コドクの少年
罪を犯した者は、どんな世界であれ裁かれる運命にある。
その裁き方は世界によって違い、時には非道な方法で刑が行われる。
そう、僕の父親は良く語った。
僕の父親は罪人達を集めては非道な実験材料にしている施設で働いている研究員らしい。
あまり実験内容を詳しくは知らないけれど、夜中魘されている父親を見れば実験は非道なんだと察する事が出来た。
母親は回復薬を作って売っている。
街の人からは最初は魔女と言われていたけれど、最近は薬の効き目が良い事から信頼を得た。
そんな両親の元に生まれたから、僕は一人で居る事が多い。
両親の支えになる為に僕に出来そうな事はやれる様にした。
僕はずっと気にしている。
父親の仕事について、ずっと。
父親の後を着いていき、施設へと辿り着く。
そして裏口のような所から侵入した。
思えば、これが間違いだったんだ。
好奇心で行動した結果が最悪に繋がると知るのは、いつだって最悪になった後だったのだから。
薄暗くも白い廊下と白い扉。
時々響き渡る悲鳴や呻き声。
恐る恐る進んでいき、声の元へ行く。
地下室には犯罪者が牢屋に捕らえられていた。
「おい、そこの坊主。なんでこんな所に居るのか知らないが一つ頼みたい事がある。」
「逃がしてくれっていう頼みなら叶える事は出来ないよ。そもそも鍵の在処だって知らないもん。」
「頼む。死にたくないんだ。ここで起こっている事は俺達がやった事よりも酷い。ウイルスを与えた犯罪者達に殺し合いをさせて最後の一人を集めて殺し合いをさせる……。人間で蠱毒じみた事をするなんて馬鹿げてる!」
「……そんな事がここで行われていたんだね。でも、そんな実験するなんて理由が分からないよ。」
「俺達の魔法には属性があるだろう?火、水、風、地、氷、雷……。それを全て使える最強の人間を作ろうとしているのさ。勿論、実力だって保証されている。そんな事を生き延びた人間なんだからな。」
「まさか、自国の防衛兵器として使うつもりとか?」
「賢いな。その通りさ。人を人して見ない。そんな実験に付き合うなんて嫌だ。死にたくないんだ。なんで盗みを働いただけで死ぬ思いしなきゃならないんだ。働けなくて、お金無くて、どうしようもなかっただけなのに!どうして!」
「貴方は、もしかして鍵の在処を知ってるの?」
「……!知ってるとも!もしかして助けてくれるのか!?」
「……それが正しい事か、僕には分からないけど。でも、こんな事は間違っているのも確かだから。」
「ありがとう!」
「なら俺も助けてくれ!」
「そうだ!俺も!」
牢屋全体が声で騒がしくなる。
そんな時に全員を黙らせるかの様に警報が響いた。
建物が大きく揺れると共に咆哮が聞こえてくる。
「実験が失敗して、そいつが暴走したんだ!」
「ああ!またか!止められないなら、今度こそ俺達の所に来る!殺される!」
「実験で死ぬのも失敗作に殺されるのも勘弁だ!」
「坊主!恐らく失敗作は背丈が大きい!だから狭くて小さな場所に隠れるんだ!」
「う、うん!分かった!」
僕は言われた通り、隠れた。
そして、僕は見てしまったんだ。
体が大きくなって歪んでいる化け物となった人を。




