無題
「本当の家族じゃないのか…!?」
「そうだよ。」
「え……じゃあ、キラ君の本当の家族は…?」
「知らない。あ、君付けしなくていーからな!」
「あ、ああ。…で、『ヤツら』ってなんなんだ?」
「ヤツらは『パラレルワールド』の住人さ、生意気にフィルドラドの街を占領して、この世界を監視してんのさ。」
「パラレルワールドの住人…??」
「ああ、ヤツらはどこから来てどこへ帰ってるのか分からないが、異世界の住人なんだ。…ま! 噂だけどな!」
「なんか…信じられないような話だな…。」
「そうか? ユウマだって異世界から来たんだろ? 信じられないような話じゃないだろ。」
「まぁ……確かに……そうだよな……。」
「オレもいつか異世界に行くんだ! でもその前に、まずはこの世界のすべてを見るんだ! で……本当の家族を見つけるんだ…。」
「キラ…。」
「ユウマはどーすんだ? 自分の世界に戻りたいとか?」
「どーするもこーするもさ……どうやったら帰れるんだか……。」
「モラルド人に聞けばいいんじゃないか?」
「モラルド人…?」
「ヤツらだよ、皆そう呼んでる、『モラルド人』てな。」
「そうか……。そうだよな! そいつらも異世界から来てるんだったら、何か方法を知ってるはずだもんな…! そのフィルドラドってどうやったら行けるんだ?」
「フィルドルドは別の大陸にある、行くには水用船か空用船でないと行けない…。」
「遠いいのか…。その船はどこにあるんだ?」
「船はない! モラルド人がすべて破壊したらしい、『お前等には必要無い』って言ってたらしい。」
「じゃあフィルドルドに行けねーじゃん…!! てことは…元の世界には帰れないってことか…?」
「オレにいい考えがあるぞ!」
「なんだ…??」
「モンスターをバッタバッタ倒して、強くなるんだ! そうすればヤツらはマークしてくる、で、捕らえにくるか倒しにやってくる!」
「いい考えかどうかは置いといて……確かに…その手もアリだけどさ……時間かからないか?」
「いくら船探しても見つからないぞ? それに、船を作るヤツもいないし、作ろうとしてくれるヤツもいない、モラルド人から禁止令が出てるからな。」
「禁止令なんか出てるのか…!?」
「ああ、命令に背くと捕らえる、態度が悪ければ殺される。ヤツらにたてつく事は許されないんだよ。」
「……どっちにしても危険を侵さないといけないわけだ……。」
「ま! オレ達最強兄弟がついてるから大丈夫だ! 万が一の事があればオレ達が守ってやるよ!」
「ははは…ありがとう…。」
「ねぇねぇ! このお姉ちゃん自分の名前とか故郷とか知らないみたいなんだけど、どーしてなの??」
「ユウマ……ユヤ君が色々質問してくれるんだけど私ほとんど答えてあげられなくて…。」
「そっか…どうしようか…、多分、記憶喪失みたいな感じなのかな?」
「ユウマ…私に名前つけて…!」
「え、?」
「お願い…!」
「え……じゃあ……ハルカ…!」
「ハルカ…! 私、ハルカ! 年は…??」
「え、? 年も…?」
「うん…! お願い…!」
「んんんんん……十七歳……!」
「わーい! 私の名前はハルカ、年は十七歳だよ!」
ハルカは笑顔でユヤに教えてあげた。
「僕はユヤ! 七歳だよー!」
「オレはキラ、十六歳だー!」
「え? オレも? オレはユウマ! 十八歳だー!」
「てか、オレ的に七歳のユヤが心配だな…。」
ユウマがキラにコソッと話す。
「何が心配なんだよ? ユヤはいっぱしの男だ! それに、村に帰れって言ったとこで無駄だ、ユヤとオレはいつも一緒だ! ユヤの本当の家族も見つけてやるんだ!」
「でもな…もし何かあったら…。」
「ユヤの心配する前に自分の心配しな!」
「はは…だよな…確かに…。」
ユウマはスライムとの戦いの時にボーガンを使いこなしていたユヤの姿を思い出した。
「ユヤはマジで強いんだからな!何故か分からないけど、怪我しても血が出ないんだ!」
「血が出ない…??」
「ユヤは無敵だ! 傷口もすぐ治っちゃうしな!」
「すげーな…ユヤは人間じゃないのか…?」
「ユヤは人間だ! だが! 普通の人間じゃねぇのは確かだ!」
「そうなのか…。」
四人は話しながら、じゃれ合いながらも、歩を進め続けた。