沈没する火山島
寝転んだのは良いが、地面が揺れている事から導き出される結論に、フィーロは慌てて起き上がった。
「ヤバイ」
このままだと、島が沈む。
せっかく勝ったのに、このまま島と心中するつもりはなかった。
「うん、早くにげないと」
倒れそうになるフィーロを、透龍ツララは難なく支えた。
小さい身体にも関わらず、力持ちだ。
「ツララ。一応、お前の親の片割れに、挨拶しておけ」
フィーロは、大地に突っ伏した赤龍にツララを促した。
まだ赤龍ネスは死んでいなかった。
だが、囚われていた人々の魂は解放され、既に死が近い事は間違いない。
フィーロはツララを、赤龍が見える位置まで導く。
すると、赤龍の視線がゆっくりとツララに向けられた。
ツララは特に恐れる事なく、ぺこりとお辞儀をした。
それだけだった。
「もう、いいのか?」
「うん、もういいの」
赤龍の目が、閉じていく。
赤龍の身体が崩壊し始め、その魂が剥き出しになる。
それを、フィーロは回収した。
「いこ、おとーさん」
「ああ」
島のあちこちから火の柱が噴き出し、地面の亀裂は増える一方だ。
あと半刻もしない内に、島は崩れ海の底に沈むだろう。
自分が乗ってきた船は無事だろうか。
「フィーロ、急いで!!」
その声の方を向くと、軍船の甲板からユージンが手招きをしていた。
既に側面にあった出入り口は閉じられ、どうやら縄ばしごで登るしかなさそうだ。
「……なあ、そっちの船乗っていいのか?」
ユージンの隣にいたコマンディル団長も、難しい顔で唸っていた。
「民間人を守るのも、軍の仕事だ。大体、島が沈むような状況で見捨てる訳にもいかん」
「なら、遠慮なく」
「のる!」
ツララはそもそも縄ばしごすら必要なく、ふわふわと飛んで甲板に着地した。
フィーロはユージンの手を借り、軍船に乗り込んだ。
そしてすぐに、軍船は出発した。
背後では、重々しい音を立てて、島が海へと沈んでいっていた。
それを見届け、フィーロは船の縁に背中を預けた。
「ん?」
右隣にユージンが座り、左隣にツララが座る。
「むむ」
「むぅ~~~~~」
フィーロの両隣から火花が飛び、真ん中辺りでぶつかり合った。
要するにフィーロの真ん前だ。
「喧嘩するな。あと、俺は疲れたから、寝る」
突っ込む気力もなく、そのままフィーロは眠りに落ちた。
「お疲れ様、フィーロ」
「おつかれさまー」
そんな声が、最後に聞こえた。




