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短編集  作者: 深海魚
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戦場の死神

大きな城に囲まれた広場。

そこには同じ服を身に纏った者達が居た。

剣を掲げて国と王の為に忠誠を誓う。

国軍への入隊式は王の言葉によって締め括られる。


彼らは七つのグループに分けられて案内された。

七つの軍隊には、それぞれ意味がある。

人々が使える魔法には属性があり、それに基づいて分けられているのだ。

火、水、風、地、雷、氷、治癒。

これ以外を使える者はおらず、また幾つかを使える者も存在しない。


簡単な魔法ならば用意せずとも使えるが、大規模な魔法には必ず魔方陣が必要となってくる。

魔方陣を書く専門家や魔法の研究を行う者達も存在するが、この入隊式には参加しない。

入隊式に参加するのは戦いに赴き、敵国の兵士達と直接戦う者と決められているのだ。

この行事は市民が見る事も可能で、興味のある者達が見守っている事が多い。


式が終わり、案内された兵士達。

その中で一際ガッシリとした体型の男性が居た。

彼の所属は地で、携えた剣は身の丈もある。

他の兵士とは雰囲気の違う彼の名前はサバク。

兵士学校で戦闘訓練の成績はトップ。

頭は、そこまで良く無い部類で他の兵士達からは脳筋とからかわれていた。


宛がわれた部屋。

そこで彼らの生活が始まる。

朝早くに起きて朝食を食べ、訓練を行う。

戦況が変わり、早速彼らは戦場へと向かった。

劣勢の状態を変えるべく、彼らは戦う。


魔法を使い、時に剣を使った。

サバクは単身で敵地に突っ込むと一網打尽にして、他の敵地に回り込める突破口を作る。

その事で劣勢から逆転し、見事に勝利を納めた。

戦況の報告をし、彼らは束の間の休息を得る。


そして戦況が変わった所があれば、また彼らは駆けつけて戦況を変えていく。

サバク達が所属する地の軍は戦況を必ず良くしてくる事から、王から期待をされる様になる。

難しい任務も来る様になるが、見事にこなしていけば地位も信頼も高くなっていった。


必ず一番最初に敵地へ突っ込み、道を作るサバク。

やがて敵からは『戦場の死神』と呼ばれる様になり、恐れられる様になった。

そのアダ名に相応しく、慈悲も容赦も彼には無い。

味方からも同じ人間かどうか、疑われる事もある。

それを彼は知っていたが、気にしていなかった。


幾つもの戦場を駆け抜けた。

不利な状況から幾つも逆転させてきた。

その功績は市民の耳にも届き、慕われる。

それでも彼らは傲らず、自分達にやれる事を全力でやっていたのだ。


それなりに長い間、不敗の軍隊として歌われた。

けれど永遠に不敗などありはしない。

ある戦場で彼らは罠に嵌められた。

警戒は充分にしていたが、身内から裏切り者が出てしまったのだ。

その事によって戦況は崩れ、彼らは次々と殺される。

最後まで抗ったサバクも戦況を察し、逃げた。


戦場からの逃亡は罪に問われる。

サバクは、それを理解していた。

理解した上で、それでも城へ帰ろうとしたのだ。

けれど彼の足は止まる。

瓦礫と化した町。

その何処からか、赤子の泣き声が聞こえるのだ。


サバクは思わず、その声の元へと駆け寄る。

そこには土埃で汚れながらも泣き続ける赤子が居た。

その赤子を抱き上げ、サバクは涙を流す。



「ごめんな。俺達が不甲斐ないばかりに、お前の両親を死なせてしまった。町の人々を死なせてしまった。お前を、たった一人きりにしてしまった……。けれど生きていてくれて、ありがとう。お前だけでも守れたみたいで良かったよ……。」



地の兵士達も戦場の近くにあった町も被害にあった。

サバクは誰も生きていないと思っていたが、生きていたのだ。

この小さな命を見捨てる訳には、いかない。

サバクは泣いてる赤子をあやしながらも決意した。


見つからないような場所で自立出来るくらいの年まで赤子を育てよう、と。


こうして『戦場の死神』と呼ばれたサバクは姿を眩まし、ただの父親として子どもを育てた。

その子どもが少しばかり、普通で無いと気付く。

それでも構わないくらい、彼にとって子どもは大切になっている。

鋭く近よりにくい雰囲気は無くなった彼が、敵から『戦場の死神』と呼ばれていた事を知る者は誰も居ない。

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