ニート誕生!
まっ、思った通りですわ。ダーメ神殿で片っ端から職を探してみたが、勇者をたった1日でやめた俺がなれる職はなかった。
ダーメ神殿には約1000もの職があり、俺はそのどれもに落ち続けて凹んでいた。毎度毎度面接で落とされ、どうでもよくなった俺は考えるのをやめ、一日中部屋のベッド上で過ごすことにした。
漫画は面白い。読むものがいつまで経っても尽きない。腹を立てたオフクロが部屋から俺を引きずり出そうとする以外、俺は快適な毎日を送っていた。勇者として街を出ようとしてから1年が経っていた。
ある日のことだ。オフクロがジジイをつれてきた。どこかで見覚えのあるジジイ。オフクロは俺の部屋へジジイをあげると、どこかへいった。
オフクロが見えなくなるとそこまで黙っていたジジイは口を開いた。
「私のことを覚えているかね」
「あんたみたいな辛気臭い顔しらねーな」
ほんとは口を開いた時点で思い出していた。こいつ、俺を蘇らせた教会のジジイだ。
俺の嫌味を無視し、ジジイは続ける。
「君は勇者に選ばれたにも関わらず部屋で寝ている。不甲斐ないと思わんかね?」
「思わないね。俺を勇者にしたのがまず間違いなんじゃねーの?」
「間違いではない。君にはまだ早すぎたんだ」
「早すぎって言っても俺はもう16だぜ?成人だ」
「いや、君はまだ未熟だ、そこで、君には修行をしてもらいたい」
「修行するったってこの街にゃ戦士の1人もいねーじゃねーか」
そう、いまだにルミーネの酒場には仲間はいないらしい。
「どこでやるってんだ?」
「君にちょうどいいところがある」
「どこだ?」
「異世界」