表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
龍狩と赤龍  作者: 丘野 境界
幼年期
3/41

流浪人ヨーフ

「チッ……」


 舌打ちの音に、フィーロは振り返って飛び掛かった。


「あ、フィーロ!?」


 ユージンが悲鳴を上げる。

 相手が誰かも確かめず、ほぼ反射的な攻撃だった。

 が、視界が一回転し、背中から地面に倒れ込む。


「……間に合わなかったか。それにしてもよく生き残りがいたなぁ」


 のんびりとした声。

 仰向けになったまま顔を上げると、大きな背中があった。獅子のたてがみのような灰髪に、肩に大きな剣を担いでいる。


「だ、だれ?」


 向こうからユージンが、男に尋ねている。


「俺はヨーフ。基本的には隠居だが、時々剣士もやる」


「いんきょ……」


 ユージンが呆然とした声を上げている。フィーロは立ち上がり、男――ヨーフに背後から襲いかかった。

 が。


(ドラゴン)にやられたな」


 こちらを向かないまま、軽々と振り抜かれた鞘入りの剣に弾き飛ばされてしまう。


「龍って、あのおおきなばけものですよね?」


「ああ。あとお前さんはいい加減落ち着け」


 頭上から何かが降ってきたと思ったら、脳天に激痛が走った。


「~~~~~!?」


 たまらず、フィーロは頭を抱えてしゃがみ込んだ。多分、さっきの鞘入りの剣だ。

 そのまま首根っこを掴まれ、ユージンの横に転がされた。


「で、どうするお前ら。幾つか選択肢があるが」


「アイツらをころす」


 フィーロは立ち上がり、即座に宣言した。


「ちょ、フィーロ!?」


「みんなの仇だ。ぜったいころす」


 フィーロにとってこれは、決定事項だった。


「で、でもどうやって!? あんな、前にみなと町でみた船より大きなばけものなんだよ!?」


「ねこみをおそう」


「坊主。水を差すようで悪いが、そんなのじゃ無理だ。連中の鱗は硬いから普通の刃物はまず弾かれるぜ」


「…………」


 なら、他の手を考えないといけない。

 考え込んでいると、正面の男はニヤリと笑った。


「連中を倒すには、今んトコ二つだが、現実的には一つしかねえ。この国の龍騎士団に入団することだ」


「りゅーきし?」


 キョトン、とユージンが首を傾げる。


「ま、どっちにしても試験の為に強くなる必要がある。何かの縁だ。強くなりてえなら、稽古つけてやるぜ」


「やる」


 フィーロは即答。


「じゃ、じゃあ、ボクも……」


 おずおずと、ユージンも手を挙げた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ