深い洞窟に潜って
暗闇に灯りがともる。
光源は、フォーロの胸元にある龍卵の首飾りだ。
卵のまましばらく成長するらしく、しばらくの間なら光り続けられるようになっていた。
ここは王都の北東果てにある深い深い洞窟だ。
なだらかな斜面を下っていると、奥の暗闇から魔物達の唸り声が響いてきた。
「こういうのも久しぶりだな」
呟き、フィーロは背負っていた龍骨剣を引き抜いた。
魔物達の気配が近付いてくる。
殺到する魔物達に、フィーロは逆に先手を打たんと駆け出し、間合いに入った敵を薙ぎ払った。
あれからの話。
霊峰ヒエタを下りたフィーロは、その足で光龍イルミネントのネグラに向かった。
途中からは歩くのも面倒臭くなり、訓練がてら空龍の風の力で飛ぶ練習をしたりした。
そして、王都の北東にあった山のネグラにイルミネントがいないのを確かめ侵入し、守っていた財宝をすべて革袋に収めた。
何せ相手は龍だ。
その宝を盗むなんて、本来考えられないし、龍の方もだからこそ隙だらけだった。
フィーロは難なくネグラを出て、あらかじめ見つけていた洞窟へと、飛んだ。
それがここだ。
洞窟は入り口からして大きく、龍ですら難なく入り込む事が出来るだろう。
魔物は多く棲んでいたが、今のフィーロには大した障害ではなかった。
龍骨剣で薙ぎ倒しながら、龍の通路を作り、どんどんと地下へと潜って……。
……そして、この地の底に到達した。
一種の巨大なホールになっており、天井も高い。
もし地底に住めるのなら、ここに一つ都市でも造れるぐらいの充分なスペースがあった。
龍との戦闘になっても、支障はないだろう。
「光龍の宝の残り、出ろ」
フィーロが革袋に命じると、その口から大量の金銀財宝が吐き出された。
あっという間に小山ぐらいの大きさの宝が、洞窟の底に積まれた。
振り返ると、昇りの斜面には点々と、金貨や宝剣の類が落ちている。
誘い込む罠の仕掛けとしては単純だが、悪くない。
あといくつかの罠を用意すれば、光龍イルミネントを待つばかりとなる。




