人を飲む森の奥にある村で起きた話
鬱蒼と生い茂る木々。
不気味な雰囲気があり、人々の足は自然と入るのを戸惑う。
歩くのに差し支えない程度に整えられた道。
それを森の暗闇が飲み込んでいる。
大量の荷物を持ち直すと息を飲む。
覚悟を決めた顔で足を踏み入れた。
一番先頭と後方が明かりを持つ。
荷物を持ってない人は武器に手を掛けて警戒する。
荷物持ちの人々の瞳が不安に揺れた。
大人達に紛れて一人の子どもが居るが彼らの緊張感が伝わってきており、震えている。
茂みが激しく揺れたと思えば人々を狼が襲う。
慌てて武器を引き抜くが扱いなれていないのだろう、その刃は狼には届かない。
襲われては倒れていく人々。
子どもは必死に庇われた。
狼に襲われ、倒れる人々。
苦痛に満ちた悲鳴。
暗闇を照らす明かりで鮮血が煌めく。
子どもは恐怖で震え、涙を流す。
狼が傍まで来た事によって恐怖はピークに達し、子どもは気絶した。
次に子どもが目を覚ましたのは布団の中だった。
「漸く目が覚めたか。」
「……助けて、くれたの?」
「お前だけだがな。世話代として荷物は全部貰った。」
男性は淡々と答える。
「助けてくれて、ありがとう。お兄さん。」
「目が覚めたなら出ていけ。家から出て右に行けば村がある。後はアイツらが勝手に色々やってくれる。」
「……また会いにきて良い?」
「それは、お前の運次第だな。」
「?」
「さあ、行け。」
子どもは言われた意味が良く分からなかったが締め出されてしまう。
仕方なく右に行けば確かに小さな村があった。
だが、人々の格好が全体的に黒い。
入り口に立っていた人が子どもを見ると近寄って、問答無用で手を引っ張る。
そのまま、比較的大きな屋敷まで連れていかれると部屋に投げ入れられた。
待ち受けていた男性に抱えられ、風呂に入れられる。
「髪が短いし、格好も男の子っぽい女の子だ。あの人の言う通り。」
「……皆が男っぽくしろって言ってた。」
「勿体ない。」
体を綺麗にされると布を巻かれて連れていかれた。
連れていかれた先は良く分からない魔方陣が書かれている部屋。
女の子は思わず怯える。
「心配しないで。落ち着いて。その魔方陣の中心まで行くんだ。」
「……怖い。」
「これをしないと、もっと怖い目に合うよ。」
「……なら、頑張る。」
恐る恐る女の子は魔方陣の中心に立つ。
すると魔方陣は光だして女の子は成長しだす。
やがて光が止めば、そこには可愛らしい女性が居た。
「……何?何が起きたの?」
「貴方は体だけ成長したんだ。さあ、これを着て。」
男性は成長した女の子に綺麗な服を着せる。
そして、また違う部屋へ連れていかれた。
今度は立派な襖の部屋。
女性だけが部屋に入れられた。
その奥には、何かが居る。
子どもだった女性の悲鳴は、その何かに消された。




