表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
龍狩と赤龍  作者: 丘野 境界
龍狩
25/41

氷龍コーラスの大宮殿

 北西の港町タイリョーから走ること数日、フィーロはそのまま霊峰ヒエタを登った。

 赤龍は火の龍であり、冷たさにはさすがに弱い。

 どうやら山の手前で足止めを食っているようだった。

 そして霊峰の奥には巨大な洞窟があり、さらにその奥には氷で出来た宮殿があった。



 フィーロを出迎えたのは、豪華な着物を羽織った銀髪の老人だった。


「ようこそ、我が宮殿へ。儂が氷龍コーラスじゃ」


「人間?」


「ふぉっふぉっふぉ、娘が星を詠んだからの。人の形に作り替えておいたのじゃよ」


「娘……」


 見ると、コーラスの背中から銀髪の美しい娘がこちらを伺っていた。

 年齢は十七、八ぐらいだろうか。氷龍コーラスと同じような、着物を着ている。


「白龍フリゼの妹、雪龍スノウじゃ。これ、挨拶せぬか」


 だが、コーラスの声にススッと彼女は隠れてしまった。


「無理にしなくてもいい。俺は、フィーロだ。あんた……貴方達の家族を返しに来た。これが孫だ」


 フィーロは、龍の卵の首飾りをコーラスに返した。


「かたじけない」


「フリゼの魂は俺に溶けてしまったから、返す事は出来ない。すまない」


「よい。戻って来てくれただけで、儂らは満足じゃ。のう、スノウ」


「…………」


 コーラスの背中から再び姿を出したスノウは、フィーロに向かって小さく頷いた。


「しかし、赤龍に掠われた娘の経緯についてはその口で語ってもらいたい。よいか?」


「それぐらいなら、お安いご用だ」


「ふぉふぉふぉ、では奥の間へ行こう。人間用の料理も用意してある」


「助かる。ここまで走り詰めだったんだ」



 氷龍コーラスの言う通り、食堂らしき広間には低いテーブルに料理が広げられていた。

 どうやら藁を編んだような床に直に腰を下ろし、食べる形式のようだ。

 雪龍スノウはフィーロの隣……と言うにはやや離れすぎている場所に、侍っていた。


「……しかし何故、赤龍から逃れた後、娘は素直に(こちら)へ向かわず、南の大樹海へ向かったのじゃろうか」


 氷龍コーラスの疑問に、フィーロは約束通り、答える。


「北には既に、空龍や鉄龍が待機していたらしい。それで裏をかいて、しばらく南に潜もうとしていたんだ。結局、見つかってしまったが、考えとしては悪くないアイデアだったと思う」


「これから君は、どうするのかね」


 グラスに注いでもらった酒を飲みながら、フィーロは即答した。


「赤龍を討つ。故郷を滅ぼしたので、その復讐だ」


「そうか」


「止めないのか」


「止めてどうする。戯れに家族を殺され、それを許せなどと誰が言えるか。そも、儂の身体さえ健常ならば、自ら奴を討ちに行っておったわ。むしろ、娘の分まで頼む」


 氷龍コーラスは、頭を下げてきた。


「ああ」


 フィーロも、頷き返した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ