表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
龍狩と赤龍  作者: 丘野 境界
龍狩
38/41

怒りの赤龍

「助けなくて良いんですか?」


 フィーロの背を見送る龍騎士団長コマンディルに尋ねたのは、他の龍騎士だ。

 それに対し、コマンディルは腕を組んだ答えにしばし迷った。


「理由は色々あるし理屈もつけられるんだが……」


 どれを言っても野暮になりそうだった。

 なので、コマンディル自身が一番しっくり来る答えを口にした。


「……要するにあの龍狩は、一人で龍を相手に戦争をしてきた。今更俺達がしゃしゃり出るのもどうかという話だ」


 そして龍狩フィーロの最後の戦いが、始まった。



 勝負はほぼ互角。

 いや、若干フィーロが不利だった。


 赤龍ネスは、ここに来て力を増した。

 原因は定かではないが、フィーロの直感では自分の子を失った事による。龍騎士団が卵を割ったこと、あれが最悪だった。

 あれが赤龍の怒りに火を点けたのか、その攻撃力はこれまでの比ではない。


 赤龍の鉤爪を避け、その腕を切りつける。

 赤い、燃える血が飛沫を上げる。


 というか()()()()()()()()()()なんて、間違いなくさっきまで出来なかったはずだ。


 その一方で、防御力はガクンと下がった。

 いや、回避力と言うべきか。

 人間を遥かに超える体躯で、通常の生物のような回避はありえない。

 その代わり、首、胴、翼、四肢、尻尾を用いた牽制を龍は行う。

 が、赤龍はもはや()()()()()()()()

 全身隙だらけだ。

 龍骨剣も当て放題で、硬い鱗や強靱な皮膚を突き破り、既に幾つも傷を作っている。


 だが、それがどうした。

 その程度で、俺は倒せない。

 倒せなければ、お前が死ぬぞ。


 そういう覚悟でフィーロを殺しに来ている。

 そして、それはまんま、フィーロと同じだ。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 赤龍ネスの瞳が燃える。

 とっさにフィーロは光竜イルミネントの魂を励起させ、その視界から逃れる。

 自分が立っていた場所が、直後空間ごと燃えた。


 そのまま突進し跳躍、剥き出しの首筋目掛けて鉄龍イーロンの力を込めた龍骨剣を叩き込む。

 新たな傷が開き、赤龍が吠える。

 そのまま右の前肢を振るった。

 だが、その前にフィーロは油龍ベニバナの力を解放、岩地を油で濡らす。わずかにバランスを崩した赤龍の鉤爪は、すんでの所でフィーロの足下スレスレを通過していった。


 これならば、どうだ。

 赤龍の口が開き、その奥に火の瞬きが見える。

 それを見計らい、空龍ポイゾの(サンソ)を叩き込む。

 巨大な爆発が発生し、その衝撃でフィーロも吹き飛ばされた……が、それでも口内を爆破された赤龍よりは傷は浅い。

 だが、それでも赤龍は倒れない。

 口の中を血だらけにしたまま、フィーロを見据える。


 どうやら赤龍ネスも、これでは埒が明かないと判断したのか、一旦動きを止めた。

 これまでの、怒りに任せた攻撃ではない。

 絶対に殺すための、凝縮した殺意。

 何を仕掛ける……?

 直後、赤龍ネスの身体が、炎に包まれる。魂が次々と燃え上がる。

 幾十の魂を燃焼させ、赤龍の力はこれまでにない強さを発揮する。


「まさか……」


 これは、フィーロが使っているのと同じ、龍の魂の励起だ。

 そして、使われている魂の質はすべて赤龍と同質のモノ。

 すなわち、火龍の一族の魂だ。


 島が、大陸が反応し、あちこちで噴火が発生する。

 これではこの火山島ディナミットも数刻もしないうちに、沈没するだろう。


 さすがに、フィーロも絶句する。

 だが、これならばこの赤龍の尋常ではない強さが納得いった。


「同族を喰らったな、赤龍!!」


 赤龍の力を見て、フィーロは確信した。

 過去、一族の間で発端だったのかは知らないが、とにかく赤龍は自分の同族を全て喰らい尽くしたのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ