1話 黒猫の一人語り1
黒猫の一人語り1
俺の朝は早い。まだ日も昇らぬうちから起き出して少年を起こし、井戸で水を汲ませ一緒に顔を洗う。
それから少年の朝の日課のランニングだ。
軽く家の周りを走らせ体力をつけさせる。
何よりもこの世界では体力が無ければ話にならないから、今のうちからちゃんと走れる様に特訓あるのみである。
逃げ足は速いに限る。
それが終わると朝食だ。まだ幼い少年が料理をするのを怪我をしない様に後ろで見守る。
さて、料理が完成するまでに自己紹介をしておこう、我輩は猫である、名前はまだ無い。
・・・訳など無く『ヨスガ』と名乗っている。一人称も我輩ではなく俺です、念のため。
俺はこの家で一人の少年と一緒に暮らしている。名前は『カイト』と言い年齢はもう少しで6歳になる。
カイトに親はおらず俺と会う以前の記憶も持っていない為俺が親代わりに色々なことを教えていたりする。
そんなカイトと俺はカイトが当時5歳の時にこの世界に一緒に送られてきた。
右も左も分からないカイトに声をかけ今住んでいる家まで連れてきて共に生活を開始した訳だ。
この家は人里を離れた森の奥深くにひっそりと建っているものだが、こんな所に建っているにしては立派な外観をしているのがどこか、みすてりー(棒)なイワクのありそうな物である。
そんな一匹の黒猫と少年一人の二人(?)暮らしだ。