね。さあ、ここに来て魔剣の事を訊いたと言う事は折るつもりでしょう?折りなさい。今直ぐ、私の前で。」
四人は戸惑う。
旅の中での記憶でヴォルティスが魔剣とは思えないのだ。
けれど聖剣は直ぐに折れと囁いてくる。
四人は相談して悩みに悩んだ。
信じるべきは聖剣の言葉か、今まで旅をしてきたヴォルティスか。
それは重い選択だった。
暫くして四人は漸く決める。
彼らが武器を向けたのは―――




