無題
「ユウマ…!! 早く…助けて…!!」
「う……うぉぉおおおーッ!!」
ユウマは近くに転がっていた人間の腕くらいの大きさの木の枝棒を拾い上げ、頭上を飛び回るコウモリ猿に向かい振り抜いた。
ブオンッッ!! ブオンッッ!!
「キーッ!! キーッ!!」
コウモリ猿の動きが素早く、なかなか当たらず空振りを続けた。
ブオンッッ!! ブオンッッ!!
「キーッ!! キーッ!! キーッ!!」
「クソッ…!! 当たらねぇ…!!」
ユウマは木の枝棒 を振り回すが、コウモリ猿になかなか当たらなかった。
「クソがぁぁッッ!!」
ボゴォ!!
「キーッ!!」
ドサッ
「や、やった…当たった…!!」
ユウマが振り回す木の枝棒がようやく当たり、コウモリ猿の一匹は地面に落ちた。
「あと一匹…!!」
ユウマは女の子の頭上で飛び回るコウモリ猿目掛け、木の枝棒をぶん投げた。
「当たれぇぇえ!!!!」
木の枝棒はクルクルと回転しながら女の子の頭上で飛び回るコウモリ猿に向かい飛んでいく。
ブオンッ ブオンッ ブオンッ
「キーッ!!」
コウモリ猿には当たらなかった。
「そう上手くはいかないよな…はは。」
「ユウマ…!」
女の子は立ち上がり走ってユウマの背後へ回り隠れユウマの腰に腕を回し抱きついた。
「ユウマ…!!」
「うお…!! む、胸が…!!」
「キーッ!! キーッ!!」
コウモリ猿がユウマの顔へ真っ直ぐ飛んでくる。
「わ、わ、わ、わ、わーーー!」
シュッ
ユウマはとっさに下から拳を突き上げ、コウモリ猿をパンチで打ち落とした。
「キー…ッ!!」
ドサッ
「……うそ? 当たっちった…!!」
「ユウマ…すごい…!! ありがとう…。」
女の子はユウマに抱きついたまま礼を言った。
「う、うん…!」
ユウマは背中から抱きつく女の子の胸の感触に全神経を集中させながら返事をし、うなづいた。
「ん……?」
地面に落ちたコウモリ猿達の姿はなく、そこにはコウモリ猿の羽根らしきものと、毛皮が落ちていた。
「な、なんだろう?」
ユウマはとりあえずその落ちていた羽根と毛皮を無視した。何故なら今はそれどころではなかったからだ。
「怖かったよぉ…。」
女の子はひたすら抱きついていた。
「……。」
ユウマはひたすら女の子の胸の感触に全神経を集中させてたが、腰に巻かれた女の子の腕をそっとほどき取り、女の子をなだめた。
「も、もう大丈夫だよ…!」
「うん…。」
「さっきの猿飛んでたね…なんか…目覚ましてから襲われてばっかだな…なんなんだよ…ここは。」
「うん…。」
二人は少しの間無言で立ち尽くした。




